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J1第22節(8月13日)、札幌ジェイの先制弾も甲府と1−1のドロー

17・08・18
 北海道コンサドーレ札幌は8月13日にホームの札幌ドームでヴァンフォーレ甲府と対戦。試合は札幌に加入後初先発のFWジェイがスルーパスから相手GKとの1対1を冷静に沈め先制。しかしその後札幌は後半27分に途中出場の甲府MF阿部に左足のシュートを決められ1−1のドロー決着。残留を争う相手と勝ち点1ずつを分け合う結果となった。

 リーグの上位争いとは違う視点で注目度が高い残留争い。今節まで勝ち点は共に19の得失点差で甲府14位、札幌15位と両チーム降格圏ぎりぎりで争う状況となっていた。札幌は今季チーム最多得点をあげているエース都倉が出場停止となっていたが、代わりにこの日はジェイをスタートから起用。ジェイの高さと決定力に期待が掛かっていた。

 前半、札幌が敷いたジェイシフトの四方田采配はまさに当たりだった。ジェイは試合開始から高さで起点となり得点を匂わせる。前半8分、相手ペナルティーエリア手前大外の右サイドで札幌MFチャナティップがボールを持つと切り返しで相手を揺さぶり左足でペナルティーエリア内へふわっとしたクロスを入れる。待ち構えていたジェイは滞空時間の長いジャンプからヘディングシュート。先制点かと札幌ドームがおおいに沸いたがわずかに枠の外に流れた。

 直後の前半10分、札幌MF荒野がハーフライン右サイドから左足で甲府最終ラインの裏へスルーパスを送る。これにタイミング良く反応したジェイはペナルティーエリア内でうまく前を向き相手GKと1対1。最後は距離がつまり時間と角度もないなか、冷静にGKの股下を抜き先制ゴール。190cmの高さだけではなく、足元の技術も高いことを証明して見せた。

 幸先良く先制した札幌だったがその後は甲府のリズムの良いパス回しにあい、追加点は奪えず1−0で試合を折り返す。

 後半に入ると甲府の攻めが目立つ展開となっていく。後半6分には甲府DFエデルリマがドリブルでペナルティーエリア内へ侵入し、最後は左足で強烈なシュート。これは枠を外れたが札幌にとってはヒヤっとした瞬間だった。

 札幌のしのぐ場面が続くと後半27分ついにゴールをこじ開けられる。ペナルティーエリア右サイドにウイルソンが流れ、そこへ縦パスが入る。ウイルソンは対応したDFをかわしクロスを供給。これがそのまま流れ大外にいた阿部にボールが渡ると、阿部はトラップから強烈なシュート。得意の左足から放たれたボールは札幌GKクのニアサイドをあっという間にすり抜け1−1。試合は振出しに戻る。その後、両チーム共に交代カードを切るもスコアはそのまま動かずタイムアップ。まさに残留争いのライバル対決となるゲームは痛み分けという形で終了した。

 この結果により札幌は勝ち点を20とし、順位は変わらず15位となっている。また降格圏内直接対決となった大宮と新潟の試合は大宮が勝利したため札幌は勝ち点1差まで詰め寄られている。

 札幌にとっては早い時間帯に先制できただけに、昨年のような粘り強いウノゼロといきたかったが、今季は強豪ぞろいのJ1リーグとあってか簡単に勝ち点3には至らない。だが結果を出したジェイ、フル出場のチャナティップと夏の補強がチームの底上げにつながっているのは間違いない。ここから勝負の終盤に向け期待も大きい。

 次節札幌は8月19日にアウエーの等々力陸上競技場で4位の川崎フロンターレ(勝ち点42)と対戦する。

 (写真はいずれも8月13日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半10分、先制点を決めた札幌FWジェイ(48番)がセンターライン付近まで戻り、ゴール裏サポーターに向かって吠える。右端拍手するヘイス、中央MF菅(38番)


 上写真/前半23分、札幌FWヘイス(左端)のシュートは甲府DF島川(2番)にブロックされる。中央はMF兵働(15番)


 上写真/前半35分、札幌MF荒野(27番)は甲府FWウイルソン(9番)と競り合いながらMFマセード(23番)にパスを出すが、右足を踏まれファールをもらう


 上写真/後半開始前、円陣を作って気合を入れる札幌の選手たち。前線のトライアングルを形成する先制点を決めたジェイとヘイス(11番)が手を合わせる、間のMFチャナティップ(18番)の背丈はジェイの肩にも届かない


 上写真/後半3分、札幌FWジェイ(48番)の追加点を狙ったシュートはわずかに右にそれ悔しがり、「スマン、スマン!」といった表情


 上写真/後半27分、甲府はFWウイルソンが右サイドを破り、途中出場のMF阿部が同点弾を決め、FWドゥドゥ(10番)、DF新里(5番)がこぶしを作って喜ぶ。札幌DF河合(4番)はぼう然


 上写真/後半35分、後半初めから途中出場した札幌MF宮澤(10番)が前線にドリブルで上がる。その右FW金園(22番)、右端MF菅(38番)、左端は甲府FWドゥドゥ(10番)


 上写真/前半に先制しながら後半に甲府に追いつかれて引き分けとなりガックリの札幌の選手たち。左からMFチャナティップ(18番)、途中出場したFW内村(13番)、ひざに手をやるDF福森、ピッチに手をつくGKク・ソンユン、MF荒野(27番)、菅(38番)


 上写真/後半31分、懸命に選手を鼓舞する甲府の吉田達磨監督(左)と札幌の四方田修平監督

※北海道コンサドーレ札幌の四方田修平監督のコメントは、本サイト左にある「コンサドーレ公式ホームページ」バナーから、「エンタメ」ページの「試合レポート」でご覧いただけます。

■ヴァンフォーレ甲府の吉田達磨監督のコメント
 「順位が1つ違って得失点差しか違いがなくて、残留に向けて3ポイントを取ってライバルを引き離すことができる意味のあるゲームでした。まず、北海道の札幌ドームには私は初めて来ましたが、この雰囲気と熱気とサッカーを盛り上げていく環境の中でサッカーができて、われわれのサポーターが300人弱来ていただいて声が響く中で試合ができました。勝点3を取りたかったですが、先に失点してしまった。注意していた形の失点は痛いが、引き分けまで持ってこられた。追い付いた勝点1を大事にしないといけないし、次に向けてプレーできるようになっている感触を忘れずに次に行ければ、この勝点1を無駄にしないで次に行けると思います」

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影