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J1第31節(11月9日)、マリノスのベスト3に“助け舟”

19・11・11
スピードが違うよ「ローカルの雄」

 ペトロビッチ監督は「試合前のアップを見ているのだろうか」。立ち上がり4分で2点を献上、混乱の守備陣はなすすべがなかった。

 明治安田生命J1リーグ第31節は11月9日午後2時から、3位横浜F・マリノスと7位の北海道コンサドーレ札幌が、今季でサヨナラのニッパツ三ツ沢球技場で行われた。晴れ、気温は19.2度、湿度41パーセントの秋日和。1万3千6百17人の入場者の中で行われた。試合を司るのは佐藤隆治主審(42=愛知県出身の国際審判)。

 試合の方は札幌のジェイが午後2時03分キックオフ、スローペスながら相手陣内に攻め入る。ちょっと違うと感じたのはマリノスの自陣でのパス回し。両サイドに開きながら、2トップのFWが、センターラインを背に前進しない。札幌DFラインがやむなく上がって来る。始まって2分、まんまとやられた。

 札幌DFキム・ミンテが、いつものGKからのビルドアップを考え、自陣中央に上がってきたク・ソンユンにバックパス。狙っていたマリノスFWエリキがGKクのトラッピングをかすめ取り、無人のゴールに流し込んだ。背番号20キム・ミンテの必死の戻りより先にボールはネットを揺らした。

 2失点目は4分。札幌のゴール前の甘さを突かれての失点。マリノスのFW仲川輝人が札幌の右エンドラインから切り返し、一度は跳ね返されたが、しつこくセンタリング、走り込んだエリキがノーマークのヘディングを決めて2点目。札幌の防御陣の凡プレーが目立った。

 札幌のスタメンは、トップがジェイ。右に鈴木武蔵、左はチャナティップ。中央に荒野拓馬と深井一希。WBは右ルーカス・フェルナンデス、左が菅大輝。3バックはいつもの進藤亮佑、キム・ミンテ、福森晃斗。GKク・ソンユンの布陣。相変わらずチャナのドリブル&切り返しが見事。

 札幌も6分、定番になったCKゴールを見せてくれた。福森が右からキックすると長身FWジェイがヘディング、GK朴一圭にはじき出されるが鈴木が蹴り込んで一矢を報いた。しかし、マリノスはとどまるところを知らない。23分センターサークル付近のボールの奪い合いから、マリノスのエースの中川がドリブル。札幌防御陣の選手を振り切る。札幌ペナルティーエリア前ではGKクを振り切って無人のゴールに流し込んだ。1−3で試合を支配して前半を終わる。


【監督のハーフタイムコメント】
■札幌・ペトロビッチ監督
 「しっかり後ろからつないでいこう。自分たちのビルドアップを修復すること。自分たちが狙いとする攻撃を出して攻めよう」


 後半、札幌はジェイがアンデルソン・ロペスに交代、意欲的に攻めた。ボールの動かし方が、見違えるよう。後半3分、右サイドでFKを得ると福森がゴール前へ。進藤がヘディングシュート。GK朴がファインセーブ、こぼれ球を武蔵がシュート、再び朴に阻まれた。

 その後、後半17分に両チームが選手交代。札幌がキム・ミンテに代わり宮澤裕樹、マリノスが仲川から遠藤渓太に代わり得点の変化が出た。代わったばかりのマリノス遠藤がペナルティーエリア内のマルコス・ジュニオールに入れたパスを札幌・福森が後ろからチャージしてPK判定。25分にマルコスが決めて1−4。

 直後の29分、コンサドーレは右からの展開でチャナの浮き球を背番号27荒野がワンタッチで中央に。走り込んだ武蔵が2得点目を決めた。2−4のまま、互いに攻め合いリスクを度外視しての攻防は終了した。鈴木武蔵のリーグ得点は12になった。

 横浜は今季リーグ初の4連勝、2位の座に躍り出た。札幌は勝ち点43で8位、大分トリニータがガンバ大阪に2−1で勝ち7位(勝ち点46)に浮上した。

 札幌の次戦、J1リーグ第32節は11月23日午後2から札幌ドームで、ジュビロ磐田と対戦する。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「皆さんもご覧になったとおり、立ち上がりの2分にミスから失点をして、4分にも同じくミスから失点してしまった。前半の立ち上がりに2−0でリードされてしまえば、そこから盛り返すのは難しい。そういうゲームだったと思う。立ち上がり、ああいったミスから失点を重ねてしまうと、自分たちが落ち着いてビルドアップして攻撃を作るのは難しくなってしまう。選手たちもミスをしたくないという恐怖心が生まれると思うし、そういう中でなかなかボールをつなぐことをしづらくなってしまったと思う。そうした中で前半はオフサイドにかかるシーンも多かったが、自分の狙いとすることが出せなかった。

 ハーフタイムに選手に伝えたのは、しっかり後ろからつないでいこうと。自分たちのビルドアップを修正すること、そうすれば自分たちが狙いとする攻撃を出していけるんじゃないか。相手のマリノスの攻撃も、自分たちの時間帯を作ることによって半減させられる。後半は選手たちもよく戦ってくれたと思う。

 後半は、しっかり後ろからつないでいきながら自分たちの攻撃の形を作ることで相手の背後を狙っていこうという話をしたが、そういった形を選手たちは数多く作ってくれた。後半に関しては3−1になったあと、もう1点取れるチャンスが何回かあったのではないかと思う。(鈴木)武蔵選手、チャナ(チャナティップ)選手、(アンデルソン)ロペス選手と。ただ決め切れない中で相手にPKで点を許してしまうという、われわれにとっては難しい展開になってしまった。しかしながら、選手たちは最後まであきらめずに自分たちの戦いを特に後半は見せてくれたと思っている。

 シーズンの終盤に入って、選手たちの疲れも若干見られるようになってきた。選手たちの蓄積した疲労が今日の試合は見受けられたと思う。マリノスはわれわれがルヴァンカップ(の決勝)を戦っている間に試合がなかった。調整的な部分はマリノスに分があったと思う。特にルヴァンカップのファイナルの川崎F戦、その翌週の名古屋戦と選手たちは非常に素晴らしい戦いをして、非常にパワーを使って戦ってくれた中で今日のゲームは若干疲労が見えた。先ほども言ったように、全体を見ればマリノスが勝利に値するプレーができたチームだったと思う。

 後半は素晴らしい戦いができたと思うし、マリノスも素晴らしい戦いをしていたと思う。負けて非常に悔しい気持ちもあるが、スタジアムで見た方々、あるいはテレビで見ていた方にとっては、両チームとも非常に攻撃的で常にゴールを目指す戦いを見られたのは興味深い、おもしろいゲームであったのではないかと思う。負けた中でもそういうものを見せられたということで言えば、少なからずはわれわれも何か得るものがあったと思う」


■横浜F・マリノスのアンジェ ポステコグルー監督のコメント
 「本当に良いゲームが繰り広げられたと思う。本当に相手も攻撃的なチームだし、自分たちも攻撃的なチーム。どういう形でも良いスタートが切れたし、相手に危険な選手たちがいる中でも自分たちがしっかりチャンスを作り、点を取ることもできた。そういう中でも選手たちが最後まで一生懸命戦ったことで、この結果につながったと思うし、良かったと思う

 (3-1で前半終了、後半はなぜ守備的な戦いをしなかったのか?)自分が来日して、初日からこのサッカーをやっていくんだと選手たちに言ってきた。ここで変えてしまうと信用を失ってしまうと思うし、自分は一度決めたことを大事にするし、やり続けることを心がけている。アグレッシブに、前方向に行くのが自分たちのサッカーだし、1−0でも決して安パイに守り切るのではなく、攻め続ける。

 今日も2点目が取れた。3点目が取れた。そして4点目が取れた。それでも5点目、6点目と取りにいくことが自分たちのサッカーだし、それを貫いてやっていこうと思う。これが自分たちのサッカー。ここで止まることはない。より成長するために日々練習していくし、それをしっかり継続して最後までやっていきたいと思っている」
池田淳