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J1第20節(10月3日)、ホームで仙台と3−3のドローに持ち込む

20・10・06
 上写真/前半2分、仙台の攻撃を札幌の特別指定選手GK中野(中央)が2メートルの長身を生かしてセープする。観客の入場制限の緩和によってゴール裏サポーターの人数も多くなり拍手の応援も大きくなった

    (写真はいずれも10月3日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 新加入選手の起用?

  ミシャの狙いの善悪

 コンサドーレの様子が「ちょっと変だ」と感じた人は少なくない。2試合連続で新加入のGKを投入し、質の向上を図る分析の読みは「当分続きそう」。選手に期待したいのは「ハートの成長と選手生命の思惑だ」。大卒加入者の精神分析を考えさせられるゲームは3−3の引き分けだった。

 北海道コンサドーレ札幌は10月3日、2020年明治安田生命J1リーグ第20節で ベガルタ仙台と札幌ドームで対戦した。札幌は前半1点を先行したが、後半3連続失点を許し1−3と「またか?」を思わせる展開だった。

 試合は、屋内で気温23.1度、湿度60パーセントの快適な状態。観客は新型コロナウイルスの歯止めが一部解除になった初日とあって、マスクは常備の状態だったが初の5千人越えの5千339人。ホイッスルは51歳を超え、ますます元気で札幌はお馴染みの村上伸次主審(東京都出身)の笛で午後2時3分、札幌アンデルソン・ロペスがキックオフ。

 札幌のスタメンはGK中野小次郎(21=徳島県出身、法政大学在学中・特別指定選手・2試合連続)。DFは田中駿汰−キム・ミンテ・−福森晃斗、DFW金子拓郎−菅大輝、MF荒野拓馬−高嶺朋樹。2シャドーに駒井善成−小柏剛、FWはアンデルソン・ロペス。サブ(Substitute=補欠選手)、GK菅野孝憲、DF進藤亮佑、MF檀崎竜孔、白井康介、中野嘉大、深井一希、FWドゥグラス・オリベイラ。

 仙台のスタメンはGK小畑裕馬、DF柳貴博−シマオ・マテ−平岡康裕−パラ、MF浜崎拓磨−椎橋慧也−関口訓充、FW道渕諒平−西村拓真−アレクサンドレ・ゲデス。サブGK川浪吾郎、DF金正也、MF石原崇兆、田中渉、イサック・クエンカ、FW長沢駿、山田寛人。

 札幌は前節から宮澤裕樹とルーカス・フェルナンデスが外れ、DF福森、FWにAロペスが入る。仙台はGKスウォビィクが外れ小畑が入る。

 立ち上がりから、まず仙台がCK(コーナーキック)を得る。2分から3分に続けて浜崎が蹴るが防がれる。この後4分に札幌がCKを得て福森がキック。大きくクリアされ、MFの高嶺がシュートするがゴールを大きく外れる。札幌が優位に試合を進め、20分中央からのパスを受けた駒井がヘディングで小柏に落とし、ゴールを狙うがわずかに外れる。さらに21分、金子小柏との連係プレーも見られたが、相手DF陣にさばかれる(22分飲水タイム)。

 プレー再開後の25分。札幌左サイドからの攻め。福森からの右への大きなパス。待ち構えた金子がヘッドで中央に切り込んで来たAロペスに合わせる。Aロペスの地面に叩きつけるようなヘディングはGK小畑の反応も及ばず、均衡を破った。札幌が今季「先行した試合は5試合」。この勝率は3勝1分け1敗。勝率は60%だ。

 札幌は、中央の荒野、駒井、金子、小柏らがトップのAロペスに配球する回数が増えるが得点にはならず。福森が相手の進入を止めようとしてイエローカード。アディショナルタイムは2分。試合は動かず前半はタイムアップ。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「チャレンジ&カバーをもっとしていこう」、「ここからが勝負だ。90分、チームとしてどう勝つか」、「追加点をとっていこう」

■ベガルタ仙台の木山隆之監督のコメント
 「シンプルなプレーを心がけ、前にプレーしよう」、「もっとコンパクトにプレッシャーをかけ、ハードワークすること」


 後半戦が始まった。互いに選手交代は無い。2分、試合が動いた。仙台が左側からバラが突破。エンドラインから中央へリターン。浜崎がダイレクトシュートを打つが、札幌キム・ミンテが体ではじき返し、こぼれ球を仙台FWゲデスが左足で叩き込む。

 さらに3分後の5分。仙台MF関口が左エンドラインからふわりと上げた「狙いすました」ゲデスへのセンタリング、札幌GK中野が「苦笑いする」ほどの正確さでゴールイン。手も足も出なかった。

 さらに12分。仙台のコーナーキック。左サイドから浜崎が右足で外側から内側に入る「インスイング」。DF平岡(183センチ)がヘディングで決め、札幌GK中野をバンザイさせた。3点目。1−3で、木山隆之監督のガッツポーズがチラッと見えた。

 今度は札幌の番。間髪を入れず、駒井−菅−荒野−Aロペス、後続の福森−キム・ミンテの古株が動く。14分、駒井が左サイドの菅にグラウンダーのパス。リターンした菅のセンタリングはAロペスの足元。難なくシュートしたが相手守備陣の体に当たりネットに吸い込まれた(判定はオウンゴールにはならなかった)。

 2−3に攻め寄る札幌の方が、しっかりとした組み立て。1点差に迫ったテンションはまだ25分も残すのに「しゅんとした」仙台が「下を向き始める」。同点機は2分後の16分。中央に入っていた高嶺がドリブルでペナルティーエリアに突進、左の菅にパス。落ち着いて菅は、いつもとは違う右内側へドリブル。DFは前を塞ごうとするが、中へ。右足のシュートはGKも立ち往生させる一発。3−3の同点の一撃・ひと蹴りだった。

 まだ、25分も残っている。選手交代は仙台が先。FWゲデスが長沢へ、FW西村がMF石原。札幌はMF高嶺が深井へ。(飲水タイム23分から25分まで)。30分荒野が白井へ交代。33分福森OUT進藤IN。仙台は36分道渕OUTで、けがで離脱していたクエンカ(29=スペイン、2019年来日J1・鳥栖から今季移籍)が入る。41分関口OUT金正也IN。

 45分アディショナルタイムは6分が掲示される。最後のシュートは51分駒井がペナルティーエリアからふわりと進藤に上げたボールはシュートされたが枠を捉えられず。52分クエンカにイエローカード(相手の邪魔をした)。シュート数は札13−仙11。CK、札・仙各5。FK札14−仙9、でした。

 大卒選手の起用がコンサドで始まった。コンサドーレのペトロビッチ監督は、多角的なシステム、選手起用でJリーグの先駆者と言っても過言ではない。サンフレッチェ広島では、特に指導者層のビルドアップ。浦和レッズでは、選手の個性を引き出すチーム造りを打ち出し「反発」を食った。札幌ではチームワークとビルドアップ。いずれも杉浦大輔コーチ兼通訳と一緒で18年以上の経歴。今年は新型コロナウイルス下で、ミシャ監督共々、サッカーの新世界を見ているだろう。先は分からない。大いに遊んで己を磨いてほしい。挑戦は起き上がってみないと、善悪は付かない。頑張ってほしい。

 選手に一言。天に向けて一本指を立てろ、「育ててくれた人と去った人のために」。「もう一つは、背中を叩き、試合で困った時に、にじんで来る人がいるように」。一本指は、長谷部誠氏の「おじいさんの話」。背中は「背中をさすってくれる人はそうは居ないよ」。

 2020年明治安田生命J1リーグ第21節は、10月10日午後2時から北海道コンサドーレ札幌と湘南ベルマーレ戦が札幌市の厚別運動公園競技場で行われる。


 上写真/前半20分、札幌MF駒井(14番)と以前札幌にいた仙台DF平岡(13番)が激しくボールを奪い合う


 上写真/前半25分、札幌アンデルソン・ロペス(中央左)が右サイドからのMF金子の折り返しをヘッドで押し込み先制ゴールを決める。仙台GK小畑(左)が宙を飛んだが守れなかった、右から2人目仙台キャプテンDFシマオ・マテ


 上写真/前半25分、札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)が先制ゴールを決め、アシストしたMF金子と抱き合いながら左手を高々と上げる、その手前、特別指定選手の大学生MF小柏(35番)、仙台GK小畑とDFシマオ・マテ(23番)はぼうぜん

■北海道コンサドーレ札幌のアンデルソン・ロペス選手のコメント
 「ひさびさに先発でプレーすることができて非常にうれしかったです。自分の最大限の力を出せたことは満足しています」


 上:左側写真/前半25分、先制ゴールを決めた札幌FWアンデルソン・ロペスが大卒ルーキーのDF田中(32番)とMF高嶺(31番)に祝福されて笑顔を見せる

 上:右側写真/前半25分、先制ゴールを決めた札幌FWアンデスソン・ロペス(11番)がピッチにひざをつき両手を高々と掲げ、サポーターにアピールするお馴染みのポーズ、なぜかいつも後ろ向きだ


 上写真/前半45分、仙台DFシマオ・マテ(23番)が札幌DFキム・ミンテ(20番)と競り合いながらの攻撃をGK中野(右端)、MF金子(30番)、高嶺(その左)ら懸命に守る、左端MF菅(4番)


 上写真/後半2分、仙台FWアレクサンドレ・ゲデスがMF浜崎のシュートのこぼれ球を決めて同点とし喜ぶ、DF平岡(13番)、FW西村(15番)、MF椎橋(5番)。札幌の選手は天を仰ぐMF高嶺(31番)、ピッチに腹ばいになっているDFキム・ミンテ、FWアンデルソン・ロペス(11番)、GK中野(その奥)、DF福森(5番)

■ベガルタ仙台のアレクサンドレ・ゲデス選手のコメント
 「ハーフタイムで「とにかく、強く入っていこう」ということを全員で言い合っていました。(後半の)最初から強く、勝ちたい気持ちをピッチで出そうという気持ちでやって、逆転できました。3点を取ることができたことについては、良かったと思います」


 上:上段写真/後半5分、仙台FWアレクサンドレ・ゲデス(中央右)がMF関口の左からのクロスにヘッドで合わせて逆転ゴールを決める、札幌GK中野(34番)、左手前MF荒野(27番)、DFキム・ミンテ(その奥)、右端DF福森(5番)、その左、仙台の5番はMF椎橋

 上:下段写真/後半12分、仙台左CKからDF平岡に3点目を決められ腰に手を当てる同じポーズでぼうぜんとする札幌MF金子(30番)とGK中野(34番)、左端DF田中(32番)、ユニホームで顔を覆うキム・ミンテ(20番)、中央は喜ぶ仙台DF柳


 上写真/後半14分、この試合2点目のゴールを決めて1点差とした札幌FWアンデルソン・ロペスがゴールしたボールを素早く手にし、ものすごい形相で「もう1点だ!」と言わんばかりにセンターサークル方向に走り出す、左は仙台キャプテンDFシマオ・マテがユニホームで汗をぬぐう


 上:左側写真/後半36分、熱戦に夢中でペットボトルを入れたバックにぶつかって、危なく転びそうになった札幌のペトロビッチ監督

 上:下段写真/後半追加タイム5分、懸命に指示を出す仙台の木山隆之監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「3−3で引き分けという結果に満足はしていません。ただし、今日の選手たちが見せたパフォーマンスは素晴らしかったと思います。前半は良いコンビネーションなどで良い形をたくさん作れていました。その中で、やはり2点目が必要だったと思います。ただ、チームとしては後半に3失点をした時間帯だけが悪い時間帯でした。その後、同点に追いつき、4点目を取るチャンスもあったと思いますし、若い選手が規律を持って自分たちのサッカーを見せてくれました。なかなか結果が出ていませんが、目指している方向は間違っていないと感じました。引き分けは残念ですが、選手たちが今日の試合の中で見せた攻守に対して誰も批判することはできないと思います」


■ベガルタ仙台の木山隆之監督
 「前半は、自分たちのやろうとしていたプレーが、正直出せなかった。相手の守備に押し下げられて、前線にボールを入れるときもあまり効果的なプレーができなかった。どちらかというと、弱気な前半だったと思います。後半に、ビハインドの中で考え方や立ち位置を変えながら逆転したことは良かったと思います。ただしそこから問題が多く、アクティブさを失い、腰が引けてしまうところがあるので、そこでもう少し自信を持って、強度を落とさないプレーを出していくことが必要だと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影