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J1第24節(10月24日)、ミシャ200勝「北海道と、ともに世界へ」

20・10・28
 上写真/試合開始早々の1分、札幌MF荒野のクロスに駒井(右端)が飛び込むようにヘディングシュートするがゴール右にはずれる、MFアンデルソン・ロペス(11番)とその右FWジェイが久し振りにそろって先発、やはりチームが安定する

   
(写真はいずれも10月24日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)

 
 コンサドーレの2連勝と

  ミシャ監督200勝に思う

 2020明治安田生命J1リーグ第24節は10月24日午後2時から札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌と横浜FCの今季2度目の対戦を行い札幌が3−0で快勝、7月4日の第2節の同チームとのアウエー戦でも2−1の結果で連勝した。7月の試合では三浦知良(53歳6か月=最年長)が出場、今回は中村俊輔(42=磐田から2年目の横浜の顔)が登場、太鼓と拍手の歓待を受けた。

 一方、ミハイロ・ペトロビッチ監督(63=セルビア出身、オーストリア国籍)の来日(2006年=広島−浦和2018年から札幌)から200勝達成が報告され花束が贈られた。


 「よい試合と良い結果」に感動


 ペトロビッチ監督の63歳のバースデーが、前週の18日。プレゼンターは2016年から一緒に歩んだMF駒井善成(28=京都府出身)だった。

 徐々に高まってきた「北海道と、ともに世界へ」のスローガンが、プロだけのものか?

 24日のJ1と、25日と続いた「第99回全国高校サッカー選手権大会」北海道大会の決勝をのぞいてみた。25日の高校大会は今季道内の同世代の大会をほぼ制している旭実。2年ぶりの全国大会で、7回目の出場を目指す。一方の札大谷は5年ぶり3度目。

 25日の札幌大谷高校と旭川実業高校の決勝。札幌市の厚別公園競技場で、両校の応援団が見守る中、午前11時45分から始まった。前評判は旭実、報道関係のカメラマンは、ほとんどが札大谷側のゴール裏。旭実の富居徹雄監督とは10年来の付き合い。札大谷の田部学監督は、同窓(東教大−筑波大)の後輩。カメラを持った私は中央に陣取るしかなかった。

 試合は後半に動いた。大谷・MFの鈴木浩人の約20メートルの右足シュートが決まった。シュート数は大谷4の旭実7だった。

 虎の子の1点を守り切った札大谷が5年ぶり3回目の全国大会出場。田部監督が報道陣に囲まれる。「100人近い選手がいる。2つのポジションができるように」を目指していると。富居監督が近づいて来た。「教頭から校長になった?」との私の質問に「まだまだ出来ますよ」とは、珍しい。サッカーができる「喜びは忘れないようだ」。

 「負けても、次がある。その瞬間から前が開ける」(ミシャからの伝言)。(高校サッカーのゲーム内容は別項で)

 
 コンサドーレ3−0横浜FC

 試合は24日午後2時2分、札幌のキックオフで始まった。ドームの気温は20.9度、湿度は50%パーセント。スタンドは6千256人でアウエー席は50人ほど。松尾一主審(48=大阪府出身)の笛でスタートした。

 札幌はGK中野小次郎が大学へ戻り、DFキム・ミンテ(イエローカードで累積出場停止)が前節までのメンバーから外れた。GKは菅野孝憲、DF田中駿汰−中央に宮澤裕樹が入り−左に福森晃斗。MFは荒野拓馬と高嶺朋樹がボランチ。ウイングバックにルーカス・フェルナンデスと菅大輝。トップ3は中央に5試合ぶりのジェイ、右にアンデルソン・ロペス、左はオールラウンドの駒井善成。控えはGKにタイのカウィンも久々。MFに檀崎竜孔、白井康介、中野嘉大、早坂良太、金子拓郎、FWドゥグラス・オリベイラが入った。

 横浜Cは4−4−2のオーソドックスな布陣で、FWの皆川佑介、瀬沼優司、MF草野侑己、手塚康平、DF袴田裕太郎が先発。控えには一美和成、斉藤光毅、DF志和孝明らが入った。

 ゲームは立ち上がり札幌の攻撃が目立つ。福森のCKや中盤の駒井の展開が相手ゴールを脅かす。札幌は12分あたりからDFからのビルドアップが激しくなる。型にはまったのは16分。最終ラインに下がった宮澤が、中央のジェイに縦パス。ジェイは右からゴール前に進入したAロペスに入れ、Aロペスは相手DFと競り合いながら右足のシュート。これがゴール左に決まって先制した。札幌はGK菅野の攻撃参加が目立ち、自陣中央を起点に前へ出るプレーが注目された(27分に飲水タイム)。

 33分あたりから横浜Cの皆川、マギーニョらの攻撃が目を引くがGK菅野が冷静に処理。さらに38分に横浜CはFKやCKでチャンスを迎えるが得点機を菅の素早いブロックなどで手堅くクリアする。アディショナルタイムは3分。1−0とホーム札幌のリードで終わる。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「いいゲームができている」、「後半も集中力を切らさずにいこう」、「相手のパスに注意していこう」

■横浜FCの下平隆宏監督のコメント
 「攻撃の部分はパワーを持って最後まで攻めること」、「攻守の切り替えを速く、球際は激しくいくこと」

 
 後半はトップのジェイに代わり金子。田中に代わり早坂が起用される。久しぶりに「節目に交代」。ミシャ・四方田・杉浦の監督−Hコーチ−コーチの息がそろう。14分に横浜Cはエース一美を投入、皆川がアウト。

 18分札幌は、後半に入った金子が中央からドリブル突破、得点機にシュートをするがDFに阻まれる。25分過ぎまで札幌の攻勢が続くが点にならず。25分荒野とFW Dオリベイラが交代。(28分飲水タイム)。

 さらに右MFあたりに位置する金子がフリーになる。何度か仕掛ける内に相手安永にイエローカード。FKは福森。走り込んだルーカスがバックヘッド、宮澤が走り込んだが、ボールはゴールラインを割った。チャンスはこの後、34分。2点目は、Aロぺスからの相手エリア内のスルーパス。ピッタリ、Dオリベイラに渡り、流し込む。

 オリベイラのリーグ初ゴールで札幌2点目。41分ルーカスと白井が交代。さらに札幌は42分、札幌陣内で持ち上がろうとする横浜C中村の横パスをカットした金子がそのままスピードに乗り左足でゴール右に決めた。無失点の3得点目、45分にAロペスとMF中野が交代。

 アディショナルタイムは5分。最後の最後に駒井の姿をジッと見た。(50分中野にパスを出してタイムアップ)。駒井はCKではハーフラインまで戻り、切り替えると「空走り気味に相手陣内に走り込む」。こんな「縁の下の力持ち」は見たことが無い。

 2020明治安田生命J1リーグ第25節ガンバ大阪対北海道コンサドーレ札幌戦は10月31日午後7時から、大阪府のパナソニックスタジアム吹田で行われる。


 上写真/前半4分、札幌のMF駒井(右手前)が横浜CのDF伊野波(19番)のボールを果敢に奪いに行く、左端MF高嶺(31番)、その右横浜CのMF安永(28番)


 上写真/前半14分、横浜Cのスローインのボールをこのところ調子が戻ってきた札幌DF福森(右)と横浜CのFW皆川が奪い合う、左端MF宮澤(10番)、その手前横浜CのMF瀬古(6番)

■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「監督の200勝は自分たちの1つのモチベーションだった。良い形で勝てて良かったと思っています。なんとしても今日、それを決めようとみんなで話して試合に入った。試合のほうはやるべきことはいつもと変わらなかったが、自分のところから持ち運ぶことができて、そこから崩しにかかることができていた」


 上写真/前半16分、先制ゴールを決めた札幌MFアンデルソン・ロペス(左端)と抱き合って喜ぶMF高嶺(31番)、荒野(27番)、宮澤(右端)ら

■北海道コンサドーレ札幌のアンデルソン・ロペス選手のコメント
 「得点のところは、ジェイとのコンビネーションが非常に良かったです。彼にクサビが入った瞬間にパスが来ると感じていた。そして、その後のファーストタッチで相手をかわすことができたことが大事なポイントだったと思っています。ドド(ドゥグラス オリヴェイラ)へのアシストは、うまい具合にボールを運ぶことができた中で、彼の姿がハッキリと見えていた。彼が頑張っている姿をいつも見てきたので、アシストができてとてもうれしい。監督の200勝に貢献できたことはうれしい。私も過去に多くの監督と仕事をしてきたが、最もインテリジェンスのある監督だと感じている。今後も一緒にいろいろなことを成し遂げたいと思っている」


 上:上段写真/後半34分、札幌MFアンデルソン・ロペス(後方)がFWドゥグラス・オリヴェイラのリーグ初ゴールをアシストするパスを出す、手前横浜CのDF伊野波(19番)

 上:下段写真/後半34分、FWドゥグラス・オリヴェイラが札幌でのリーグ初ゴールを決めMF早坂(左端)とハイタッチして喜ぶ。右端アシストしたMFアンデルソン・ロペス(ポストの陰)と同様にハイタッチする控えのMF白井(19番)


 上写真/後半39分、札幌FWドゥグラス・オリヴェイラ(中央右)が横浜CのMF安永(28番)と激しくボールを奪い合う、リーグ初ゴールを決めた後も攻守に気迫を見せた、左端MF早坂(26番)


 上:上段写真/後半42分、札幌MF高嶺(左)が横浜Cのベテラン中村に臆せずボールを奪いに行く

 上:下段写真/後半42分、札幌MF高嶺(左)のチェイス(上段写真)で横浜CのMF中村の横へのパスミスを誘発、それを札幌MF金子(30番)がカットし、ドリブルで独走、ダメ押しゴールを決める。左横浜CのDF伊野波


 上写真/後半42分、ダメ押し点を決めた札幌MF金子(右から2人目)を祝福する高嶺(31番)、くしくも左右に2点目のオリヴェイラ、先制点のロペスが並んだ


 上写真/ペトロビッチ監督の200勝を記念するそろいのシャツを着てサポーターへあいさつに向かう札幌の選手たち、左からGK菅野(1番)、MF荒野(27番)、菅、中野、金子(30番)、白井、駒井(14番)、FWジェイ(48番)ら


 上:左側写真/後半10分、選手を鼓舞する札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/前半18分、DF袴田(26番)に大声で指示を出す横浜FCの下平隆宏監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「鹿島戦に勝利したあと、連勝が出来るか、そこが問われる試合でした。今年はチームの成績に波があり、なかなか連勝ができませんでした。しかし、今日は選手たちが立ち上がりから走り、戦ってくれました。高い位置からボールを奪いにいき、リスクを負いながらもゲームをコントロールしてくれました。良いコンビネーションからの得点もありましたし、最後まで集中して戦えたことはすごく良かったと思う」

(−J1リーグ200勝目ですが、大事にしてきたポイントは?)
 「サッカーの世界では勝敗はやはり大事である。ただし、我々のサッカーを見てくれた人にサッカーの楽しさを伝えなければいけない。私が選手、監督としてこれまで多くの試合を経験してきた中であらためて思うのは、サッカーは多くの人を楽しませるものでなければいけない。90分間だけは日常を忘れて楽しめるものを提供しなければいけない。もちろん勝敗は重要です。でも、見ている人を楽しませなければそれはサッカーではない。今日の200勝以上に、見てくれた人にどれだけ楽しんでもらえたか。そちらのほうが重要だと私は考えている」

 
■横浜FCの下平隆宏監督のコメント
 「遠く北海道まで来て応援してくれたサポーターに勝点3を届けたかった。しかし内容、結果ともに厳しいものになりました。先制点を奪われ、そこから交代選手を含めて、同点、逆転までもっていきたかったが、自分たちのミスから2点目、3点目を奪われてしまいました。ちょっと攻め急いだ感じもありました。しかしながら、これからも試合が続いていくので、準備をしていきたいと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影