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J1第25節(8月31日)、迷える羊・神戸を打っ遣り(うっちゃり)

19・09・02
今季3人目?監督はドイツ出身

 エース・イニエスタがスタメンにいない。監督のトルステン・フィンク氏は今季3人目の指揮官でドイツ人。さらに書けばオファーを出した候補は「なしのつぶて」。北海道コンサドーレ札幌は8月31日アウエーで、リーグ3連勝目を狙うヴィッセル神戸戦に臨んだ。 

 明治安田生命Jリーグ第25節は、2万8百25人の観客・サポーターらが詰めかけたノエビアスタジアム神戸で行なわれた。曇天で気温が24.7度、湿度80%のコンディションの中で午後7時04分キックオフ。

 札幌ペトロビッチ監督は「非常に難しい試合」との気構えで臨み、神戸トルステン・フィンク監督は「課題をたくさん持ったゲーム」とスタートした。札幌はジェイをトップに据え、鈴木武蔵とチャナティップがシャドーに入るいつもの3−4−3のシステム。神戸はイニエスタの代わりに安井拓也を入れ、右WBに西大伍、中盤に山口蛍を入れた3−5−2のシステムで、中盤からの攻撃を仕掛ける。

 札幌はジェイをターゲットに相手DFの裏を攻めるが、12分武蔵の切り込み、17分のチャナティップのシュートなどで得点を狙うも神戸GK飯倉大樹に防がれる。中央に3人の攻撃陣を敷く神戸は、徐々にボールのキープ力が増し、特に右の西からのロングフィードが、札幌DF進藤亮佑らの出足を止め、背番号21の田中順也に渡る。GKク・ソンユンの好捕で事なきを得る場面が多い。

 得点機は40分過ぎからの攻防。札幌守備陣は、神戸の中央での展開を注意、トップのジェイ、シャドーのチャナティップを引き気味にして相手マークを強調した。特に左サイドからの崩しに連れてポイントゲッター山口のシュートがゴールマウスをかすめる。

 43分神戸に右CKからのチャンス。ショートコーナーは西に渡り、ファーサイドに走り込んだ田中にぴったり。左足のシュートはGKクの頭上を抜き先制点。だが、コンサドーレも負けていない。45分にチャナティップのドリブルからのシュートは神戸DFのブロックに遭ったが、こぼれたボールをジェイがシュート。GK飯倉がはじき出したところを札幌FW武蔵が頭で決めて、直後の同点劇。後半の展開に、ざわめきを残してスタジアムは盛り上がる。札幌からは赤黒のサポーターは約2百人弱か。

 1−1の同点は、両チームの士気を鼓舞する展開に。すると後半7分、札幌が逆点に成功する。CKから福森のキックは中央ではじき返される。拾ったのは札幌DF進藤で、ゴールへ目掛けて一直戦のボール。ジェイの頭に当たり、相手DF、GK共々横倒しになり、ボールは選手ともつれ込んで、主審、副審とも「ゴール」のジェスチャー。逆転だ。

 後半15分、両チームともこのあたりから選手交代が活発になり、まずは神戸の安井がダビド・ビジャと交代。その後の19分、神戸は右の西がゴール前に走り込んだビジャへクロスを上げるが、札幌DFがクリア。しかしボールは、左サイドにいた神戸FW田中の頭上へ。そのままヘディングシュートで2得点目を決め、再び2−2の同点。この後、札幌は21分に菅大輝が中野嘉大と交代した。

 攻防は続くが、やや神戸の中盤に個人的な疲れが出てきたよう。後半22分。追い付かれた札幌に左CK。福森の左足からは「ゴールから遠のくカーブ」の弾道と読んでいたか、ファーにジェイらが相手DFを引き連れる。それを逆手に福森はニアポストに早いボールを蹴り込む。これをキャプテン宮澤がヘッドですらし、そのままゴールイン。サインプレー成功で勝ち越した。残り30分余りの長かったこと。

 宮澤は38分に深井一希と、ジェイは40分に早坂良太と交代しカードを使い切ったが、神戸は31分にセルジ・サンペールと藤本憲明を交代したが、カードを1枚残したままで試合を終えた。

 この結果、札幌は3−2で神戸を相手に逆転勝利を飾り、アウエーで貴重な勝ち点3を手にしたが、他チームの結果を受けて順位は前節と変わらず7位のままとなった。

 札幌の次の試合は9月4日、ルヴァンカップ プライムステージ準々決勝1回戦でサンフレッチェ広島と午後7時から、札幌厚別運動公園競技場での第1戦目を行う。


 【余 談】2019年、公式プログラム等で「ヴィッセル神戸」監督がJリーグ開幕当時、2年目のファン・マヌエル・リージョ監督で、今季4月17日に辞任。札幌が戦った第10節は18年9月までの吉田考行監督が後任で再び指揮した。その後、3度目の監督交代で、6月15日第15節から、現 トルステン・フィンク監督(51)が就任している。フィンク監督はドイツ出身で、現役時代はMF(守備的)でカールスルーエSC、FCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)などで活躍、バイエルン・ミュンヘンでは4回の優勝に貢献している。指導者歴はザルツブルク(オーストリア)、ハンブルガーSV(ドイツ)、FCバーゼル(スイス)。昨季はグラスホッパー(スイス)のHコーチ(監督)。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日はわれわれにとって非常に難しい試合になると予想していた。神戸は(トルステン)フィンクさんになってから非常に良いサッカーをしている。前々節の浦和戦は3点とり、前節の鳥栖戦では6ゴールと、チームとしてやることがハッキリして、そして素晴らしいサッカーをしているチーム。非常に難しいゲームになった。

 やはり神戸はボールを支配して、技術的にもボールの動かし方にしてもわれわれよりも一枚上手な部分はあった。ただわれわれ札幌は我慢をしながら規律を守り、そしてハードワークをする。そういうことで相手に上回れて、何とか耐えていた。

 前半は特にそういう展開だった。後半は少し前のほうの守備の形を変えて、アンカーにチャナティップをつけることにして入りが良くなった。チャナティップが相手の6番の選手に対して良い仕事をしてくれていた。

 今日の試合の気候は、われわれ札幌にとっては湿度が高く、気温も高く、北海道とはまったく違う気候の中でやるゲームとしてはキツかったと思うが、そうした中でも選手たちは良く走り、良く戦ってくれた。試合に関してはどちらが勝利してもおかしくない内容だったと思いますし、引き分けが妥当な結果だったかもしれないが、多少の運が味方したのは今日は札幌で、もちろんそういった部分もありますけど、選手たちが頑張った部分でつかみとった3ポイントでもあると思います。やはり今日の勝利は非常にわれわれにとってうれしい勝利だった。

 サッカーというのは、われわれも内容で上回りながらポイントに反映されない試合もありました。サッカーというのは時としてそういうものであると思いますけど、神戸は非常にいま素晴らしいサッカーをしていると思います。今日はわれわれに敗戦しましたけど、新しい監督さんのもとで今後、素晴らしいサッカーを見せてくれるんじゃないかと思っています」


■ヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督のコメント
 「まずは試合に関してはこういう結果に終わってしまって残念です。本当に理想としているポゼッションサッカーに近づいていると思います。相手よりもボールを持っていましたし、相手のハーフ内での数も最後の3分の1(でのパス本数は)149パス、相手の40に対して、理想とするサッカーにはつながっているんですが、今日は難しい相手との試合だったので、残念な結果でした。

 われわれは試合によって上達していくことが目的なので、良い方向には進んでいけていると思います。今日も選手たちは全力を出してくれて、良いパフォーマンスをできたと思うんですが、相手チームも非常に良かったですし、向こうにも良い監督がいて、素晴らしい選手もいるので。ただ今シーズンはわれわれが何を達成したいのかを考えると、リーグもありますが天皇杯というタイトルを獲れる可能性もあるので、代表ウィークに入る中でわれわれが次に向けてどれだけ成長できるかも課題になると思います。

 このシーズン、何を達成するか。大事なのが、どれだけ自分たちのファン、観客の人たちを満足させることができるか。ファンたちはいつもサポートしてくれているので、彼らが気持ちよく帰ってもらうのも一つの目標なので、今日のようなパフォーマンスが、結果はともかくみんなが喜べるようなサッカーに近づけていると思うので、このまま続けていきたいです。

 今日は(アンドレス)イニエスタ選手がいなかったというのもやっぱり、彼のような選手がいなくなると、相手も予想もできないプレーというのが欠けているところもあるので、彼が出られない試合はどうカバーするかも課題になります」


■北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵選手のコメント
 「前半のうちに1−1にできたのは大きかったですね。(自身の得点は)どこかでこぼれてきそうだと思ったし、うまく押し込めて良かった」
池田淳