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J1第22節(8月10日)、小野のラストを飾れず。浦和と1−1で分ける

19・08・11
 北海道コンサドーレ札幌は、8月10日、ホームの札幌ドームで、浦和レッズと対戦した明治安田生命J1リーグ第22節。前半は主導権争いが続き、スコアレスで試合を折り返すと、後半に浦和が先制。その後、札幌もFW鈴木が同点とするが、勝ち越し点には至らず、そのまま1−1のドロー決着。8位札幌と、9位浦和が勝ち点1を分け合う結果となった。

 この日、本戦前には河合竜二引退試合、そして天才小野伸二の札幌ラストマッチ。相手は二人が所属していた浦和と舞台は整い、感傷的な雰囲気に包まれた札幌ドームには35,531人ものサポーターが駆け付けた。

 札幌のスターティングメンバーは、後ろからGKク・ソンユン、DFは右から進藤、キム・ミンテ、 福森。MFは両ワイドに白井、菅。ボランチに荒野、宮澤。シャドーに鈴木、チャナティップ、1トップにFWジェイを配置した定番の3−4−2−1で臨んだ。

 試合は、札幌が前線ジェイのポストプレーと、チャナティップの個人技、鈴木の裏への抜け出しを生かし、相手ゴールを狙っていく。対する浦和は中盤での圧力を高めながら、前線のエース興梠、ドイツから帰ってきた関根のドリブル、武藤の連携からチャンスをうかがう展開に。しかし、前半は互いのGKの攻守もあり、得点には至らずスコアレスで試合を折り返す。

 ハーフタイムに札幌のペトロビッチ監督は「リスク管理はしっかり」と送り出したが、後半、先に試合を動かしたのはアウエーの浦和。後半12分、浦和が右CKを獲得。武藤が右足で蹴り込んだボールはファーサイドまで飛び、DFマウリシオが頭で折り返す。ボールは札幌DFに当たってこぼれたところを、中央でMFエヴェルトンがヘディングシュートで沈めた。

 1点を先行された札幌は後半16分、菅に代えルーカス・フェルナンデスを投入。すると、攻撃のスイッチが入ったか、同点に追いつくことに成功する。後半23分、そのLフェルナンデスが起点となり、右サイドに大きく展開。受けた白井は早いタイミングで、アーリークロスを選択。走り込んだジェイがニアで競って潰れると、浦和DFに当たったボールがゴール前に落ちる。これを鈴木が反転からの右足で同点ゴールをゲット。喜びながらベンチの小野の下へ駆け寄った。

 その後、終盤に向け札幌は、宮澤に代え深井、ジェイから中野と交代カードをすべて切るも、追加点には至らず。結局1−1のままタイムアップ。小野のラストプレーも見られない展開に、サポーターのため息が漏れた。

 中位同士のこの試合、同点に追いついたことは評価できるが、シュート数を見れば、札幌17本で、浦和は9本。数字の通り札幌の方がチャンスは多かったものの、勝ち点3を取れなかったのは力不足か。これで札幌は9勝5分8敗、勝ち点32で順位を1つ上げ7位となっている。

 次節、札幌は8月17日にIAIスタジアム日本平で、12位の清水エスパルス(勝ち点28)と対戦する。

 (写真はいずれも8月10日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半31分、札幌MF鈴木(9番)は浦和GK西川(左)と1対1の絶好機を迎えたが、ゴール左にはずし先制機を逃す


 上写真/前半45分、札幌MFチャナティップ(18番)はドリブルで進むが、浦和DF岩波(31番)、DF宇賀神(右)に挟まれるように妨げられる、右端札幌MF荒野(27番)


 上写真/後半12分、浦和のMFエヴェルトン(右から2人目)にヘディングで先制ゴールを決められる。札幌の選手左からGKク・ソンユン(25番)、DFキム・ミンテ、福森(5番)、MF菅(4番)、荒野(27番)、右端FWジェイ、31番は浦和DF岩波


 上写真/後半23分、同点ゴールを決めた札幌MF鈴木(9番)はベンチに走り、この試合を最後に移籍するMF小野とハイタッチ、サポーターもバンザイで祝福


 上写真/後半40分、札幌MF荒野(27番)とDFキミ・ミンテ(20番)が、浦和のポイントゲッターFW興侶(30番)を挟むように仕事をさせない


 上写真/後半42分、札幌右からのクロスはFWジェイ(48番)に合わず、浦和GK西川にパンチングでクリアされ、惜しくも逆転ならず、右札幌DFキミ・ミンテ(20番)、手前浦和FW興侶(30番)。この日のジェイは得点こそなかったものの、高さを生かし前線で起点となっていた


 上写真/緊迫した好試合は1−1のドローに終わり、札幌MF荒野(左)と浦和MF青木(16番)の両者とも疲れ切った様子でガックリ


 上:左側写真/後半23分、同点ゴールを決めた札幌MF鈴木(左)やFWジェイ(48番)、MF宮澤(10番)を労うペトロビッチ監督
 上:右側写真/後半14分、直前の12分に先制してなおかつ、厳しい表情で選手を鼓舞する浦和の大槻毅監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日はたくさんのサポーターが集まり、非常に素晴らしい雰囲気を作っていただき、まずはそれを感謝したいと思っています。

 浦和というチームは経験を積んだ選手が多く、そうした相手に戦うのは簡単ではない。ただし、われわれが90分、ゲームをコントロールできていたように私は思います。ただし、ここ数試合であるような形で先に失点をしてしまいました。良いゲームをしながら決め切れない中で、相手に少ないチャンスをモノにされる。今日もそういう展開でした。

 このような雰囲気の中でリードをされると、コントロールを失って前がかりになってカウンターを食らうことがよくあるが、選手たちはそうはならず、チャンスもクリエイトしてくれた。そして1−1に追いつくことができて、逆転すべく圧を掛けてチャンスも作ってくれた。ただし、そうした中でもやはり2点目を奪えるところで奪えなかった。ここ最近はチャンスがありながらも決められない。それがチームの現状だと思います。

 私自身、浦和の監督もしていました。浦和相手に引き分けが御の字であることもあります。ただし、今日の内容を見れば、運動量、内容、球際、コンビネーションで相手を上回っていました。勝利に値する試合だったと思いますが、それをつかむことができなかった。2ポイントを失った試合だと思っています。

 ただ、選手たちは良いプレーをしてくれました。そこに誇りを持っています。昨年のいまの時期よりも勝点が足りませんが、内容に関しては昨年よりも質が上がっていると思います。ポイントを落としている試合は続いていますが、われわれは間違いなく前進しています。昨年よりも危険に、コンビネーションで攻撃ができている。ただし、まだまだ経験不足です。いまのような状態を経験してチームは強くなっていきます。そのことは私は理解しています。今日観に来てくれた人にはチームが進むべき方向が見えたのではないでしょうか」

Q.小野 伸二選手を起用できなかったが−
 「今日に関しては、1つの交代は正しくなかったかもしれません。試合の展開によっては入れなければいけない、そう思っていました。その意味でも、悔いが残る部分ではあります。「申し訳ない」と話しましたが、彼も尊重してくれました。彼との仕事は栄誉なことでした。私にとっても幸せな時間でした」


■浦和レッズの大槻毅監督のコメント
 「継続してやっているところの挑戦だった。ボールを握ったり、攻守の切り替えのところ、前からの守備をしっかりやろうというところをやりました。前半は0−0で、後半に先に取れたところは良かったが、1−0で勝っているところで、カウンターで取られたところは残念です」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影