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J1第29節(10月18日)、札幌ドームでC大阪に1失点で敗れる

19・10・21
 上写真/C大阪戦の前半20分、ペナルティエリア深くに入ったボールにMF菅(4番)が体を投げ出して折り返す。左はC大阪GKキム・ジンヒョン(写真はいずれも10月18日、札幌ドーム、Photo・Jun)


Jリーグベスト3 遠のく

 明治安田生命J1リーグ第29節は10月18日札幌ドームで行われ、開始早々の6分、セレッソ大阪のエース柿谷曜一朗のミドルシュートが決まり北海道コンサドーレ札幌は勝ち点40のまま8位に転落した。

 札幌は残り5試合を全勝の勝ち点15を上げても55で、J1リーグ第29節は19日に終了時点で、1位が鹿島アントラーズ勝ち点56、2位は得失点差でFC東京同56、3位横浜F・マリノス同55、4位サンフレッチェ広島同50、札幌に勝利したセレッソ大阪同49になり5位に浮上した。これで札幌のACL出場権は、ほぼ無くなった。

 第29節(18日)までの札幌の状況は26節仙台●1−3、27節△鹿島1−1、28節G大阪●0−5(今季最多失点)。朗報はルヴァンカップ決勝進出(26日に川崎フロンターレと決勝戦)。

 こんな中で29節(18日)MFチャナティップがけが、GKク・ソンユンは国際試合からの前日帰国などで、トップ下にMF中野嘉大、GK菅野孝憲をスタメンでエントリーした。
 
 試合は、午後7時03分札幌・鈴木武蔵がキックオフ。ドーム内のコンディションは気温21.6度、湿度41パーセント、入場者1万2千4百43人、東城穰主審(43=埼玉県出身)の笛で始まる。

 初動はセレッソがCK(コーナーキック)2本を取るなど優勢に試合を進めた。札幌は武蔵をトップにアンデルソン・ロペスと中野がシャドー。3−4−2−1の布陣。3バックは進藤亮佑、キム・ミンテ、福森晃斗。中盤は宮澤裕樹・深井一希。ウイングバック(WB)は白井康介、菅大輝。

 ピッチ脇には、白のスポーツシャツに身を包んだペトロビッチ監督の姿が躍る。この日は1957年10月18日に生まれた62歳のバースデー(誕生日)。喪章も着けている。一方のロティーナ監督は、ゆったりと腕組みをして選手を見守る。選手を含めドームが「台風19号の被災者に黙とう」した。

 開始6分。札幌の左側のペナルティーエリア前が、がら空き。セレッソ右サイドDF松田陸からMF奥埜博亮に渡り、FWブルーノ・メンデスにパス。戻ってきたボールをセンタリング気味のショートパスを内側に流し込む。「待ってました」とばかりにFW柿谷曜一朗がミドルシュートをゴール右上に決めた。札幌GK菅野は左に飛んだが、触れることもできず失点した。

 札幌は気を取り直して、両サイドを使った攻めを見せるが、中央の武蔵やA・ロペス、中野の動きが単調で、パスカットされる。また、中央の3人の間隔が狭く、走った先でかわすトップスピードでボールを受けきれず相手ディフェンス陣の餌食になった。

 ただ一度20分に右の白井からのクロスボールが逆サイドまで伸び、左から猛然と走り込んだWB菅が飛び込んだ。相手GKとDFの間に滑り込んだ菅の「やる気」を感じた。今後に期待したい。

 その後、24分背番号10の宮澤が不調を訴え、ルーカス・フェルナンデスに交代、キャプテンマークは福森へ。福森はFK、CKを合計20本(前後半)試みたが得点には結びつかなかった。


【両監督のハーフタイムコメント】
■札幌・ペトロビッチ監督
 「集中力を上げて、質の高いプレーをしよう。慌てないで落ち着いて。勝負はここから、必ず得点できる」

■セレッソ・ロティーナ監督
 「ボールを保持しながら、内と外を使い分けて攻撃しよう。無用なファールをしないこと」


 後半に入り、互いにハーフタイムの交代なし。コンサドーレは宮澤とルーカスが代わっていたが、GKク、DF濱大耀、石川直樹、MF早坂良太、FW岩崎悠人、藤村怜がベンチ入りしていた。

 ミシャ監督は、後半得点して悪くても勝ち点1が欲しかったようだ。しかし、セレッソは勝てば、終盤へ向けベスト3も射程圏内となる。

 FWブルーノ・メンデスを後半18分FW鈴木孝司に代え、35分MF奥埜をMF田中亜土夢、40分にMFソウザをDF瀬古歩夢に代え、キャプテンマークを付けた柿谷を最後まで使った。監督・スタッフ・選手・サポーターの「勢い」を感じた。サポーター席は2百人程度だと思うが「来たかい」があったろう。勝利の報告に「見入ってしまった」。この試合の結果は柿谷の得点を守り抜いたセレッソが1−0で勝利した。

 札幌はミシャ監督の「胸の内」を見たような気がした。31分に白井を外してFW岩崎、38分A・ロペスをMF早坂で得点の意識を出したが、トップの武蔵、久々の中野らには、「上を向く」強さは無かった。「MENTAL」の強さが欲しい。

 札幌の次の試合は、JリーグYBCルヴァンカップ決勝。10月26日午後1時から埼玉スタジアム2002で川崎フロンターレとの大一番を戦う。


 上写真/前半27分、セットプレーキッカーのDF福森(5番)が手を上げながら指示を出す


 上写真/後半、何とか1点を返そうとペトロビッチ監督の前で、切り返しながら相手を崩しにかかるMF菅(4番)


 上写真/試合終了後にC大阪選手たちが大阪から応援に来たサポーターに勝利のあいさつ。アウエーで狙い通りの完封勝ちを収めた


 上:左側写真/試合後、C大阪スタッフと握手をするペトロビッチ監督

 上:右側写真/口元に手を当てながら戦況を見守るC大阪のロティーナ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「やはり今日の試合は入りが良くなかった。25分あたりまで本来の戦いができず、オーガナイズもなかなかできない中で相手に先制されてしまった。苦しい展開になりました。そういう中でけが人も出ましたし、レギュラーもそろわない中でも、その後はチャンスを作ってくれました。後半はワンサイドで攻める時間が長く続き、チャンスを多く作ってくれました。今日はゴールに嫌われた部分も多かったと思います。そうした中でも最後まで選手たちは良い戦いをしてくれましたし、勝点1を取れてもいい内容だったと思います。ですが、こういう試合を引き分けに持っていけないのもサッカーではあること。今日の敗戦に関しては、選手を非難することはできないと私は思っています」

―1週間後のルヴァンカップ決勝に向けての調整について―
 「私がこの札幌に来て1年半以上経ちましたが、昨年とは選手の体にかかる負荷も違ってきている。試合数も多く経てきている。選手が疲労をしている状況からけがが生まれている。限られた選手の中で、川崎と戦わなければいけない。川崎は(J1)王者であり強敵である。そのチームに対して勝利をするべく、ベストを尽くすこと、そして勝利をするべく戦うだけです。いない選手のことを嘆いていても仕方がない。与えられた中でいかにベストを尽くすかです。

 今日の試合はリードされた中でも走り、戦ってくれた。自分たちの戦いを最後まで貫いてくれました。苦しい中でも、私が思っていた以上に戦ってくれた。彼らの気持ちは私の心に響きました。そうした彼らの頑張りを無駄にしないためにも、私たちはできる限り選手たちのベストの状況を作りたいと思います」


■セレッソ大阪のロティーナ監督のコメント
 「前半の45分は良かったと思います。攻守において、良いボールの動かし方もできたし、守備も良かった。その中で、(柿谷)曜一朗の素晴らしいゴールが決まったのですが、もう1点取るチャンスはあったと思います。
 後半は、より札幌が前からプレッシャーを掛けてきて、交代でも攻撃的な選手を入れてきて、より攻撃力を増してきました。その中で、ボールを持ってビルドアップできなくなり、リトリートする時間が長くなりました。前半はプレーしながら狙ったとおりにチャンスを作れたのですが、後半は、よりカウンターからのチャンスが増えました。札幌は後半も素晴らしい攻撃をして、たくさんのチャンスを作っていました。リーグの中で屈指の攻撃力を持っているチームに勝利できて、満足しています」
池田淳 photo・jun