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準々決勝第1戦(9月4日)、第2戦(9月8日)ルヴァン杯ベスト4だぞ!

19・09・11
第1戦広島に3−2、A・ロペス復活

 2019年のルヴァン杯は3月に始まりAグループで戦ってきた北海道コンサドーレ札幌は、準々決勝でサンフレッチェ広島と対戦、第1戦は9月4日、札幌厚別公園競技場で行われ3−2の快勝。第2戦は9月8日、エディオンスタジアム広島で1−1の引き分けでベスト4に勝ち進んだ。22年前には準々決勝で鹿島に敗れたので、コンサドーレがベスト4に駒を進めたのは今回が初めて。

 第1戦は午後7時03分キックオフ。久しぶりの4基の照明灯に照らし出された緑の芝はしっとりと濡れてプレーヤーを迎えた。

 天候は晴れ無風。気温19.6度、湿度57パーセント。広島の選手は長袖のトレシャツを着て入場してきた。観衆、サポーターらは6千9百6人、広島応援団は2百人程度か。

 キックオフは広島で、上っ張りを脱いだアウエーの白が、照明に映えて、活発に動き回った。赤黒のホームは、出鼻をくじかれた感じ。前半3分には、中央からMF川辺駿のヒールパスを受けたトップ下の東峻希が右サイドを駆け上がっていた広島FWレアンドロ・ペレイラにスルーパス。ペレイラの豪快なシュートが札幌GK菅野孝憲の右を破ってゴール。見事なスピード展開に札幌DF陣は、度肝を抜かれた。

 気を引き締めた札幌は19分、右サイドの白井康介がこぼれ球を背番号7のルーカス・フェルナンデスに渡し、中央に走り込んだFWアンデルソン・ロペスに長い空中パス。これをA・ロペスが左足で決めて同点。

 札幌は1−1に追いついたが、相手FWペレイラの右サイドの走り込みが気になる。21分に右サイドを破られ、同じようなシュートを決められた。

 1−2でハーフタイム。ペトロビッチ監督の指示は「落ち着いてボールを回そう。これ以上失点をしないこと」。城福浩監督は「守備はこのまま我慢を続けよう。マイボールの時は余裕を持って」。

 札幌がサポーター方向に攻める。ここでジェイ登場(MF岩崎悠人と交代)。すると始まって後半3分、広島DF荒木隼人が反則、さらに西村雄一主審に「遅延行為」も取られ2枚目のイエローカードで退場。広島は1人少なくなる。その直後の6分、広島陣内の中央30メートル付近でフリーキックを得る。背番号5の福森晃斗登場。相手の壁と、MF荒野拓馬らの頭上を抜けるシュートはGK林卓人の左側ゴールポストぎりぎりに決まった。

 2−2の同点。ジェイとA・ロペスの高さとスピードが、さらにルーカスのボールキープが目を引く。完全な札幌ペース。33分に荒野がキャプテンマークを宮澤裕樹に渡して交代。役者がそろったコンサドーレ、サポーターが一段と声を上げる。相手ゴール前は赤黒の選手たちの乱舞。38分に西村主審のホイッスル。PKエリア内の反則。ジェイかロペスか。これをA・ロペスが決めて、「完全復帰」の雄叫び。A・ロペスはルヴァン杯5得点目を決めた後、金子拓郎と交代した。


第2戦1−1、新世界のベスト4へ

 9月8日、アウエーで行われた第2戦は午後7時3分キックオフ。天候は晴れ、気温28.1度、湿度87パーセントと蒸し暑い。観衆は5千6百7人とやや少なめ。

 札幌の勝ち抜け条件は引き分け以上で、広島に2得点アヘッドされると初戦で2得点しており、札幌も2得点以上をあげないと勝敗が広島に移る。

 広島の城福浩監督は「得点を取らなくては勝てない」とFWレアンドロ・ペレイラをけがで欠き、代わりの渡大生に得点を託した。札幌のペトロビッチ監督は「0−0でも点を取る気持ちがなければ、ものにできない」とハッパをかけた。

 札幌はジェイをトップに、アンデルソン・ロペス、ルーカス・フェルナンデスのブラジルコンビのシャドー。開始直後からルーカスの動きが解らない。少し下がり目は、相手中央のパス回しをケアした、いつもの動きと違う。ボランチの荒野拓馬も中を気にし過ぎか、パスがほとんど出せない。こんな中で前半9分、A・ロペスが前線で持ち込み、相手DF陣3人のブロックをかわしながら、ペナルティアーク付近から左足で蹴り込んだ。大きなアウエー得点でリード。

 互いに3−4−2−1の布陣はミラー攻撃ポジションで、広島トップの渡にボールが集まる。行ったり来たり気の抜けない攻防が続く。両チームとも後半の交代が早い。後半開始から札幌のルーカスが早坂良太に、広島は稲垣祥が古参の青山敏弘に、エミル・サロモンソンはハイネルと代わった。

 直後の後半4分、広島のCK(コーナーキック)。ゴール中央の蹴り込まれたボールを札幌ジェイがヘディングでクリア、ゴール中央に舞い上がったボールにGK菅原孝憲が取りに行くが、空振り。落ちたところを広島FW16番の渡が蹴り込んで1−1の同点とした。

 後半30分過ぎ、互いに選手交代をするが得点が入らない。やや広島の攻めが上回るが、ゴールの枠に入らない。90分+5分に終了の笛。疲れ切った攻防で1−1の引き分けに終わった。この結果、札幌はクラブ史上初のルヴァンカップ準決勝に進出した。

 札幌のルヴァンカップ準決勝は、J1リーグ首位のFC東京を下したガンバ大阪と10月9日午後7時からG大阪のホーム・パナソニックスタジアム吹田で準決勝第1戦を。第2戦は10月13日午後1時から札幌のホーム札幌厚別公園競技場で対戦する。


 (写真はいずれも第1戦の9月4日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/前半3分、先制ゴールを決め喜ぶ広島のFWレアンドロ・ペレイラ(中央)に走り寄る起点となったMF川辺(40番)、アシストしたMF東(24番)、ハイネル(44番)、右端DF野上(2番)

■サンフレッチェ広島のレアンドロ・ペレイラ選手のコメント
 「得点を決めることができて非常にうれしく思っている。それも2点取ることができたので、とてもうれしい。とはいえ、やはり試合に負けてしまったので、悔しい気持ちのほうが強い。試合全体を振り返ったときには内容としても物足りない部分を感じている。次の試合はホームで戦うことができるので、そこでも得点が取れるように練習していきたいし、勝利につながる得点を取りたい。中3日だが、自分としては3日あると思っている。しっかり回復できると思っている」


 上写真/前半19分、札幌FWアンデルソン・ロペス(右)が、MFルーカス・フェルナンデスの縦パスを胸トラップ、ドリブルで持ち込み同点ゴールを決める、左、広島DF荒木(23番)

■北海道コンサドーレ札幌のアンデルソン・ロペス選手のコメント
 「まずは勝利できたことがうれしい。内容的にも悪くないゲームができたと思っている。自分の得点の場面については、素晴らしいパスが来て、それをうまく持ち込んで得点を取ることができて良かったと思っている。PKは、自分がそのあとに交代をすることが分かっていたので、蹴らせてもらった。久しぶりの先発出場ということもあって、最初は試合勘の部分などで不安もあったが、問題なくプレーできたと感じている。相手の広島は自分の古巣。普段の試合に比べて特別な想いはあった」


 上写真/ロペスの同点ゴールからたった2分後の前半21分、広島FWレアンドロ・ペレイラ(39番)が、この日、2点目のゴールを決めガッツポーズ、右へDF佐々木(19番)、MF稲垣(15番)、MF青山(6番)


 上写真/後半3分、札幌のロングパスにFWジェイ(48番)と競り合った際、広島DF荒木がハンドの判定、2枚目のイエローカードで西村主審がレッドカードを上げる。MF稲垣(15番)、DF野上(2番)、その奥が荒木


 上写真/後半6分、広島DF荒木のハンドで得たFKを札幌DF福森(5番)が直接決め同点とする

■北海道コンサドーレ札幌の福森晃斗選手のコメント
 「得点となったFKは狙っていた場所で、そこにしっかり決めることができて良かった。ただし、前半は2失点に絡んでしまい、そこからはなかなか気持ちの整理がつかず、淡々とプレーをしてしまっていたようなところがあった。その意味でもFKを決めてからは良いリズムでプレーができたので、良かった。代表招集で選手が抜けたから戦力がダウンしたと思われるのはイヤだったので、そうした中でもしっかり勝ちたかったし、結果として勝つことができて良かったと感じている」


 上写真/後半13分、札幌GKからのロングボールにDF福森(5番)が広島FWレアンドロ・ペレイラとジャンプして競り合う。福森本人も振り返っていたようにL・ペレイラの2得点に絡んでいるので、これ以上の失点を重ねないよう必死だ


 上写真/後半36分、札幌はMF深井、FWジェイとつないだパスを受けたMF白井(中央19番)がドリブルで突破するが、広島GK林(1番)に倒されてPKを得る、右下DF佐々木


 上写真/後半44分、広島FKからの猛攻を懸命に防ぐ札幌の選手たち、左からDFキム・ミンテ(20番)、MF中野(23番)、宮澤(10番)、DF進藤(3番)、GK菅野(1番)、MF深井(8番)、DF福森(5番)、広島の選手はMF青山(6番)、ハイネル(44番)、右端DF野上(2番)




 上:左側写真/後半開始早々から、厳しい表情で選手に指示を出す札幌のペトロビッチ監督
 上:右側写真/後半4分、広島DF荒木のレッドカードの判定に激しく抗議する城福浩監督

■第1戦の北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「試合前から難しくなると思っていた。そしてそのとおりの試合になりました。そしてその上先に失点をする、イヤな展開になってしまいました。ただ、リードされる展開の中で選手は落ち着いてゲームを進めてくれて、同点に追いつけたところまでは良かったです。ただ、そこから同じような形からリードされ、非常に難しい展開になりました。しかし、それでもやはり選手は狙いを持って試合を進めてくれました。(リーグ前節の)神戸戦から6人替わりましたが、連動した動きなど、非常に狙いを持って戦ってくれました。

 後半すぐに相手が退場し、数的優位になりましたが、そのFKで得点でき、同点にできたのは良かったし、アドバンテージも生かし相手に圧力を掛けることができて、3−2にもっていけたのが良かったです。残念なのは4点目が取れなかったところですが。ただ、3−2というのはまだ勝利を決した結果ではありません。まだ前半が終わっただけです。

 内容に関しては満足のいく出来でしたが、2失点に関しては安い失点でした。簡単に背後に通されてしまいました。予測をして、対応する必要がありました。勝ち上がるには、修正して改善する必要があるでしょう。中3日で迎えるアウェイ戦は同じように難しい試合になると思っていますが、私は楽観主義なので、そういう強い気持ちで臨んでいきたいと思っています」

■第2戦の北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「前半に関しては、ある程度コントロールしていた中で先に1点を取れたので、コントロールできたゲームだった。ただ、後半に入って青山(敏弘)選手が入ってきて、彼は影響を与えられる選手ですし、プラス1−1になってしまって当然コントロールは広島のほうが持っていて広島のほうがベターな内容だったと思いますけど、私たちも(リーグ戦では)ここで内容が良い試合を0−1で負けてしまっている。今日は戦って走って1−1で上に上がれた。それが1つのサッカーだと思うし、そういうことをトータルして次に行けたことは良かったですけど、広島はすごくベターな後半をしたと思う。

 今日のミーティングで言ったのは、0−0でいこうと考えていたらナーバスになって負けると。点を取りにいく気持ちがなければ今日の試合はモノにできないと試合前にも言った。最初のゲーム(第1戦)は代表に行っている4人プラス、レギュラーのジェイと宮澤 裕樹がベンチでスタートした試合で、今日は代表選手の4人プラス進藤(亮佑)選手、5人のレギュラーが使えない状況だった。そういう状況だったので、当然ミスは起こり得る。その中でゼロでいこうと考えたら危険だと思っていたので、点を取りにいきなさいと伝えた。その結果1−1。点を取って次に進めたので、良しとしようと考えている。見てもらえれば分かるとおり、今日の前の3人はジェイ、ルーカス(フェルナンデス)、(アンデルソン)ロペスという攻撃的な選手。ゴールを取りにいく気持ちを持ってゲームに入った」



■第1戦のサンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「勝点1を持って帰りたかったが、耐え切れませんでした。ですが、内容自体は悪くなかったです。反省するならば、ワンチャンスでやられてしまったところ。イエローのところは私が言うところではないですが、それで退場となり、ゲームの様相が変わってしまったところはもちろん反省もありますが、次の試合へのエネルギーにしていきたいと思います。サポーターとともに、準々決勝勝ち抜きを目指したいと思います」

■第2戦のサンフレッチェ広島の城福浩監督のコメント
 「正直、言葉にならないくらい悔しいです。選手はいま持っている力を発揮してくれたと思いますし、決定機も作りましたし、死力を尽くしてくれたと思います。ただ、やはりこういうゲームで先に点を取られると非常に苦しくなるということ。決定力が足りなかったということ。この2つはしっかりと受け入れて反省しないといけないと思います。(第1戦で)遠い札幌まで応援に来てくれた方々、今日来てくれた方々が本当に背中を押してくれましたけど、彼らと一緒に次のラウンドに行けなかったことを本当に残念に思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影