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コンサドーレ敗退・天皇杯第99回大会2回戦

19・07・06
 上写真/Honda FC戦先発メンバー、前列左からMF菅(4番)、中原(6番)、岩崎(13番)、駒井(14番)、白井(19番)、後列左からGK菅野(1番)、MF藤村(16番)、FWアンデルソン・ロペス、DF中村(24番)、MF宮澤(10番)、DF濱(15番)。中村は試合前に提出されたメンバーには入っていなかったが、練習中にDF石川が足に違和感を感じ、急きょ先発することになった。駒井、宮澤はけがから復帰、菅は日本代表から戻って先発した。写真はいずれも7月3日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘


静岡県代表Honda FCに2−4「非常に残念」

 「ジャイキリ」から「挑」(いどむ)の漢字一文字のポスターになった。令和初の天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会は5月に開幕、7月3日は全国各地で2回戦を行った。この日からJ1の18チームが登場、北海道コンサドーレ札幌は静岡県代表のJFL加盟のHonda FCと札幌厚別公園競技場で午後7時からカクテル光線に照らされた中、気温19.6度、無風、観客2千7百53人のナイトゲームで行われた。

 札幌は39回目の出場(前身の東芝サッカー部時代を含む)で、今季のJ1の得点ランキング3位(8点)のアンデルソン・ロペスを軸にイレブンを組んだが、けがから復帰の宮澤裕樹キャプテン、駒井善成らしばらくぶりの構成で苦闘した。一方のHonda FCは、現在JFLリーグの首位に立ち、平均年齢27.1歳(札幌は25.6歳)の脂の乗り切ったチーム。2−2の同点の場面もあったが、モチベーションの違いは歴然。2−4の「非常に残念」な結果で敗れ去った。

 J1の惨め組は、名古屋グランパス、湘南ベルマーレ、松本山雅FCとの4チームだった。

PK判定の失点から―

 試合は前半13分、バックスタンド側の副審が旗を挙げた。ペナルティーエリア内で双方の選手が小競り合い。主審が副審と話し合いPKマークを指さす。宮澤キャプテンらが不服の態度を示すが、笠原寛貴主審(1級審判・PK判定数3点=レフェリー名鑑より)はHonda側に促す。FW遠野大弥(20)が決める。その数分後、再びHondaにPKを与える判定、やはり遠野が挑んだがGK菅野孝憲が同じコースを読んで抑えた。

 Hondaが押し気味にポゼッションを展開。31分にFW同士のパス交換から背番号10古橋達弥(38=湘南ベルマーレ出身)の浮き球を遠野が決めて2点目。この後33分にコンサドDF中村桐耶が、相手GK白坂楓馬の中央へのミスキックを直接蹴り込み、1点差で前半は終了。

 後半に向けてペトロビッチ監督は「もっと厳しくプレーしよう。ボールを奪って早く攻めよう」とハーフタイムコメント。MF岩崎悠人に代えてルーカス・フェルナンデスを投入した。ドリブラーのルーカスを入れたことでA・ロペスにボールは入り、中盤のパス回しは札幌らしさを取り戻し10分A・ロペス―ルーカスからMF藤村怜(20=札幌U−18出身)に渡り「初得点」。2−2の同点とした。

 しかし、札幌の反撃はここまで。20分にHonda古橋に、終了間際の41分には、CKからDF池松大騎(24=188センチ、立命館大出)に決められた。

 CKと言えば、コンサドには福森晃斗の他にもルーカスもいたのに。この試合札幌は5本のCKがあり、ほとんどをサブリーダ−のMF中原彰吾がトライしていた。得るものがなかった。

【余 談】
 ■札幌は39回出場(1980年初出場の東芝サッカー部時代から)。初戦負け8回、欠場1回、その他2回戦から準々決勝までは29回。過去最高は3位(準決勝で敗退・決定戦なし)2回。東芝時代の1991年、コンサド初代監督の高橋武夫氏の時と、札幌に移転後の2006年、柳下正明監督の時代だった。

 ■HondaFCの井幡博康監督(45)は札幌市出身。市立羊丘中学を卒業後、単身ブラジルにサッカー留学。帰国後サッカーの名門「室蘭大谷高校(現・北海道大谷室蘭高校)」に入る。現在のコンサドーレ札幌キャプテンの宮澤裕樹や三上大勝GM(48)、竹林京介強化本部長(42)らの歓迎を受けたが、一番仲良しだったのはコンサドーレのOBの佐藤尽(44)で、「一緒に大谷を日本一にしたかった」。

 プロ生活は名古屋グランパスエイトに1994年に入団、ジェフユナイテッド市原などでプレーしたが、2001年に現役を引退した。途中JFLの本田に4年ほどいたので、大学のコーチや監督の経験を踏まえて2014年、Hondaの監督に就任した。選手と共に「J1のチームに勝ちたい」の強いコンセプトを掲げてやって来たと「故郷での勝利を喜んでくれた人々に感謝します」。       
                                        (池田 淳)


 上写真/前半13分、札幌はPKを取られ、HondaのFW遠野(26番)がゴール左に決め先制する、札幌GK菅野(1番)が体をいっぱいに伸ばすが及ばず。左端MF駒井(14番)、右から2人目、MF宮澤(10番)、Hondaの選手、MF山藤(8番)、DF池松(13番)


 上写真/前半15分、右サイドでHondaのDF池松(右手前)、MF八戸(その後方)と競りながらボールをキープする札幌MF駒井(14番)。駒井はキャンプ中のけがからようやく復帰。今季初出場し今後の活躍に期待がかかる

■北海道コンサドーレ札幌の駒井善成選手のコメント
 「しっかりとコンセプトを持って試合に入ったが、なかなか相手の守備をこじ開けることができず、逆にミスから失点をしてしまった。負けてしまったことに対しての責任をすごく感じている。負傷明けですごく楽しみにしていた試合でもあった。前半は感覚としてまだまだだったが、後半はどんどん感覚を取り戻せていたので、今後につなげていきたいと思っている。サポーターの声援もありがたかったです。ただし、だからこそ勝利できなかったことが申し訳ない」


 上写真/前半20分、パスを出す札幌キャプテンMF宮澤(10番)、宮澤もけがから復帰し先発した、右端駒井(14番)


 上写真/前半31分、HondaのFW遠野(26番)が2点目を決め両手を上げて喜ぶ。札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)は肩を落とし相手を眺める。右端HondaのMF松本(7番)


 上写真/後半4分、パスを出す札幌DF中村(24番)、左HondaのDF鈴木(5番)、右FW古橋(10番)。中村は発表された先発メンバーには入っていなかったが、直前の練習で足に違和感を感じたDF石川に代わって急きょ先発、前半33分にはプロ初ゴールを決めるなど活躍した

■北海道コンサドーレ札幌の中村桐耶選手のコメント
 「得点のところは、形が形だったので、うれしいというよりはビックリしたという心境。試合の序盤からなかなかインターセプトができていなかったので、あの場面はインターセプトを狙いにいって、そのまま前に行こうか迷ったが、そこで思い切って出ていった結果、良い感じでゴールになった。運が良かったと思う。急に先発することになった難しさもあったが、良い準備ができていたので問題なかった。とはいえ、それでもやはり負けてしまったのは本当に申し訳ない。勝たなければいけない試合だった」

 上:上段写真/後半10分、札幌MF藤村(16番)がルーカス・フェルナンデスのパスを受け、HondaのDF鈴木(5番)をかわしてプロ初ゴールを決め同点とする
 上:下段写真/同10分、ゴールを決めた直後に喜んで走り出す札幌MF藤村(16番)、右FWアンデルソン・ロペス(11番)、左MF白井(19番)


 上写真/後半20分、HondaのFW古橋(10番)が再びリードするゴールを決め、ベンチ方向に向かってバンザイして喜ぶ、左HondaキャプテンDF鈴木(5番)


 上写真/後半追加タイム2分、札幌FWアンデルソン・ロペスがゴール前に迫るが、HondaのDF鈴木(5番)、川嶋(左)に阻まれる。


 上写真/後半20分のFW古橋の勝ち越しゴールにも浮かれず、厳しい表情でMF松本(7番)らに指示を出すHonda FCの井幡博康監督と肩を落とす札幌のペトロビッチ監督(右)

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「非常に残念な結果です。簡単な試合にならないことも分かっていました。準備もしっかりやってきたつもりです。リードされる展開の中で2−2に追いついたのは良かったですが、3点目を取るチャンスを決め切れず、負けてしまいました。ただし、試合を通して見れば相手が勝利に値するプレーをしていましたし、われわれは内容的には相手を上回るプレーをすることができませんでした。この敗戦を受け止めてしっかり(リーグ次節・)松本戦に向けて照準を合わせてやっていきたいと思います。応援してくれたサポーターに申し訳なく思います。

 7連戦を戦っている中で、なかなかチーム全体でトレーニングができていませんが、選手たちも疲労がたまっているのも事実です。その中で選手を入れ替えながら戦ったわけですが、われわれの状態を考えると、すべての大会を戦っていくのは難しいと思いました。残っているリーグ戦、カップ戦をしっかり戦っていきたいと思っています」

■Honda FCの井幡博康監督のコメント
 「立ち上がりのところから常に主導権をとりながらできたかなと思います。ただ、ボールを動かすところで、前半の半ば過ぎ、後半の頭は腰が引けてしまったかなというところはあります。ゲームの中でその状況を見た中で、もう少しプレーの質を変えなければいけないかなと思います。ただしチームとしては、ボールを持っていれば失点はしないという攻撃的なところを常にみんなが意識してやっている中で、ゴールに向かったプレーが今日は良かったかなと思います。また、J1クラブに勝つ、というチーム作りを常にやっていますので、この勝ちを次のリーグ戦や天皇杯の次戦に向けていきたいなと思っています。今日のパフォーマンスというのは自分たちだけではなく、応援してくれている皆さまや、札幌という相手が僕たちの力を引き出してくれたと思います」
池田淳 写真は石井一弘撮影