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J1第26節(11月3日)、アウエーで首位川崎に2−0で完勝

20・11・06
 川崎の土手っ腹に2得点

  初勝利の味に札幌が酔う

 「何度見ても見飽きない」。J1リーグトップを突っ走る川崎フロンターレに一矢を打ち込み、さらにJリーグ対戦成績表を見ると勝利0(0)分け2(3)負け9(9)=カッコ内はJ2リーグで、これまでリーグで23試合して「一つも勝ったことも無いチームが1勝」した。それも2020明治安田生命J1リーグで首位22勝2分け1敗の勝ち点68のビッグチームに2−0で、得点を許さずの勝利。

 加えて18年のキャリアを持つ中村憲剛(40=10月31日バースデーゴール)。11月1日には「引退宣言」までした背番号14KENGO(東京都出身、中央大出)のホームゲームでの勝利だった。

 北海道コンサドーレ札幌対川崎の試合は11月3日午後2時から、等々力陸上競技場で行われ、観衆は競技場入場人員(2万6千827人)の半数に近い(新型コロナウイルス規制)1万1千165人が詰めかけた。札幌のビジター席はホームスタンドから見て、右側コーナーに設けられた100人ほどの席が赤黒のサポーターで占められた。天候は曇り、気温18.2度、湿度68パーセント。最優秀主審賞を何度も受けた西村雄一主審(48、東京都出身)の笛で午後2時3分、札幌・荒野拓馬のキックオフで始まった。

 札幌はGK菅野孝憲、DF田中駿汰−キム・ミンテ−福森晃斗、MFのボランチはキャプテン宮澤裕樹と高嶺朋樹。ワイドMFは右に金子拓郎、左にルーカス・フェルナンデス。トップの荒野の両脇に駒井善成、左にチャナティップ。陣形的には3−4−3の形で駒井とチャナのキープ力と荒野の突破力(シュート)に期待した。

 川崎は、いつものDF登里亮平、MF三笘薫、田中碧、憲剛がいない。DFの山根視来、車屋紳太郎、MF家長昭博、FW齋藤学、レアンドロ・ダミアンらがDF4−MF3−FW3のフォーメーション。

 前半は札幌が荒野を中心に駒井、チャナティップが再三、川崎陣内を脅かすが、はじき返される。左のウイングバックに入ったルーカスがゴール前に突進、シュートを試みるがGKに防がれる。川崎のビルドアップの形が整わず「控え目」に映る。やや札幌の優勢のまま(25分飲水タイム)。

 互いに様子見なのか、パス交換が行き詰まり、バックパス。この繰り返しで、この間札幌がシュート6本、川崎が3本と、札幌が6対4で押し気味に展開した。アディショナルタイムは2分で、0−0のまま終わる。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「いいゲームはできている」、「決定機は作れている。最後の質を正確に」、「後半の入り方を気を付けていこう」

■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント
 「守備は怖がらずに。攻撃はもっとボールを動かそう」、「ここからだぞ! 勝つためにやるべきことをやろう」


 後半は川崎が、満を持したように選手交代。三笘と田中を入れてきた。3分には札幌がCK。福森の右からのインスイングのボールを宮澤が合わせるが枠を外れる。10分過ぎまでは行ったり来たり。三笘のドリブルでの仕掛け、家長の縦パスやクロスが見え始め川崎のペースに。札幌は駒井のクロスに高嶺が反応するが、大きく枠を外れる。互いにピッチを広く使っての攻防。

 札幌の選手交代は16分。チャナティップがドゥグラス・オリベイラ。高嶺がアンデルソン・ロペス。「ハイプレス」の体制に展開する。駒井、荒野が下がり気味で、オリベイラとロペスがトップを形成する。

 17分、川崎陣内でMF守田が持ち上がろうとしたドリブルを駒井がカット。すかさず前方のロペスに縦パス。ロペスがDFを振り切り、GKとの1対1をかわしてシュートを決めた。川崎は前向きに全員が上がった逆を取られた感じ。

 さらに20分。中央で荒野が奪ったボールをロペスに縦パス、DFが止めに入ったところで左手を走るオリベイラに流す。オリベイラはワントラップ前進して、右サイドを駆け上がった荒野にGK前を横切るキラーパス。荒野は難なくゴール右に入れ2−0とリード。ベンチ前では小躍りしたペトロビッチ監督の姿も見えた。

 25分、川崎の選手交代。FW齋藤に代わってMF憲剛。ダミアンと宮代。DFジェジエウと登里、3枚替えで流れを変えにかかる。(27分飲水タイム)。

 このあたりから川崎の両サイドからの攻撃が激しくなる。31分右サイドから攻め上がりDF山根が持ちあがるがラインを割る。

 今度は札幌の選手交代。32分金子に代わって両ワイドのMFを出来る白井康介を右に入れる。35分札幌にFKのチャンス。福森のカーブするキックはクリアされた。これで札幌は攻撃から、防御の体制に変わる。対する川崎は36分から、KENGOのユニホームが走りまわるシーンが目立つ。CKはもちろん14番。ペナルティーエリア内での細かいパス。三笘のトリッキーなシュート。三笘には宮澤を付けた。

 44分札幌はルーカスに代えて石川直樹(今季初登場)。宮澤に代えて早坂良太。アディショナルタイムは5分。川崎のエース三笘防御は荒野で、キャプテンマークも引き受けた。終盤に向け札幌ゴール前の攻防が続く。DF福森が左からの攻撃を読んで中央に近いポジション取り。宮代の突っ込みを裁く。48分からはGK菅野が3本頑張った。1本目はエリア内の三笘の右からのシュート。2本目は田中のシュートを左足で防ぐ。3本目は三笘のヘディングシュートを防ぎ、落ちたボールは車屋が蹴るが枠外。全部決まってもおかしく無い川崎の攻めだった。

 昨年のルヴァンカップ決勝を思い出す。PK戦以来の石川の起用。ミシャ監督の深い心意気を感じるのは、私だけだろうか。

 札幌の次の試合は、ACL開催日程の都合で2020明治安田生命J1リーグ第33節が先に行われ、11月11日午後7時から、東京・味の素スタジアムでFC東京と対戦する。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「これまで、川崎F戦のほとんどは敗れていました。そうした過去の試合を振り返っても、今日のような良いゲームはしていました。ただチャンスがありながら得点を決められず逆に相手に点を決められるような試合がありました。ただ、自分たちができる部分が十分にあると思っていたので、前からボールを奪いに前からアグレッシブに行く。奪ったところで自分たちが支配をしていくと。そんな戦いを狙いに持ってやっていました」

■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント
 「これだけ多くのサポーターの方が駆けつけてくれた中で、結果もそうだけど、ゲームとして良いものを見せられなかった。本当に申し訳なく思っています。ただ、ここまでの戦い、今日負けてしまいましたけど、選手がここまで積み上げてきた価値は消えることはない。とにかくまずはしっかりと気持ちをリセットして、また次に向かいたいと思います」
池田淳