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J1第32節(11月10日)、赤黒と赤に染まる厚別。1−2でレッズに軍配

18・11・11
 11月10日、4位北海道コンサドーレ札幌(勝ち点51)は、札幌厚別公園競技場で6位浦和レッズ(同45)と対戦。試合は前半、浦和FW武藤のゴールで先制されるも、札幌DF進藤のヘディングで同点。しかし、前半のうちに、浦和武藤にこの日2点目を決められ、そのまま1−2のスコアで札幌が惜敗。これで、勝ち点51変わらず、ACL圏内3位の鹿島アントラーズとは1ポイント差の4位につけている。

 ACL圏内をかけた大一番に12,723人の赤と、赤黒に埋め尽くされた“聖地厚別”。気温15.4度、湿度56%、特有の風も弱く、芝も緑を保っており、この時期の厚別としては、ベストコンディションと言ってもいい状態。試合前には小雨も上がり、スタジアム上空に虹も懸かるなど、両チームのサポーターの気持ちも高ぶる。

 札幌は、FWジェイが出場停止で、ワントップに都倉を起用。2シャドーにチャナティップと三好。MFは左に菅、右に早坂、ボランチには兵藤と荒野。3バックには左から福森、中央に宮澤、右に連続フル出場を続ける進藤を配置。どのポジションも計算できる選手が先発に並んだ。

 試合は、ホームの札幌が赤黒、浦和がアウエー用の白色のユニホームをまとい14時にキックオフ。すぐさま相手陣内に攻め込む札幌は、いきなり3回連続のCKを得る。ここは決めきれないが、入り方は悪くない印象。

 しかし、ワンチャンスを確実に仕留めたのはアウエーの浦和。前半6分、ボールを自軍で奪った浦和は、素早くMF長澤につなぎ、ドリブルから浮き玉のボールをDFラインに入れる。ここに走り込んだ浦和武藤はうまい胸トラップで抜け出し、スピードに乗って左足で先制ゴール。DFラインのカバーに入ったボランチの一瞬の隙を見逃さなかった。

 ここから浦和のパスワークが目立ち始め、札幌は前半20分過ぎまで我慢の時間帯が続く。札幌は粘り強く対応し、徐々に流れをつかみ、試合を振り出しに戻すことに成功する。

 相手のゴールキックのボールを自軍で奪った札幌は、ここから12本のパスをつなぎ同点弾を奪う。前半25分、チャナティップ、荒野、三好を中継し、左サイドの菅に展開。最後は菅のセンタリングから逆サイドでマークを外した進藤が頭で決めた。

 札幌は勢いに乗って追加点を狙いに行ったが、逆に同点弾を上回る、なんと18本のパス回しから浦和の勝ち越し点を許す。

 前半35分、浦和の長いパス交換から左サイドのMF宇賀神へ。縦へ仕掛けた宇賀神は左足でグラウンダーのクロスを供給すると、またも武藤がトラップから左足で勝ち越しゴール。札幌のDF枚数はそろっていたが、ボールウォッチャーとなったか、武藤にはプレッシャーがかかっていなかった。

 1点ビハインドで後半に入った札幌は、ボールを動かしながらチャンスをうかがい、惜しいチャンスを連続して作る。後半6分、チャナティップのミドル。続く9分は、荒野のペナルティーエリア内からのシュート。さらに18分、都倉のトラップからのシュートなど、最後のところで精度を欠き、ことごとく決めきれない。

 対する浦和は、後半押し込まれる展開ながらも、ゴール前で堅いブロックを敷き、札幌の攻撃を跳ね返し続けた。結局、このままスコアは動かず1−2でタイムアップ。札幌は、浦和の試合巧者ぶりをまざまざと見せつけられる敗戦を喫した。

 また、同時刻に行われた他会場の試合は、川崎フロンターレが敗れたが、2位に付けていたサンフレッチェ広島も敗戦。この結果、勝ち点7差のまま、川崎が2年連続のJ1優勝を飾った。

  (写真はいずれも11月10日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/試合開始直後の1分、札幌左CKからの混戦にDF宮澤(10番)がヘッドで押し込もうとするが、浦和GK西川(1番)が一瞬早くパンチングでクリアする


 上写真/前半25分、札幌MF菅(38番)が、三好の中央からのパスを受け、DF進藤の同点弾をアシストするクロスを入れる。左浦和MF橋岡(27番)、右GK西川(1番)


 上写真/前半35分、浦和FW武藤(9番)に追加点を決められ、ガックリの札幌MF三好(41番)、スタンドの札幌サポーターも沈黙。左端アシストしたMF宇賀神(3番)


 上写真/後半1分、浦和の猛攻を札幌GKク・ソンユン(25番)が右手を伸ばしてクリア。左端浦和DF岩波(31番)、右端槙野(5番)、札幌の選手は左からMF早坂(26番)、FW都倉(9番)、DF進藤(35番)


 上写真/後半8分、札幌MF三好(41番)がドリブルで攻め上がるも、浦和DF岩波(31番)、マウリシオ(2番)が、そうはさせじと立ちはだかる。左端には槙野(5番)もカバーに入っている、18番は札幌MFチャナティップ


 上写真/後半追加タイム4分、札幌MFチャナティップ(18番)が狭いエリアをドリブルで攻めるが、浦和DF長澤(15番)が手足を伸ばして懸命に防ぐ、右端は岩波(31番)


 上写真/1−2と敗れ残念がる札幌の選手たち、左からキャプテンDF宮澤(10番)、FW都倉、MF三好(41番)、チャナティップ(18番)、DF進藤(35番)、MF白井(19番)、FW宮吉(31番)、DFキム・ミンテ、MF荒野(27番)、DF福森(5番)


 上写真/1−2と敗れはしたものの、あいさつに来た札幌の選手たちに熱い声援を送るゴール裏熱烈サポーターたち


 上写真/前半12分、1点リードに余裕の浦和オズワルド・オリヴェイラ監督(左)と右奥に札幌のペトロビッチ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「前半の立ち上がり、選手たちは緊張したのか、怖がったのか、非常に入りが悪い中で気をつけていた形からボールを失い、失点もしてしまいました。その後は立て直して流れを引き寄せ、1−1に追いつくことができました。その後、2失点目を喫するわけですが、人数が足りている中で相手に寄せ切れませんでしたし、前半に関しては浦和のほうがベターな戦いをしていたと思います。われわれは奪ったボールをなかなかつなげず、ミスを重ねてしまいました。後半は立ち上がりから良い戦いを見せてくれました。ピンチも少なかったですし、相手を押し込む形でチャンスを作っていました。決定機も何度か作りましたが、それを決め切れず敗れてしまったという試合でした。

 リーグは中断に入りますが、良いトレーニングをして磐田、広島との試合に挑んでいきたいですし、最後、われわれがどの順位にいるのかは分かりませんが、大切なのはベストを尽くすことだと思っています。良い準備をしていきます」

■浦和レッズのオズワルド・オリヴェイラ監督のコメント
 「予想どおり、難しい試合になった。札幌は今季、ペトロビッチ監督の下、非常にまとまっている。予想どおりタフな試合になった。私たちは努力して、決意を持ってこの試合に臨み、勝つことができた」
 
―試合後、ペトロビッチ監督と熱い会話をしていたが?
 「彼が広島時代の2007年に知り合った。日本サッカー界でも突出した存在感のある人物だと思っている。選手の成長に大きく関わり、チームをさらに成長させた存在。彼と同じ大会で戦えることを、私は誇りに思っている。彼は、広島、浦和でチームを作り上げてきた。彼が浦和で始めた仕事を、私が継続させていることに誇りを感じているという話を試合後にした。彼が残した遺産に、継続性を持たせているのが私である」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影