コンサドーレ札幌ピックアップ情報

一覧に戻る

J1第27節(9月23日)、ホームで鹿島に0−2で敗れ、札幌は連敗喫す

18・09・27
 北海道コンサドーレ札幌は9月23日にホームの札幌ドームで鹿島アントラーズと対戦。試合は前半に鹿島MF遠藤に先制点を許すと、後半にも鹿島FW鈴木にPKを決められ2点ビハインド。札幌は最後まで一矢報いようと戦ったがそのまま0−2で敗れた。

 この試合の結果によっては札幌が5位(勝ち点41)から3位に、対する鹿島は7位(同39)から4位へジャンプアップの可能性があっただけに、両チームにとって重要な一戦。

 札幌は前節、昨季王者の川崎に0−7と大敗。スコア上だけで見ると一方的だが、先制を許すまでは、札幌が今季体現している前線からの積極的な守備と、攻撃的なパスサッカーは見せていた。直前の震災の影響もありコンディション不良の中、チームの前を向く姿勢はたたえたい。

 鹿島との試合は前半8分、札幌FWジェイが敵陣中央左で巧みなターンからDFをかわし、フィジカルを生かしたドリブルから、MFチャナティップへスルーパス。ペナルティーエリア内左で受けたチャナティップはクロスを選択。ゴール前を横切ったボールは大外にいたMF白井に渡り、切り返しからシュート。これがこぼれ球となり、再度白井がジャンピングボレーを放つもDFにクリアされ得点とはならず。

 一進一退の中、先制点をあげたのはアウエーの鹿島。前半24分、鈴木がペナルティーエリア手前左でボールを持ちルックアップしながらパスコースを探す。直後ファーサイドに走り込んだ遠藤に向け、右足で絶妙なピンポイントクロスを供給。スピードに乗った遠藤は、右足インサイドボレーの低い弾道でゴールに叩き込んだ。このシーンは、札幌MF菅の背後を遠藤がうまく取ってフリーになった時点で勝負あったか。鹿島1点リードで試合を折り返す。

 後半、立ち上がりから攻勢に出たのは鹿島。後半1分、MFレオ・シルバがFW土居とのワンツーで攻め上がる。最後はペナルティーアークからミドルシュートも、ワンバウンドで枠外へ。

 続く後半3分にも鹿島の攻撃。敵陣深い位置左サイドからMF安西がDF山本とのワンツーでペナルティーエリアへ侵入。中に切れ込んだ安西がドリブルで進もうとしたところ札幌のDF陣が挟み込むようにアタック。最後はDF石川の足に引っかかるようにもつれ、ファウルとなりPK献上。キッカーの鈴木はGKク・ソンユンの動きをしっかりと見抜き逆に蹴り込みゴール。鹿島が追加点をあげる。

 リードを広げられた札幌だがすぐに決定機を作る。後半5分、DF石川が敵陣中央の位置で粘り強く守りボールをはじく。こぼれ球を拾ったMF深井が前線ペナルティーエリア内のFW都倉へパスを送る。相手のスライディングも間に合わず完全にフリーになった都倉だがトラップが浮いてしまい、シュートをカバーに来たDFに触られ得点には結び付かず。

 後半14分にも札幌が惜しい場面を迎える。左サイドでDF福森がパスを受けると高い弾道のクロスを入れる。ファーサイドへ走り込んだジェイが頭で合わせるもボールはクロスバーの上。今季何度も見たホットラインだったが得点には至らず。

 その後札幌は、MF早坂、MF三好、MF小野と、次々と攻撃的なカードを切るも試合巧者鹿島のネットは揺らせず、0−2で敗戦となった。それでも、9月6日に発生した胆振東部地震後、初のホーム戦に21,074人ものサポーターが集まった。選手たちの「勝利で勇気や元気を届けたい」と、最後まであきらめない姿勢は心を打った。

 この結果、札幌は11勝8分け7敗、勝ち点は41のまま、順位を7位まで落とした。しかし、ACL出場圏内の3位東京まではわずか勝ち点差2、さらに札幌には試合数が1つ少ないというアドバンテージもあるため巻き返しが期待できる。

 札幌の次の試合は、9月26日の天皇杯ラウンド16アウエージュビロ磐田戦を挟み、9月29日にホームの札幌ドームで15位のサガン鳥栖(勝ち点30)とJ1第28節を行う。

 (写真はいずれも9月23日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半8分、札幌左サイドのMFチャナティップのクロスから、この日先発したMF白井(19番)がシュート、鹿島DF犬飼(39番)にクリアされるがCKを得る。中央DF山本(16番)


 上写真/前半24分、鹿島MF遠藤(25番)の先制ゴールに喜ぶ、元札幌のDF西(22番)とMFレオ・シルバ、左端FW鈴木(9番)、右端土居(8番)、札幌DF進藤(35番)が悔しそう


 上写真/前半29分、札幌MFチャナティップ(18番)がドリブルで突進するが、鹿島DF犬飼(39番)のマークにあう。華麗なステップを見せるものの、相手に研究されたか、思うように突破できず。後半21分には相手選手との接触で負傷し、MF三好との交代を余儀なくされた


 上写真/前半38分、札幌右CKからの攻撃は鹿島にクリアされる。この日先発したDF石川(32番)、FWジェイ(その後方)、MF深井(8番)が手を上げて反則をアピールするも認められず。鹿島の選手は左からDF西(22番)、山本(16番)、FW鈴木(9番)、MF安西(32番)


 上写真/前半42分、札幌自陣からDF福森のロングパスを受けてFWジェイ(48番)が鹿島DF犬飼と競りながらシュートするがGKクォン・スンテ(右)にストップされる


 上写真/後半2分、札幌ゴール前に突入しようとした鹿島MF安西(32番)が札幌DF石川らに倒されPKを得て、MFレオ・シルバ(4番)、FW土居(8番)にたたえられる。札幌の選手は左からDF進藤(35番)、MF宮澤(10番)、深井(8番)


 上写真/後半3分、鹿島MF安西がもらったPKをFW鈴木(9番)が札幌GKク・ソンユンの動きを見ながら慎重に決め追加点を上げる、鈴木は2ケタ得点に到達した。中央札幌MF宮澤(10番)、右MFチャナティップ


 上写真/後半5分、札幌MF都倉(9番)が鹿島DF犬飼(39番)と競りながらシュートを放つが、犬飼の方が一瞬早くクリアする


 上:左側写真/後半3分に鹿島に追加点を決められた直後、選手たちを鼓舞する札幌のペトロビッチ監督、後方で交代を予定している選手に入念な指示を出す鹿島の大岩剛監督
 上:右側写真/前半24分、先制点が決まりスタッフとハイタッチで喜ぶ鹿島の大岩剛監督

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「やはり敗戦というのは、どんな敗戦でも痛いものです。負けはしましたが、前半は狙いどおりの攻撃が出来ていたと思いますが、その中でクロスから失点してしまいました。ただし、やはり前半はボールを動かしながら、狙いとする形でのチャンスを作れていたと思います。後半に関してはチャンスになりそうな場面でのミスが多かったり、あるいはラストパスの精度がなかなか上がらなかったり、と。そうした中でチャンスはあったのですが、残念ながら疲労がある中で正確なプレーがなかなかできませんでした。

 震災のあと、われわれは勝てていませんが、チームとしては何がなんでも勝利をして、北海道の方々に喜んでもらいたいと思っています。でも、それがかなわない中でも素晴らしいサポーターが後押しをしてくれている。近いうちに必ず、それに応えたいと思っていますし、総力を挙げて頑張っていきたいと思っています」


■鹿島アントラーズの大岩剛監督のコメント
「非常に難しいゲームをしっかり選手たちが前半の最初から、やるべきことをしっかりとピッチで表現してくれて、良い判断とチームとしての一体感が出た素晴らしいゲームだったと思います。これを次の天皇杯に向けて、気持ちを切り替えていきたいと思います」

編集部 写真は石井一弘撮影