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武蔵が2得点・再開初戦勝利で飾る

20・07・05
横浜FCに2−1 キングカズ外れる

 2020年7月4日、明治安田生命J1リーグ第2節が「新型コロナウイルス」のまん延で2月22日の第1節終了後、約5か月の中断の後に再開した。

 北海道コンサドーレ札幌は、午後6時から横浜FCとニッパツ三ツ沢球技場で対戦、前半1−1の同点から、後半8分にエース鈴木武蔵の2点目が決まり、2−1で今季J1初勝利。これで札幌は勝ち点3で11位に浮上した。

 会場は「無観客試合」(リモートマッチ)。両軍選手は「密」を避けた間合いで円陣を組んで「あいさつ」をした。ピッチコンディションは、曇り空、気温25.8度、湿度90%の中、午後6時3分、家本政明主審(47=広島県出身)のホイッスルで始まった。

 両軍のスターティングメンバーを見ると、53歳キングカズこと三浦知良の名前がない。DAZNの映像で黒系統のマスクをしたカズの姿も映し出されていたが―。

 札幌のスタメンは、ジェイをトップに、左にチャナティップ、右に鈴木武蔵。両ウィングバックは左・菅大輝、右・白井康介。中央に深井一希と荒野拓馬。3バックは中央に宮澤裕樹、右・進藤亮佑、左・福森晃斗。GK菅野孝憲の先発イレブン。宮澤キャプテンのスイーパーぶりを見たい。

 横浜FCも、いつもの4−2−3−1のシステムから3−4−2−1の3バック態勢で挑んできた。下平隆宏監督は2年目で、「やってみたい」ミラーゲームだったとか。カズをはじめベテランの松井大輔、中村俊輔らの「きっと面白い」と、躍進・札幌とペトロビッチ監督の「ハイトップ」導入の成果のお披露目だったと感じた。

 試合の方は、横浜のキックオフで始まり、トップの一美和成(22=熊本県出身)に注目した。京都サンガF.C.の頃から頭角を現しU−23日本代表候捕。

 先手は3分に札幌のエース武蔵が、チャナティップからのセンタリングを、一度は相手DFにはじかれながらもゲット、先制した。トップのジェイは引き気味で中央での「さばき役」に徹していたようだ。

 1−0からの展開で目に付いたのは、札幌と横浜の3バックシステムの違い。マイボールにすると、すぐ「ハイプレス」に入る札幌に対し、一度は守備陣に戻して展開する横浜の態勢が気になった。

 しかし、15分の横浜の一撃は素晴らしかった。中央でMF陣が一度パス交換をすると、トップの一美がワントラップでDF、GKまでも置き去って、札幌ゴールに流し込んだ。「あの反転トラップ」が素晴らしかった。

 1−1で前半終了。[いつものハーフタイム監督コメントなし]
(前半の飲水タイムは23分ごろ確かに取っていました)

 後半は、双方選手交代の準備をする一方、勝ち越し点が欲しい。札幌はジェイがトップに出たり、チャナティップとのやり取りで下がったり。右サイドに陣取る武蔵がニュートラルゾーンからトップに出る回数が増える。

 すると8分、均衡が破れた。センターライン付近でチャナティップが、ボールをいじくる。これがサインだったか。チャナティップから右ゾーンにいた武蔵がトップスピードに乗るスルーパスが出ると、相手DFが追いつけない。GKと1対1で、武蔵がこの日2点目をゲット。祝福を受ける。チームは「コロナの配慮がすっ飛ぶような接触」だった。

 2−1と札幌リード。我に返ると、3人から5人に増えた「選手交代の妙」。

 今までは前後半3人までだったのが、3回で5人にする―となった。今回の場合、両チームとも前半の交代はなかった。後半に3回の交代は1度に5人代えてしまうと、けが人が出た場合でも、もう代えられない。各チームは1人、1人、3人なら不慮の事故を考えると、3交代がベスト。すると2・2・1か、1・1・3になり札幌は後半13分深井が田中駿汰、同28分に荒野が高嶺朋樹、同42分に、チャナティップが金子拓郎、宮澤が駒井善成、白井がルーカス・フェルナンデスに代わった。

 相手の横浜もベテラン松井大輔(39)が登場、若手3人が代わった後、フリーキックの名手・中村俊輔(42)もピッチに立ったが、得点機は来なかった。

 次節札幌は、中3日の7月8日午後7時から鹿島アントラーズと茨城県立カシマサッカースタジアムで対戦する。鹿島は今季、大岩剛監督から、ブラジル出身のザーゴ監督(51)に代わり、コーチングスタッフも一新している。

 今季の鹿島は2連敗で1得点5失点、得失点差−4で最下位の18位。ちなみに対戦相手が1位のサンフレッチェ広島、川崎フロンターレだから、札幌にしても、じっくり戦いたい。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日のゲームはすべてのチームにとって簡単なゲームではなく、難しいゲームになると分かっていました。やはりコロナウイルスの問題で長い中断をしていて、個別で練習をしなければならなかったり、チーム練習がなかなかできなかったりした中で、ようやく公式戦を迎えられた。

 ただ、やはり思っていたようにゲーム体力やゲーム勘は改善できる。特に前半はリードするところまでは良かったけど、そのあとの展開はビルドアップがうまくいかず、長いボールが増えて相手ボールになってしまい、追いつかれてしまった。ビルドアップがうまくいかなくて、自分たちの時間を作れなかったことが前半の反省であります。

 後半に入って、ビルドアップが改善して自分たちの時間を作ることができた。そこで2点目が取れた。今日のゲームは勝利したことがわれわれにとって一番良かったことであり、選手たちに自信を与える」


■横浜FCの下平隆宏監督のコメント
 「札幌戦ということでシステムを3バックに変えてトライしました。その中で初めて出る選手やデビューする選手がいたり、久しぶりにJ1で出る選手がいた中で、チームとしてやろうとしていたことに関しては非常に狙いを持ってトライしてくれていたと思いますので、全体的にはポジティブに捉えています。

 ただ、サッカーの中で自分たちの時間のときに点を奪えれば、もっと違った内容になったと思います。そこの詰めの甘さや簡単に失点してしまうところではまだまだ力の差を感じるので、ポジティブに捉えられるところと勝負に勝つために突き詰めるところを確認しながら、次のゲームにつなげられればと思います」


 『池淳の岡目八目 コンサドーレの秘策を探る』は試合日程やオンライン取材のため、当分の間休みます。
池田淳