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J1第9節(4月11日)、鹿島と2−2で引き分け、ジェイが初登場

21・04・13
 上写真/前半9分、先制ゴールを決めて喜ぶ鹿島DF永戸(14番)と祝福するFW上田(右)、中央9番は鹿島FWエヴェラウド。対する札幌は左端MF駒井(14番)が肩を落とし、GK菅野(左から2人目)は全身で悔しがる

  (写真はいずれも4月11日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 鹿島と2−2「ドームは1万越え」

  Aロペス「俺が蹴る」で8本ゲット


 札幌ドームが、コロナ禍最高の「1万342人の観衆」を集め、FWアンデルソン・ロペスが「得意のPKを決め」8得点目で得点ランキングトップに立った。

 2021明治安田生命J1第9節は4月11日午後1時3分から札幌ドームで、北海道コンサドーレ札幌対鹿島アントラーズ戦を行い、2−2で引き分けた。さらに欠場が続いたFWジェイが終盤にピッチに上がり、加えてナイジェリアからの助っ人FWガブリエル(25=188センチ、72キロ)の「解禁」(コロナ関連で2週間待機)も近い。引き分けなのにペトロビッチ監督をはじめ、コーチ陣も「何となく明るい」。

 外国人監督で、初めてJリーグ通算札幌500試合目を戦った勝敗について、ミシャ監督は「それを意識するよりも、勝利をつかむことだけを考えて挑んだ」。

 試合は13時8分、清水勇人主審(37=千葉県出身)の笛で鹿島がキックオフ。札幌の布陣がこれまでの試合と少し変わっている。3−4−2−1の体系は変わらないが、第8節のF東京戦のスタメンから、キム・ミンテは出場停止、小柏剛は肩を痛めてベンチ外。ルーカス・フェルナンデスは、「控え」に変わっている。GK菅野孝憲、DF田中駿汰−宮澤裕樹−福森晃斗。右のWB金子拓郎で左は菅大輝。中央のMFは深井一希と高嶺朋樹。チャナティップと駒井善成をシャドーにトップはAロペス。宮澤のセンターバックは2度目だが、疲労が心配。控えにはGK大谷幸輝、DF柳貴博、岡村大八。MFは青木亮太、ご存じ小野伸二、ルーカス。FWは久しぶりジェイ。

 鹿島は注目のGK沖悠哉(21=茨城県出身、鹿島ユース出身でJデビューは20年8月。184センチ、82キロ、A型、U−24候補)が、縦横に「好捕」を繰り返した。「若き守護神」と呼ぶ。DF4(小泉・犬養・町田・永戸勝也)、MF4(レオシルバ・三竿・ファンアラーノ・土居)、FW2(エヴェラウド・上田)の4−4−2。中でも、この日は背番号14永戸の活躍が目立った。

 開始9分、札幌ペナルティーエリア付近で、鹿島MF土居の短いパスからMFファン・アラーノがシュート。一度は札幌DFがはじき返すが、赤黒の札幌防御陣がすり抜けられビジターの「純白のユニホーム」の永戸が左サイドを駆け上がると完全にフリー。こぼれた球に「豪快な右足」を振り抜くと札幌GK菅野も、なすすべもなく「バンザイ」。鹿島が先制点を決めた。その後、鹿島は永戸がCK、FKをキックする体制が目立つ。

 さらに20分にも、右CKから町田(190センチ)らが待ち受ける中、ボールは札幌DFが跳ね返す。クリアボールは鹿島DF小泉がダイレクトでペナルティーエリア内に入れる。残っていた町田が頭でつなぎ、FW上田が決めて、0−2とリードした。「強い鹿島が蘇ったか」。

 ホーム札幌は24分過ぎ、高嶺がレオシルバの強靭なタックルを受けて倒れる。鹿島陣内の中央でFKを得る。26分、福森がかなり時間をかけて、左足のキック。低い弾道のボールはチャナティップに当たり変化、田中まで渡る。中央付近に攻め込んだ田中が左足を振り抜きゲット。1−2で飲水タイム。

 ホッとした表情の札幌。チャナティップ、駒井のシャドーに加え深井・菅がボール回しをするが、決定機をことごとく鹿島にカットされる。40分過ぎから、金子、高嶺、Aロペスらが鹿島ゴールを狙うが、再三GK沖の好捕に遭う(アディショナルタイム3分)。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「ボールへの寄せをしっかりとしていこう」、「最後のフィニッシュの精度を上げていこう」、「後半勝負だ。絶対勝とう」

■鹿島アントラーズのザーゴ監督のコメント
 「カウンターをもっとスピーディーに行おう」、「バランスのとれたポジションをとろう」、「裏へのボールをケアしよう」


 後半の始まりは札幌のキックオフ。宮澤が岡村と交代。3バックの方式は変えず、右に岡村、中央は田中、左は福森の布陣で、「たぶんはじめて」だろう。札幌が、金子からチャナティップ、菅、高嶺とパスはつながるが、決定的なトップへの「キラーパス」はない。相手の中盤が堅いことになるが、10分過ぎに、中央から福森サイドへの「オープンなパス」が、使われるようになり、ボールキープ力を取り戻した。

 14分にジェイが呼ばれたようだ。18分駒井OUTジェイIN。鹿島も18分土居−白崎、レオシルバから永木。交代直後の20分、金子が右からペナルティーエリア内に突入。後ろから追いかけたDF永戸が、絡みつき倒す。ペナルティーエリア内か、外か? VARの判定を主審が指示、かなり時間が過ぎた24分、「PKの判定」。

 25分キッカーはAロペス。ボールを持とうとするとGK沖が近寄る。何度か繰り返して、Aロペスがセットアップ。2、3歩あゆみ、一瞬止まって小刻みなステップから、左足でゴールの左サイドに流し込んだ。GK沖は、反対の右に「力いっぱい」飛んだ。決まった、2−2。

 時間はまだある(26分飲水タイム)。28分、チャナティップがドリブル前進、福森にヒールパス、ジェイまでボールが渡るが、阻まれる。

 34分三竿にイエローカード(高嶺を後ろから倒す)。37分に菅とルーカスが交代。単独のドリブル突破が得意。42分にチャナティップがルーカスからの絶好のパスを受けシュート。チャナのボールは、大きくゴールバーを越えて、飛んで行った。44分金子OUT柳IN。

 アディショナルタイムは5分。鹿島の最後の突撃が始まる。札幌は防戦するが、MFで宮澤の腕章を受け継いだ背番号8深井が、足を引きずる。+3分で深井リタイア。交代は5人までだが、ハーフタイムを除き3回までの交代枠を使い切っており、そのまま2−2の引き分け。下位に低迷する13位鹿島と14位札幌の対戦だったが、結果は得失点差で札幌が順位変わらず14位、鹿島は15位になった。

 シュート数は、札14―鹿12 CK札3―鹿3 FK札8―鹿11。
            
 2021明治安田生命J1リーグ第10節は4月16日午後7時から、札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌対横浜F・マリノス戦が行われる。


 上写真/前半18分、札幌右サイドからの攻撃で、MF金子のシュートを鹿島守備陣にとめられ悔しがる駒井(左から2人目)、右へFWアンデルソン・ロパス(11番)、MFチャナティップ(18番)、左端鹿島MF三竿(20番)、右端DF町田


 上写真/前半20分、鹿島右CKからの混戦でFW上田(18番)に2点目を決められる、札幌GK菅野(中央)やDF田中(2番)がオフサイドを主張して手を上げる。札幌ゴール裏のサポーターはぼう然、左端鹿島FWエヴェラウド(9番)が両手を広げて喜ぶ


 上:左側写真/前半26分、札幌はDF福森のFKから田中(左端)がゴールを決めて1点を返す、ぼうぜんとする鹿島DF町田(28番)、その左永戸(14番)

 上:右側写真/前半42分、札幌DF田中(右)が鹿島の名手レオ・シルバと相対する、激しいマッチアップにもかかわらず、タンチョウのダンスのように優雅だ。田中は26分に今季初ゴールとなる1点を決め、代表チームで負傷して出場できなかった鬱憤をはらした

■北海道コンサドーレ札幌の田中駿汰選手のコメント
 「試合の入りは悪くなかったのだが、先に2失点したのは反省しなければいけない。ただしっかり同点とし、それ以外にもチャンスがあったと思うので、逆転までもっていける試合だったのかなと思います。自分の得点は狙った形ではなかったが、冷静に流し込むことができたのは良かったし、やはり前半のうちに1点取れたのはチームとして良かったと思っている。あのまま負けにならずに引き分けたことはポジティブに捉えたいし、またすぐ試合があるので、チーム一丸となって向かっていきたいと思います」


 上:左側写真/前半44分、札幌MF金子(左下)が高嶺からのロングボールを胸トラップしてゴールに迫ったが、少し長すぎ鹿島GK沖(中央)にキャッチされ悔しがる。左後方、FWアンデルソン・ロペスも天を仰ぐ、右端鹿島DF町田(28番)

 上:右側写真/前半追加タイム2分、札幌MF菅(4番)がDF福森のタテのロングパスに反応してシュートするが、鹿島GK沖(31番)にクリアされCKに逃げられる


 上:上段写真/後半15分、札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)が、DF福森の自陣からのロングパスをMF駒井が落としたボールをシュートするが、鹿島GK沖(右下)に阻まれる、絶好の同点機を逃して頭を抱える

 上:下段写真/後半19分、札幌FWジェイ(右)と鹿島DF町田(28番)が、左からのFKのボールを奪い合う、ジェイはコロナの影響で今季初登場


 上:上段写真/後半20分、札幌MF金子(右)がDF岡村からのパスを受けて右サイドを駆け上がり、ペナルティー・エリア付近で鹿島DF永戸と交錯して倒されPKを得る。微妙な位置でVAR判定となりPKが確定するまで時間がかかった

 上:下段写真/前半22分、札幌MF金子(後方左端)が得たPKの判定で、清水勇人主審とVARとのやり取りをボールを抱えてぶぜんとした表情で見守るFWアンデルソン・ロペス(11番)。後方14番は先制点を決めた鹿島DF永戸、右端町田。この試合、何度もこんなシーンが目立ち、何かしっくりこない

■北海道コンサドーレ札幌のアンデルソン・ロペス選手のコメント
 「試合の結果に関しては悔しいですが、その中でも最後まであきらめずに全員で逆転しようと戦ったこと、勝点1を最低限取れたことは良かったと思っています。自分の得点はPKでしたが、落ち着いていました。時間が空きましたが、自分の形で蹴れれば決まるという自信がありました」


 上写真/後半43分、札幌MFチャナティップ(右)がドリブルで駆け上がる、左端鹿島MF三竿(20番)、中央は鹿島MF永木


 上:上段写真/後半追加タイム2分、鹿島MF荒木の右からのクロスを札幌GK菅野(右)がFWエヴェラウドと競りながらキャッチ、その左DF岡村(50番)、左端柳。この試合再三の危機にGK菅野が攻守で引き分けに貢献した

 上:下段写真/2−2と引き分け、ガックリとピッチにお尻をつく札幌MF高嶺(中央)とDF田中(その左)、50番はDF岡村、20番は鹿島MF三竿、中央はFWエヴェラウド、右端は鹿島MF遠藤


 上:左側写真/後半24分、札幌MF金子が倒されたシーンで、清水主審(後方)がVARで確認する間、椅子に腰かけて待つペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半24分、同シーンで「あれはPKではない!」といら立ちを隠せない鹿島のザーゴ監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「立ち上がりに2点を失点する難しい試合になった。試合前の勝点が7ポイントずつという中で、どちらも勝ちが欲しい状況で先に2点を失ったのは痛かった。もっとシュートに寄せなければいけなかったのですが、そこでラクに打たせてしまったことは反省しなければいけない。ただ、選手たちはそこから良い戦いを見せてくれました。得点以外にも良いチャンスがあった。

 後半は主導権を得て、得点になってもおかしくないチャンスはたくさんあった。そこで決める割合を高めなければいけない。とはいえ、同点まで追いつき、逆転すべく戦ってくれた選手たちを誇りに思います。もちろん勝ちたかったですが、厳しい試合を引き分けにできたのは良い結果と捉えていいと思います」

■鹿島アントラーズのザーゴ監督のコメント
 「非常に良い前半のスタートが切れた。1−0、2−0とすることができました。後半の方で重心が下がり過ぎてしまって、そこから失点につながりました」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影