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J1第6節(4月6日)、ホームで相手を押し込むも好調大分に敗戦

19・04・11
 北海道コンサドーレ札幌は4月6日にホームの札幌ドームで大分トリニータと対戦。札幌は前半開始早々に大分FW藤本に先制を許すと、オウンゴールもあり2点ビハインド。後半、札幌も大分のオウンゴールで1点返したが追い上げもここまで。1−2のスコアで破れ、リーグ戦3連敗を喫した。

 札幌は第2節浦和戦と、第3節清水戦は複数得点をあげ快勝。しかしその後2試合は鹿島に1−3で敗戦、名古屋には4失点で大敗と急ブレーキ。試合後、ペドロビッチ監督も「すべてにおいてわれわれを上回っていた」と認めたように手も足も出ない完敗であった。迎えた今節、ホーム戦で立て直しに期待がかかる中、キックオフ。

 しかし、試合開始早々、札幌は出鼻をくじかれる。前半2分、大分が自陣中央右サイドから札幌DFライン裏へロングフィードを送る。FW小塚が右サイド深くでボールを収め、鋭い切り返しでDFをかわし左足でクロスを供給。中央からファーサイドに逃げる動きをしたMF星は、ゴールラインを割りそうなボールをスライディングしながら右足アウトサイドで折り返す。これを中央にいた藤本が左足ワンタッチで仕留めて先制。アウエーの大分がいきなり試合を動かした。

 札幌の攻撃は前半12分、MF荒野が相手ペナルティーエリア右で力強く体を入れボールを奪取。ペナルティーエリア手前中央にいたMFチャナティップに横パス。チャナティップは足裏のうまいファーストタッチでDFをはがし右足でシュート。低い弾道のボールが枠内に飛ぶもGKのセーブに遭う。

 追いつきたい札幌は、反撃に出ようとするものの大分のプレスに苦しみ、効果的な崩しには至らない。すると前半26分、またも大分のスピードに乗った大きな展開にやられる。

 自陣のセンターサークル手前でボールを持った大分FW小塚が、札幌最終ラインの裏を狙い、右サイドを駆け上がったMF松本へ正確なロングフィード。40m近いフリーランで一気に抜け出した松本は、ペナルティーエリア右からワンタッチで中央へグラウンダーの早いパスを送る。走り込んでいた藤本がシュートを打とうとする直前、後ろから札幌DF宮澤がスライディングでなんとか足を伸ばすと、オウンゴール。

 触らなくとも藤本が仕留める体勢に入っていたこともあり、問題はその前。1点目と同じく、前がかりになった時の後ろのスペースのケアが後手に回っている。逆に大分はスカウティングの勝利で完全に札幌の裏のスペースを狙っていたと言える。

 札幌は、前半終了間際の42分に、めずらしい形でチャンスを得る。大分GK高木がバックパスをキャッチしてしまい間接FK。このFKをFW鈴木とDF福森が構える。鈴木がチョコンと触り福森が壁の上を越すシュートを狙うがDFのヘディングで対応され得点とはならず。2点ビハインドのまま試合を折り返す。

 後半に入り、札幌は最初からギアを上げ、果敢に攻撃を仕掛ける。後半3分、MFアンデルソン・ロペスがハーフウェーライン近くでパスを受け、そこからドリブルで加速。相手を強引にかわしながらペナルティーエリア手前まで前進。最後はDFの股を抜きペナルティーエリア内へ進入、右足のシュートを放つもDFに当たりゴールとはならず。

 札幌の攻撃が実ったのは後半24分。相手陣地中央で途中出場のMFルーカス・フェルナンデスがドリブルで前を向く。ここからペナルティーエリア手前中央にいたチャナティップへ縦パスでスイッチを入れる。するとチャナティップ→アンデルソン・ロペスがワンタッチの連続で、ペナルティーエリア内左に走り込んだMF中野へスルーパス。中野もワンタッチで飛び出して来たGKをふわっと浮かし中央へクロス。後は鈴木が頭で触るだけだったが、鈴木の前に飛び込んだ大分DFが頭でのクリアを試みるも態勢悪くオウンゴール。結果的には相手が入れたが札幌らしい流れるような攻撃で1点返す。

 後半32分にも、札幌が攻め立てる。細かいパスをつなぎペナルティーエリア手前にいるチャナティップまでボールを送る。チャナティップは緩急の変化を使いドリブルで前進。ペナルティーエリア内左に入り、切り返しから中央へ横パス。これをアンデルソン・ロペスがワンタッチシュート。しかし必死に寄せに来たDFに阻まれコーナーへ逃げられてしまう。

 終盤に向かい、札幌ペースで進んでいたが同点には至らず、結局1−2のスコアでタイムアップ。下降線の札幌はホームで痛い敗戦となった。これで札幌は勝ち点6、順位は15位となった。

 札幌の次の試合は4月10日、ホームの札幌ドームで湘南ベルマーレJリーグYBCルヴァンカップグループステージ第3節となっている。

 (写真はいずれも4月6日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半2分、先制ゴールを決めチームメイトと喜び合う大分FW藤本(左から3人目の10番)、右端アシストしたMF星(19番)


 上写真/前半8分、札幌MFアンデルソン・ロペス(11番)が大分ゴール前に攻め上がるも、大分MF星(19番)にクリアされる、後方札幌FW鈴木(9番)


 上写真/前半17分、札幌右CKからの攻撃は大分GK高木(1番)やDF鈴木にクリアされ、再びCKとなる。札幌の選手は、左からFW鈴木(9番)、MF宮澤(10番)、荒野(27番)


 上写真/前半26分、大分MF松本のパスをFW藤本(10番)が決めたかに見えたが、札幌MF宮澤(右端の10番)のオウンゴールとなり、手痛い2点目を献上した


 上写真/後半23分、大分ゴール前に迫る途中出場した札幌MFルーカス・フェルナンデス(7番)、その左深井(8番)、右チャナティップ(18番)


 上写真/後半24分、大分GK高木(1番)の出鼻ぎりぎりから浮き球のパスを出す札幌MF中野(23番)。この後FW鈴木(9番)と競り合った大分DF鈴木(右端)のオウンゴールをよび込み1点を返す


 上写真/後半28分、札幌FW鈴木(9番)がゴール前に迫るが、大分GK高木(1番)が一瞬早くボールをキャッチ


 上写真/大分に1−2と敗れ3連敗、しょんぼりした様子でサポーターへのあいさつに向かう札幌の選手たち、左端キャプテンMF宮澤ら


 上写真/前半30分、選手に指示を出す大分の片野坂知宏監督と右後方に札幌のペトロビッチ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日の敗戦は非常に痛いです。負けてはいけない試合に負けてしまいました。立ち上がりに失点をしたことがチームにとって重しになってしまった。連敗している中で立ち上がりに失点をしてしまったというのは選手たちにはショックだったと思う。なかなか思うようにプレーできなかったのではないだろうか。その後、追加点を奪われてしまいましたが、背後に出てくるボールへの対応をしっかりやろうと言っていたのですが、そこからやられてしまいました。リードされてしまったことで、われわれにとっては難しい試合になりました。冷静に、意図した戦いができていなかったと思いますし。前半は相手のほうがベターな戦いをしていました。

 後半に入ってからはなんとかひっくり返そうと選手たちは頑張ってくれました。得点以外にもチャンスはあったと思います。同点にできるだけの攻撃ができていました。ただし、こうした連敗中にはなかなか点が取り切れないということがあるのもサッカーです。連敗中ですが、パニックになることは良くありません。冷静に戦っていく必要があります。われわれがやるべきことは冷静に分析することと、良い練習を重ねることです。それが状況を変えていきます。若いチームなので、まだ安定感が欠けています。でも、1つの勝利が自信を取り戻せると思います。どのチームでも、長いシーズンの中では好不調があります。去年は多くの強豪チームが勝てない時期を経験していました。そうなりかけている場面では、必要以上に慌てないことです」


■大分トリニータの片野坂知宏監督のコメント
 「予想どおり簡単ではなく厳しい試合になった。前半はうまく得点し狙いを合わせて戦えていたのだが、後半は、2点差というのは非常に難しい。3点目を取りにいくのか2点のリードを守るのか、少し弱気になったというか構えてしまいすぎて、札幌さんにボールを持たれる時間、危険なところに進入される時間が増えてしまい、なんとか1点で収まったが、もしかしたら勝点1になったかもしれなかった。わたし自身も反省しなくてはならないと感じている。

 札幌さんの迫力ある攻撃陣、クオリティー、決定力、スピードのある選手がそろっている相手を、無失点で守り切るのは難しいだろうと思っていたが、選手がなんとか粘り強く体を張ってやってくれた。そのことは評価したいが、やはりわれわれは今後、このJ1のリーグ戦を戦う中で、守り切って勝つというよりはしっかりと攻めて2−0から3−0、もしくは4−0というふうにチャレンジしなくてはならないと、試合後にコーチ陣と話していて感じた。

 最後になったが、今日はペトロビッチさんとの対戦で、うれしくて非常に気合いが入った。こうしてJ1の舞台で戦える幸せを感じた試合だった。試合中は勝たなくてはならないという思いでやっていたが、本当に感慨深く、ありがたかった。われわれにとっては勝点3が取れ、札幌さんにとっては残念な結果だったが、また次に大分のホームで迎え撃つときに、ペトロビッチさんとともに良いゲームができるようにしたい」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影