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J1第14節(9月5日)、厚別で広島に0−2で敗戦

20・09・11
 上写真/試合開始早々の1分、札幌DFキム・ミンテ(20番)と広島FWレアンドロ・ペレイラが激しくマッチアップ、左札幌MF宮澤(10番)、右広島MFドウグラス・ヴィエイラ(9番)

  (写真はいずれも9月5日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)
 
 
 コンサドーレは「自粛」なのか

  城福監督が「師の影を踏み倒す」手柄

 サッカーの教本に「全ての人のために1人がいる。1人のために全てがある」という言葉がある。2020年明治安田生命J1リーグ第14節は9月5日午後2時から、北海道コンサドーレ札幌のホーム札幌市の厚別公園競技場で、サンフレッチェ広島と戦い0−2で敗れた。

 コンサドーレのペトロビッチ監督が、日本で最初に手掛けたのが広島。2006年6月から采配、07年にはJ2へチーム2度目の降格(2003年J2経験)、08年J1に昇格した。2011年12月広島を去り、2012年1月から浦和レッズで監督就任、16年YBCルヴァンカップ優勝、17年7月に解雇になるが、その年ACL(AFCチャンピオンズリーグ)優勝の下地を作って去った。

 2017年、コンサドーレは四方田修平監督のもとJ1昇格し残留、愛称ミシャ監督は18年1月に札幌に就任。3年目を迎え、コンサドーレは4年目のJ1リーグを戦っている。

 新型コロナウイルスのまん延で、世界的な「自粛」ムードが広がり、日本でも観客制限や日程変更、札幌はホームでの練習を中止、千葉のJAPAN合宿用の練習地での思わぬ経験をして「成果」を挙げた。その頃活躍した鈴木武蔵を「北海道とともに世界へ」のスローガン通りに羽ばたかせ、その後「苦戦が続いている」。2020年2月に端を発した「コロナ」、これで太陽の「コロナ」で無いことが解ってしまう昨今、ペトロビッチ監督は、コーチの杉浦大輔通訳と共に「マスク無し」。

 9月5日の試合場で、広島・城福浩監督ともに「オシムさん(イビチャ・オシム氏・79=元JAPAN監督、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身。国籍=オーストリア)が人生のお手本」という2人が堅い握手と行きたいところだが「抱擁=ほうよう」。ここ3年間「札幌と広島を率いて戦ってきたが、互いにホームでは負けていない」。

 試合会場の厚別公園競技場は雨予報が外れて快晴。気温25.9度、湿度61パーセント。東からの微風で過ごし易い。観客は2千104人でまずまずの入り。午後2時5分、佐藤隆治主審(43=愛知県出身)。国際審判で、札幌でもよく笛を吹くベテラン。

 札幌の布陣はFW2人、ジェイとアンデルソン・ロペスをトップにチャナティップ(体調不良でベンチ外)に代わり駒井善成。中央にはキャプテン宮澤裕樹・荒野拓馬の2人。3バックは右から田中駿汰―キム・ミンテ―福森晃斗。GKは菅野孝憲。両ワイドのルーカス・フェルナンデス、菅大輝に「得点の場面」ができそう。ジェイとAロペスが囮(おとり)なんて?

 師匠が同じならシステムも同じ。これをミラーゲームという。3―4―3は、時には5トップにも、守っては5バックに代わる。

 広島はFWレアンドロ・ペレイラをトップに森島司とドウグラス・ヴィエイラがサポートする。札幌の最大のピンチは前半17分。広島のヴィエイラがペナルティーエリア内にドリブル突破。これをミンテが、後方から倒しPK判定。広島のMFハイネルがキックするがゴールポスト左下に当たり、外れる。

 中盤にいるMF青山敏弘と川辺駿が札幌のジェイとAロペスを射程に収めながら荒野に突進を許さない。荒野の横パスが目立ち、引きずられるように右の田中がインタセプトしてパスの相手を探すが見つからない。

 こんな攻防が続き前半は、やや札幌優位で終わる。(飲水タイムは24分)


 【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「1歩反応が遅いので、はやく動き出そう、「カウンターのケアをしっかりしよう」、「立ち上がり10分15分に気を付けよう」

■サンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「サイドの守備はサポートを早くすること」、「勇気を持って我々らしくボールをつないでいこう」、「切り替えのところが勝負だぞ!」


 後半は、札幌のキックオフで始まる。早くも広島のMFハイネルがMF茶島雄介に代わる。広島得意の集中攻撃。5分にFWのLペレイラが右サイドのMF柏好文にパス、大きく札幌WDF菅大輝の頭を越してMFヴィエイラがヘディングシュートを決めた。0−1と先手を取られた札幌が選手交代。12分に荒野がMF高嶺朋樹に。宮澤がMF深井一希と。福森が進藤亮佑、AロペスがMF金子拓郎に、初めての4枚代えを行った。

 3バックは右から進藤・ミンテ・田中になり、Aロペスの後に金子が入った。23分にFKを得るがキッカーは菅が務めた。札幌の交代が一段落、広島がトップ下の森島をFW浅野雄也に。(24分飲水タイム)。札幌・駒井がドゥグラス・オリベイラに代わったのが25分。腕章を巻いたジェイが出ずっぱり。オリベイラとトップで得点を狙う。残りが20分はある。

 38分広島のエース井林章が準備を始める。札幌は菅のシュートが目立つ。43分、札幌はFKを得るが、ゴール前の荒木にブロックされて得点にならない。切羽詰まった45分準備をしていた井林が、ゆっくりとピッチへ。アディショナルタイムは5分。直後に札幌のエンドライン近くで相手ボール。カットされたボールは浅野にわたり、右45度あたりからのシュートが見事ゴールインした。

 残り時間が少ない中で、48分菅にイエローカード。遅れ気味に相手にタックル。最後の50分、ルーカスのゴール前へのボールはクリアされて万事休す。ホームで初めて0−2で完封された。

 2020年明治安田生命Jリーグ第15節は9月9日午後7時30分からアウエー・ヤンマースタジアムで、北海道コンサドーレ札幌(12位)とセレッソ大阪(2位)戦が行われる。


 注)文の始まりの「全ての人〜〜」は、デットマール・クラマー氏が1960年私にくれた「ドイツサッカー」の中に出てくる。実は「PK戦で負けた」横浜マリノス戦の後、あの教書は「PK」を扱っているかを見るために開いた。反則のPKの攻め方は書いてあったが、5人プラス無限での勝者の決め方は書いてなかった。ミシャ監督は「私は運がない」と言っていたが、ひと昔前までは、グラウンドにサッカーゴールの白枠を書いたボードを散見したものだ。人形を立てたブロックよりも、ボードについたボールの後に「何か郷愁を感じるのは私だけだろうか」(池田淳)


 上写真/前半12分、札幌FWジェイ(中央)が広島DF荒木に足をかけられる、左端札幌MFアンデルソン・ロペス(11番)、ジェイの後方MFルーカス・フェルナンデス、右端広島MF柏(18番)


 上:上段写真/前半27分、札幌左CKからの混戦でMFアンデルソン・ロペス(11番)が広島ゴール前に迫るも、広島のベテランMF青山(6番)に身を挺して阻止され絶好の先制機を逃す。20番DFキム・ミンテ、右端MF宮澤(10番)、広島の選手左からDF荒木(23番)、MFハイネル(44番)、GK大迫

 上:下段写真/前半32分、札幌DF福森(右端)のFKは広島の壁に当たりCKに逃げられる、そろそろ伝家の宝刀炸裂かと期待されたが、ならなかった。広島の壁、左からMF青山(6番)、DF佐々木(19番)、荒木(23番)、MFドウグラス・ヴィエイラ(9番)、FWレアンドロ・ペレイラ(39番)、DF野上(2番)、壁の前に札幌MF菅(左)と荒野(27番)が入っている


 上写真/前半33分、札幌右CKからFWジェイ(左端)と広島DF佐々木がヘッドで競う、右は広島MF川辺(8番)


 上写真/前半42分、札幌MF菅(左)と駒井(14番)が広島MFハイネル(44番)を挟み込むように競い合う


 上写真/後半5分、広島MFドウグラス・ヴィエイラ(右から2人目)が柏の左サイドからのクロスにヘッドで合わせて先制ゴールを決める、札幌の選手は左からMF宮澤(10番)、菅、荒野(27番)、左端広島MF森島(10番)


 上写真/後半23分、札幌右CKからDF進藤(3番)がヘディングシュート、ゴール寸前まで迫るが広島MF東(右端)に阻まれる、札幌の選手FWジェイ(48番)、DFキム・ミンテ(20番)、広島GK大迫の表情が凄い


 上写真/後半45分、広島MF浅野(29番)がドリブルで駆け上がり、ダメ押しとなる追加点を決める、左札幌MF深井(8番)、右DF高嶺


 上写真/広島に0−2と敗れ7試合勝利が無く厳しい表情を見せる札幌の選手たち、MF深井、ルーカス・フェルナンデスが腰を折り、金子は天を仰ぐ、菅の表情がすべてを物語っている


 上:左側写真/後半28分、佐藤隆治主審(左)に抗議する札幌のペトロビッチ監督

 上:右側写真/後半25分、飲水タイムにボードを手にGK大迫(右)と話す広島の城福浩監督


■北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロビッチ監督のコメント
 「予想どおり厳しい試合になった。我々は0−0で折り返したが、そういう中で得点を決める割合がよくなくて疲労の色が出てきた。中2日での連戦により、キツい状況ではあったと思うが、その中で良く戦ってくれた。0−1の中で4人を変えて逆転を狙ったが、チャンスがありながらもなかなかゴールを割れなかった。

 いまの日程の中で戦うことを言い訳にはしたくはないが、中2日での連戦を戦う我々と前節から1週間空いた広島との差があったことは確かだろう。とはいえ選手は最後まで戦ってくれた。ただ、こういう状況はサッカーではあることだと思う。いまある状況を受け止めて、次の試合に向けて準備をしていくだけです」


■サンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「ここ何試合か内容に対して結果が伴っていないような状況だったので、我々の中でもこれを打破したいという思いがありましたし、目指しているものが間違っていないということをチーム全体で確信したかったので今日はどうしても勝点3を取りたかったですし、ルヴァンカップで札幌さんに負けたこともあったので、それも含めて我々が積み上げているものを出して勝点3で終えられたのは非常に良かったなと思います。リモートで応援してくださっている広島の方々にも良い報告ができたなと思います」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影