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J1第28節(9月29日)、終了間際に都倉の決勝弾で鳥栖に競り勝つ

18・10・02
 北海道コンサドーレ札幌は9月29日にホームの札幌ドームでサガン鳥栖と対戦。試合は後半、札幌MF三好の移籍後初ゴールで札幌が先制。しかし、試合終了間際に鳥栖のFW小野に決められ同点。それでもアディショナルタイムに札幌が得たPKをFW都倉が落ち着いて沈め、2−1の劇的勝利。まさに最後の最後まで目が離せないドラマチックな展開で、ドームに集った16,195人が湧いた。

 26日の天皇杯ラウンド16も含め公式戦3連敗と流れに乗れずにいた札幌。対する鳥栖はリーグ戦4試合負けなしではあるが、J2降格圏と勝ち点が同じという厳しい状況。上位を狙い再浮上したい札幌と下位の足音が聞こえる鳥栖という、互いに勝ち点3を譲れない厳しい戦いが予想された。

 試合は前半、ホームの札幌が連敗を止めるべく積極的な攻撃を見せる。前半3分、MF荒野からのパスを受けたMF菅が見事なファーストタッチでスピードを落とすことなくペナルティーエリア左へ進む。そのまま左足を振り抜きシュートを放つもわずかに枠の外。札幌がスタートからこの試合への意気込みを見せる。

 激しい攻防の中、前半25分に札幌が決定的なチャンスを得る。左サイドでFWジェイとのワンツーからのカットインでMF駒井が中央へ侵入。ペナルティーエリア手前から裏に抜けた三好にスルーパスを送ると、鳥栖DFジョアン・オマリがたまらず三好のユニフォームを引っ張り札幌がPK獲得。キッカーのジェイは左足でサイドを狙うもGK権田が右手一本のファインセーブで先制とはならず。

 前半34分、今度は鳥栖がペナルティーエリア手前中央のFKをDF安在が左足で直接狙う。コースは良かったが若干スピードが足りず札幌GKク・ソンユンが外へはじき出す安定のセーブ。守護神クの牙城は簡単には崩されず、スコアレスで試合を折り返す。

 後半に入り、流れをつかんでいた札幌に待望の先制点が生まれる。後半13分、荒野が敵陣中央でフリーになったジェイへパス。ジェイは前を向きペナルティーエリアライン上にいた三好へ縦パスを送る。三好は難しいパスを巧みなターンでペナルティーエリア内へ侵入し、ワンドリブルを挟んでの左足シュート。小気味のいいタッチに鳥栖GK権田も反応出来ず、シュートはニアサイドに突き刺さった。

 札幌が1点リードすると、前線の頑張りに応えようと守備陣も奮闘。後半15分、この日はリベロでの出場となったDF宮澤がゴールエリア角からの鳥栖FW金崎のシュートに体を投げ出しブロック。守備のセンスも発揮した。

 終盤に向け、ゲームをコントロールし始めていた札幌であったが、注目のFWフェルナンド・トーレスに一仕事される。後半44分、ペナルティーエリア左角でボールを持ったフェルナンド・トーレスはファーサイドに柔らかいクロスを供給。DF藤田が角度のないところから頭で中央へ折り返すと、これはGKク・ソンユンが一瞬触るも後ろへ流れたボールに頭から飛び込んだ小野がゴールゲット。土壇場で鳥栖が意地を見せ、試合を振り出しに戻す。

 このまま同点で、勝ち点1かと頭をよぎったが、今季の札幌は後半、そしてアディショナルタイムにめっぽう強い。サポーターも予期していたのか、左サイドへ流れた途中出場の都倉にボールが入ると、ボルテージもアップ。都倉は自慢のフィジカルでマークに来たDFの体勢を崩しドリブルでペナルティーエリア内へ運ぶ。抜かれた鳥栖DF高橋は慌てて後ろからの反則チャージで、執念のPK獲得。後半50分、大きく深呼吸した都倉は、得意の左足で決め、ボルテージは最高潮のまま2−1で試合終了。ホームの札幌が劇的過ぎる勝ち点3を手に入れた。

 この勝利で札幌は勝ち点44に伸ばし順位を4位に上げた。ACL出場圏内の3位鹿島とは勝ち点差を1差につけている。
 
 次節札幌は10月5日にアウエーの日産スタジアムで11位の横浜F・マリノス(勝ち点35)と対戦する。

 (写真はいずれも9月29日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半21分、この試合CBで先発した札幌の宮澤(10番)が、鳥栖DFジョアン・オマリからのパスを受けたFW金崎(44番)からボールを奪う。宮澤はこのところパフォーマンスが落ちているDFキム・ミンテに代わって今季初めてCBに起用され勝利に貢献した


 上写真/前半41分、札幌MF三好(41番)が鳥栖FW小野(40番)、DF吉田(23番)、MF高橋秀(36番)の間を縫うようにドリブルで突進する。三好は前半PKを得たり、後半に先制点をたたき出すなど大活躍し、この試合のMVPを獲得した


 上写真/前半43分、鳥栖左CKからの流れでFWフェルナンド・トーレス(右端の9番)がシュートするが、右に大きくはずれる。左から札幌MF菅(38番)、GKク・ソンユン(25番)、DF進藤、鳥栖DFジョアン・オマリ、札幌DF宮澤(10番)、その後方MF早坂、鳥栖MF高橋秀(36番)、FW小野(40番)、トーレスの後方にFW金崎(44番)


 上写真/後半13分、札幌はMF荒野が起点となりFWジェイからの縦パスを受けたMF三好(41番)が鳥栖DFジョアン・オマリ(左)と競りながら、移籍後初ゴールとなる先制点をあげる


 上写真/後半16分、札幌GKク・ソンユン(25番)が鳥栖FW小野のミドルシュートをジャンプして右手を伸ばしてクリアしCKに逃げる。左手前鳥栖DFオマリ(33番)、右へ札幌FWジェイ(48番)、MF菅(38番)


 上写真/後半44分、鳥栖FWフェルナンド・トーレス(9番)が小野の同点弾を呼ぶクロスを中央から右サイドへ入れる、札幌DF進藤(35番)、右端MF荒野(27番)。進藤は今季、GKク・ソンユンと共に、全試合先発、フル出場してチームの上位躍進に貢献している


 上写真/後半44分、鳥栖DF藤田のシュートを札幌GKク・ソンユンがはじき、走り込んで来たFW小野(40番)が、札幌の途中出場したDFキム・ミンテ(20番)と競りながら体ごとなだれ込むようにヘッドで押し込み同点とする。小野の右、FW金崎(44番)、右へ札幌MF兵藤(6番)、DF宮澤(10番)、MF菅(38番)


 上写真/後半追加タイム5分、PKで勝越し点を決めた札幌FW都倉(9番)がゴール裏サポーターに向かって吠える


 上写真/後半5分、依然として0−0の膠着状態が続く中、「どうしたものか?」とひざに手を当てる鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督(左)とペットボトルに手をやる札幌のペトロヴィッチ監督


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「今日のゲームは(公式戦)3連敗していた中で行われた試合でした。非常に難しかった試合です。鳥栖はここ最近は安定した試合を見せていて、守備がオーガナイズされたチーム。そして残留争いの中でモチベーションを高めている。そうしたお互いの状況を考えると非常に難しい試合でした。ただし、選手たちは立ち上がりから素晴らしいプレーを見せてくれました。バランスよくポジションを取り、中央には動きのある選手を起用し、非常によくやってくれたと思います。後ろからのビルドアップも確実にボールを動かしながら、前へ良いボールを供給してくれました。

 今日くらいの内容のゲームができるのであれば、もっとラクな勝ち方をしなければいけませんでした。PKを相手に止められたりもしましたが、チャンスを決めていれば、このような際どい試合にはならなかったはずです。1−0になってからも2点目を取るチャンスがありながら、それを決められず、同点にされてしまいました。まだまだわれわれには未熟さがあるのかなと思います。ただし、とてもポジティブなことは、終盤に追いつかれ、気持ちが落ちてしまいそうな中でも、選手は最後まであきらめずに戦ってくれたことです。どのゲームでも勝ちたいという姿勢を選手たちは見せてくれました。

 今日はたくさん良いシーンがありましたが、私の中で一番印象に残っているのは、左ストッパーの福森がクロスを上げて、それに対して右のストッパー(進藤)が頭で合わせたシーンです。2回ほどありました。そうしたシーンは世界的に見てもまれですし、素晴らしいことだと思いました」


■サガン鳥栖のマッシモフィッカデンティ監督のコメント
 「この試合では両チームともに健闘し、前後半通して互いにチャンスを作りました。これについてはあまり話したくないのですが、後半は変なシーンがありました。PKも(前後半で)2つ取られ、2つ目はギリギリのものだったと思います。同点にできたのですが、最後にまたPKを取られて負けてしまいました。ちょっと選手はナーバスになっている感じはありますが、次の試合では頑張って勝利をしたいと思います」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影