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ルヴァンカップ準決勝第2戦(10月13日)G大阪を破り決勝は強敵川崎と

19・10・15
感動した!ミシャ監督「ありがとう」

 札幌ドーム、10月13日午後2時31分試合が動いた、鈴木武蔵のシュートがサポーター側のゴールネットを揺らした。緑の芝生が赤黒の渦巻に包まれ、ぼうぜんと立ち尽くす「白」のユニホームとの明暗を分けた。これで勝ったと思った。

 2019JリーグYBCルヴァンカッププライムステージ準決勝第2戦は10月13日午後1時から、札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌とガンバ大阪の間で行われた。10月9日の第1戦を1−2で敗れた札幌は、アウエー得点を生かす戦いを演じた。前半は札幌がホーム優位のサポートを受け、6対4の攻撃割合いで0−0。前半34分にガンバのエース宇佐美貴史が負傷交代、これが明暗を分けたか。後半はピッチに札幌の背番号4菅大輝(20)が真っ先に現れた。この大会への意気込みを感じた。

 ゲームは、午後1時00分ガンバのキックオフで始まる。ドームの気温は23.6度、湿度50パーセントの絶好のコンディション。審判は家本政明主審(46=広島県出身、元国際審判員)、ルヴァン特有のVARは今村義朗氏とアシスタントは松尾一氏。観客は1万5千9百96人(ガンバ応援席は約2百人)。

 札幌の布陣はGKク・ソンユン(大韓民国)が2022W杯アジア予選で韓国代表になっている為に帰国。チャナティップ(タイ)はけがで欠場。第1戦と同じくゴールマウスはGK菅野孝憲が守った。

 立ち上がりから札幌が攻めた。前半3分、4分、5分とCK(コーナーキック)を得て福森晃斗が蹴るが、得点に至らず。ガンバの第1波は14分から宇佐美を中心に攻めてくる。これを札幌GK菅野孝憲が好捕とフィスティングで逃れる。

 札幌がFWジェイにボールを配して、両シャドーの武蔵、荒野拓馬が受け手になっての攻撃を試みる。一方のガンバは2トップで宇佐美とアデミウソンが両脇からのセンタリングに合せる。

 一進一退の攻防が続く前半34分、ガンバの宇佐美が負傷の合図。背番号33は、自力でサイドラインをまたぎFWパトリックと交代した。この後、ガンバの攻撃に参加してきたMF倉田秋が前がかりに来る。DFキム・ミンテとの1対1でミンテが股の下を抜かれるが事なきを得た「どっきり」した場面。前半終了時で札幌シュート数4、ガンバ8。

<ハーフタイムの両監督コメント>
 ペトロビッチ監督:惜しい場面も続いている。後半も続けて行こう。切り替えを早く、
            集中していこう。
 宮本 恒靖 監督:守備はセカンドボールの対応や処理を確実にして行こう。
            後半もう一度ギアを上げて行くぞ。

 後半のピッチに、ひと足早く背番号4札幌の菅(20)が登場した。ルヴァンカップの規定でU−21選手1人の出場義務。自分のことで、気合を入れて出て来たか? サブを見るとFWの岩崎悠人がいるだけ。「交代のはっぱか?」

 後半が始まり、武蔵のキックオフで一気に攻める。パスは素早く回り、福森まで下がりフリーの菅に回った。中央にドリブル。菅のシュートは30メートルはあったか、ゴール上のバーをかすめて抜けて行った。確かに菅のテンションはいつもと違っていた。

 せめぎ合いは続くが、札幌はサポーターが陣取る方に攻め込む勢いが強い。交代を最初に動かしたのが札幌。後半12分に白井康介に代わりMFルーカス・フェルナンデスが入り、独特のドリブルで右サイドをかき回す。FWジェイが左に寄って中央が空き気味。どうもガンバは守勢に回ったようだ。ルーカス得意の一人ポゼッションの数が増す。

 後半31分、福森に渡ったボールはジェイに渡り、中央右を攻め上がった武蔵に渡る。マンツーマンで付いていた相手DFを振り切るドリブルの速さが勝り、ほとんどフリーで武蔵の右足からの一発が、満杯のコンサドサポーターを「歓喜の乱舞」に導いた。

 1−0のまま残りの10分余が長かった。札幌ゴールにCK攻めで迫るガンバ。得点1が入れば一気に形勢逆転となる。
 
 最後までひやひやしたが1−0のまま、札幌が逃げ切りで勝利。試合終了後の監督記者会見でペトロビッチ監督は、「こんなに記者の方が、喜んでくれた」と語り、選手たちやファミリーに伝えてあげたい―と感激していた。

 もう一つの準決勝は、鹿島アントラーズと川崎フロンターレの間で行われ、10月9日の第1戦は川崎が3−1で勝利。10月13日の第2戦は午後7時から行われ、0−0の引き分けだったが川崎が決勝へ進出した。

 決勝は北海道コンサドーレ札幌と川崎フロンターレの間で10月26日午後1時から埼玉スタジアム2002で行われる。

    (写真はいずれも10月13日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半3分、G大阪のFW宇佐美(33番)、MF倉田(10番)らの攻撃をかわしてボールを奪い、さあ反撃!、と前線にパスを出す札幌MF荒野(27番)、左端宮澤(10番)、右端DF進藤(3番)。このところの荒野の成長と頑張りは凄い


 上写真/前半12分、G大阪のFWアデミウソン(9番)が独走でドリブルで札幌ゴール前に迫るも、GK菅野(1番)が判断よく飛び出し、一瞬早くタッチへ蹴り出す


 上写真/後半12分、札幌MF宮澤(10番)がG大阪MF倉田(10番)と競りながら右サイドを駆け上がりCKを得る


 上写真/後半21分、G大阪の左CKからの攻撃を札幌GK菅野(1番)がパンチングでクリア、札幌の選手は左からDFキム・ミンテ(20番)、進藤、MF宮澤。G大阪の選手は左からFWパトリック(18番)、DF三浦(5番)、菅沼

■北海道コンサドーレ札幌の菅野孝憲選手のコメント
 「みんなが体を張って守ってくれたので、最後まで落ち着いてプレーをすることができた。今日の試合は無失点で勝てば勝ち抜きが決まる試合ではあったが、正直なところ、自分としてはそこまで無失点という部分にはこだわっておらず、とにかく自分の仕事をしっかりとこなすことだけを考えていた」


 上写真/後半31分、先制ゴールを決めた札幌MF鈴木(9番)が両手を広げて笑顔を見せる

■北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵選手のコメント
 「得点が決まったときの心境は、言葉では言い表せないほどうれしかった。やはり自分は得点を取ったときが一番気持ちが昂る。そしてチームとして良い戦いができていたので、ナイスゲームだったと素直に自分たちを称えたい。個人的には今日はあまり調子が良くなかったので、そうした中で結果につながる仕事ができて良かったと思っている。でも、決勝進出で満足してはいけない。タイトルを獲るのと2位で終わるのとでは大きく違うので、絶対にタイトルを獲りたいと思っている」


 上写真/後半31分、先制ゴールを決めた札幌MF鈴木(9番)を祝福するアシストしたFWジェイ、その頭をなでるMF荒野、右端MFルーカス・フェルナンデス(7番)


 上写真/後半追加タイム5分、G大阪の右CKからの攻撃を札幌FWジェイがヘディングでクリアする、G大阪のGK東口(黄色のユニホーム)がゴール前に上がっている

■ガンバ大阪の東口順昭選手のコメント
 「失点のところはグラウンダーのシュートが来るという予想をしていたので、反応が少し遅れてしまい決められてしまった。点を奪いに前に出たタイミングでカウンターを受けてしまい、そこでチームとしてうまく対応できなかった部分もある。ただ、今日に関しては相手のパフォーマンスが上回っていたと思う。今後はリーグ戦に切り替えて、まずはしっかりと目の前の試合で結果を出してJ1残留を果たせるようにチームみんなで一丸となって戦っていきたい」


 上写真/札幌がG大阪を破りル杯決勝進出を決めた瞬間、両手を上げる札幌FWジェイ(48番)、抱き合うDF進藤(3番)と金子らを横目にしょんぼりとするG大阪の選手たち。力を出し切った札幌DF福森はピッチに大の字、左端はうずくまるG大阪のFWパトリック(18番)


 上:左側写真/前半20分、札幌FWジェイ(中央)に指示を出すペトロビッチ監督、左端MF荒野(27番)
 上:右側写真/前半31分、MF倉田(10番)、矢島(21番)に厳しい表情で指示を出すG大阪の宮本恒靖監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「非常に難しい試合でした。G大阪も素晴らしいチームでした。ただやはり、選手たちは立ち上がりから決勝に進むんだという姿勢を相手よりも見せてくれたのだと思います。しっかりとゲームをコントロールし、走る、戦うという重要な部分をやってくれました。後半に入ってからより得点への気持ちを前に出してプレーをしてくれました。攻撃的な姿勢が鈴木(武蔵)の得点につながったと思います。1戦目は敗戦しましたが、その試合も今日も含めて、われわれが勝ち上がるに値するゲームができたと思っています。

 やはり今日の試合は選手たちがよくやってくれたと褒めたいですし、サポーターも称賛したいです。サポーターの後押しなしには、今日の勝利はありませんでしたし、勝利をサポーターに捧げたいと思います。

 今週は台風の影響で全国的に厳しい天候であり、被災された方もいると思います。そうした方々に少しでも喜んでもらえたならば本望です。被災に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げたいと思います。

 (クラブ史上初の決勝進出について)2018年に就任し、そのときに選手たちにこのチームが新しい歴史を刻んでいくんだ、と伝えました。なぜならやはり、われわれは比較的若い選手がいて、新しい歴史が作れるはずだと思っていたからです。ただし、これで終わりではありません。これからさらに新たな歴史を積み重ねてくれると思っています」


■ガンバ大阪の宮本恒靖監督のコメント
 「台風の中でこうした試合ができたことを感謝したいと思います。被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げたいと思います。試合に来られなかった方にも結果で応えたかったですが、応えられず申し訳なく思います。初戦でアウエーゴールを献上したことが、こういう結果になったと思います。リーグ戦でしっかり戦っていきたいと思います」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影