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J1第34節(12月2日)、札幌が鳥栖に3−2の劇的勝利で有終の美

17・12・06
 北海道コンサドーレ札幌は12月2日、ホームの札幌ドームでサガン鳥栖と対戦したJ1最終節。試合は開始早々に札幌FWジェイが得点をあげると、FW都倉も負けじと追加点。しかし前半の内に鳥栖のFW田川に1点を返され2−1。後半も鳥栖のペースで進み鳥栖DFキムミンヒョクに同点ゴールを奪われるも、最後は札幌DF横山が劇的な決勝点をあげ見事3−2で勝利した。

 長いリーグ戦のラストゲーム。両チーム共に残留やAFCチャンピオンズリーグ出場権を争う状況ではないが、勝利で今季を締めくくり来シーズンにつなげて行きたいところ。特に札幌は16年ぶりとなるJ1残留を決めた四方田監督の退任が決まっており、是非とも勝利をプレゼントしたい。外は氷点下の札幌だったが、ドーム内が約2万8千のサポーターの熱気で包まれる中、キックオフ。

 前半開始直後、札幌はジェイ、都倉、対する鳥栖はFWビクトルイバルボとフィジカルに長けた選手にシンプルにボールを入れ、セカンドボールを拾って攻撃につなげようという両チームの主導権争いとなる。

 その中、先に決定機をものにしたのは札幌。前半6分、横山がハーフウェーライン手前から前線の都倉へロングフィード。ペナルティーエリア内で都倉が頭で落とすとボールはペナルティーアークにいたジェイの方へ。浮いて来たボールをジェイは左足のスーパーなボレーシュートを見事サイドネットに叩き込み1−0と札幌がリードに成功する。これでジェイは今季二桁となる10得点目を記録した。

 流れに乗った札幌は前半16分、都倉が鳥栖の中盤にプレスバックで圧力を掛ける。センターサークルでこぼれたボールをMF兵藤がジェイへワンタッチの楔を入れジェイはヒールパスで都倉にボールをつなぐ。敵陣中央でボールを受けた都倉はそのままスピードに乗ったドリブルで鳥栖DF2人の間を強引に突破。最後はキーパーの脇下を通す冷静な右足シュートで追加点。これで札幌が2−0とリードを広げた。

 後手に回った鳥栖も黙ってはいない。前半40分、中央右から鳥栖MF小野が高い弾道のクロスをファーサイドに送る。これを鳥栖FW池田が頭で折り返し、最後は田川が落ち着いたワンタッチシュートを決め鳥栖が1点返し、後半へ。

 後半に入り、1点差とした鳥栖が左サイドの攻撃を起点に押し込む回数が増えていく。すると後半7分、右CKをDF三丸が左足でゴールに向かっていくボールを入れると、混戦の競り合いの中、頭で合わせたのがキムミンヒョク。突き刺さるような強烈なヘディングシュートで同点ゴールをあげた。

 その後も試合は落ち着く気配を見せず、ホームの大声援を受ける札幌と、盛り返した鳥栖の両チームが勝利を目指しアグレッシブな展開となる。そして最後に好機をつかんだのは札幌だった。後半43分、右サイド敵陣深くからのFKをDF福森が得意の左足で鋭いボールを蹴ると、ニアサイドでうまく頭で合わせたのが横山。鳥栖GK権田が片手でなんとか触るもボールはゴールバーに当たりながら吸い込まれる劇的な決勝ゴール。シーズンの最後を締めくくるにふさわしい盛り上がりの中、札幌が最終戦を勝利で飾った。

 これで札幌は終盤3連勝で2017シーズンを締めくくった。5年ぶりとなるJ1挑戦も勝ち点43の11位という立派な成績で終え、選手、サポーターも満足顔で帰路についた。チームの一体感を引き出し、結果につなげた四方田監督の退任は残念だが、来季のペトロビッチ体制での積み上げで、更なる飛躍を期待したい。

 (写真はいずれも12月2日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半6分、札幌FWジェイ(48番)が先制ゴールを決めて走り出す、喜ぶMF兵藤(6番)の表情が、この得点の重みを物語っている。右MFチャナティップ、左鳥栖のDF吉田が悔しそう


 上写真/前半16分、札幌MF兵藤のパスをFWジェイ(48番)がヒールパス、走り込んだFW都倉(9番)がドリブルで持ち込み豪快に右足でシュートを決め、追加点を上げる。先制点のアシスト役とちょうど逆になった


 上写真/前半40分、鳥栖FW田川(27番)がゴールを決めボールを拾い上げてFWビクトル・イバルボ(32番)と喜ぶ。一点を返され「しまった!」という表情の札幌MF菅(38番)、GKク・ソンユン(25番)、DF進藤(35番)ら


 上写真/後半7分、鳥栖右CKからDFキム・ミンヒョク(5番)が札幌FW都倉(9番)と競り合いながらヘディングシュートを決め同点となる。さしもの札幌GKク・ソンユンが長い手足をいっぱいに伸ばすが届かなかった。23番は鳥栖のキャプテンマークをつけたDF吉田


 上写真/後半25分にMFチャナティップに代わって途中出場した札幌MF小野(44番)が直後の26分、鳥栖のロングボールをはね返す。攻守に奮闘し勝利に貢献した。10番は札幌のキャプテンMF宮澤


 上写真/後半43分、札幌DF福森の右FKからDF横山(中央で首をひねっている。ヘッドの瞬間はトップページで)が頭で流し込み勝越し点を決める。左後方FKを蹴ったDF福森(24番)、鳥栖MF高橋(14番)、札幌MF早坂、9番がFW都倉、35番がDF進藤


 上写真/後半43分、札幌DF横山の勝ち越しゴールが決まり、FW都倉とDF進藤(35番)が踊るように走り出す。後方奥でFKを蹴ったDF福森(24番)がガッツポーズ。鳥栖の選手はぼう然、左からFWビクトル・イバルボ(32番)、DF鄭(15番)、MF高橋(14番)、FW池田(22番)、DFキム(5番)、藤田(8番)


 上写真/ヒーローインタビューで花束を掲げて喜ぶ決勝ゴールを決めた札幌DF横山(2番)、この試合のMVPも獲得した


 上:左側写真/厳しい試合を札幌が3−2と勝ち切り両手を広げて沖田コーチと喜ぶ四方田監督、奥で野々村社長も嬉しそう
 上:右側写真/2−0とリードされた鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督が前半29分、早くも選手交代を示唆する

※北海道コンサドーレ札幌の四方田修平監督のコメントは、本サイト左にある「コンサドーレ公式ホームページ」バナーから、「エンタメ」ページの「試合レポート」でご覧いただけます。

■サガン鳥栖のマッシモフィッカデンティ監督のコメント
「ものすごく悪い形で試合が始まってしまいました。2失点ともミスからで、自分たちに責任があると思います。その中で反撃し、同点に追い付けたのは良かったですが、その中で札幌は徹底的にセットプレーを狙ってきて、その形で3点目を取られてしまいました。やはり、追い付いたのは良かったが、最初に失点し、そこで消耗してしまった。これでシーズンはいったん終わるが、8位で終えられたのは、移籍をした選手がいた中で、選手たちがしっかり付いてきてくれて、この順位でシーズンを終えられたことを褒めたいと思います。来年はさらに上に向かっていくという意味でも、選手たちとグラウンドで汗を流していきたいと思います」
写真はいずれも石井一弘撮影