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天皇杯コンサドーレ2回戦で散る

17・06・23
― ジャイキリは若さのいわきFC ―

 Giant Killingが目の前で起きた。北海道コンサドーレ札幌が福島のアマチュア軍団に120分戦って2−5で敗れた。

 第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会は6月21日午後7時から札幌市厚別公園競技場で2回戦が行われ、J1のコンサドーレは、初出場の福島県代表・いわきFCと対戦した。大雨注意報の出たナイトゲームは、1千674人の少数の観衆で120分に及ぶ延長戦を行い2−5の大差で、初出場の若さあふれるプレーに押し切られた。

 この日からJ1チームが参加して32試合が行われたが札幌はじめJ1のベガルタ仙台(2−3筑波大)、FC東京(1−1PK4−5長野)、ヴァンフォーレ甲府(0−1八戸)の4チームが姿を消した。また、注目の岡田武史氏(JFA副会長、元日本代表監督、元札幌監督)の運営するFC今治はファジアーノ岡山に0−0の120分を戦いPK戦の末ファジアーノ岡山に破れた。

― 札幌は延長で力尽きる ―

 札幌の試合は、後半に均衡が破れ31分に相手MF金大生のシュートをGK金山隼樹がはじき、それがDFに当たりオウンゴール。終了間際の後半45分に札幌もFWヘイスがヘディングシュートを決めた。この後、追加タイム4分の間に、いわきの金、コンサドのヘイスも負けじと加点し2−2。

 15分ハーフの延長は、平均年齢22歳のいわきの動きが勝った。8分に札幌MF菅大輝のハンドでエースナンバーの平岡将豪がPKを決め、25分にFW菊池将太、30分にFW小野瀬恵亮が得点、交代出場の2人が結果を出した。

 エース小野伸二がスタートからトップ下に入り、美技を披露したが後半に札幌は3トップにしたため小野は、FW金園英学と交代した。札幌は平均年齢27歳と、Jリーグ、ルヴァン杯に加え天皇杯と3大会が集中したため、選手起用に苦労していた。特にMF田中雄大、FW上原慎也、石井謙伍、菅大輝、福森晃斗、永坂勇人はきつい出番となったようだ。

 (写真はいずれも6月21日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/前半35分、札幌FW上原(中央左)といわきFW高柳(11番)がジャンプして競り合う、右端いわきGK坂田、左端札幌DF福森(24番)


 上写真/後半31分、いわきMF金大生(中央)が札幌ボールをインターセプトしてシュート。札幌GK金山(左)がクリアするがそのボールがDF田中(右)にあたり、そのままゴールに吸い込まれオウンゴールとなり、いわきが先制する


 上写真/後半31分、いわきが札幌のオウンゴールで先制、シュートしたMF金大生(右から2人目の15番)を囲んで喜ぶ選手たち、左からDF新田(14番)、FW小野瀬、右端MF板倉(5番)


 上写真/後半45分、札幌は右からFW上原があげたクロスをFWヘイス(中央)がヘッドで押し込み同点とする。左いわきのMF金大生(15番)


 上写真/後半45分、同点弾を決めた札幌FWヘイス(11番)がMF菅と抱き合って喜ぶ


 上写真/延長前半8分、いわきFW平岡(10番)がPKを決めて3度目の勝越しとなる。札幌GK金山、左いわきFW小野瀬(19番)


 上写真/雨中の熱戦は2−5で終了、両手を上げて喜ぶいわきのMF板倉(5番)らに対し、ガックリの札幌DF進藤(右)、福森(左から3人目)、菊地(15番)


 上写真/激しい雨の中、いわきFCに2−5と完敗、疲れ切った表情の札幌の選手たち、左からGK金山(1番)、FW内村(13番)、DF菊地(15番)、FWヘイス(11番)、DF進藤(35番)、その後方にFW金園、顔をユニホームでぬぐうFW上原、MF菅、前(16番)、DF福森(24番)、頭に手をやるMF田中(3番)


 上:左側写真/後半追加タイム1分、サイドラインを割って自分の所に飛んできたボールを、スローインする選手にパスする札幌の四方田修平監督
 上・右側写真/後半追加タイム4分、金のゴールに大喜びしたいわきFCの田村雄三監督だが、すぐ気を取り直して選手にピッチに戻るよう指示

■四方田修平監督のコメント
 チャンスがあった中で決められなかった。先取点を取れないまま、失点して、後手を踏みました。その中で二度追い付くというところは気持ちを見せてくれたのですが、延長ではこぼれ球を拾えず、攻めてもカウンターを受けるという展開になってしまいました。この結果を重く受け止め、次に進んでいかなければいけないと思います。

■田村雄三監督のコメント
 悪天候の中でしたが、前半あまり思い切ったプレーが出来なかったことをハーフタイムに伝え、結果的に、こちらの選手は延長になっても足が止まらず、前に前に行けたと思います。延長戦に入った時は、仕事の中で一番つらいピック作業のことを思い出せと言いました。そんな仕事をやっているお前たちならできるはず、と送り出しました。選手が逞しかったと思います。

 いわきFCは、2012年設立(2013年法人化)、福島県3部からスタート、今年1部リーグに昇格した。結成当時はスカウトとコーチ兼任で選手集めをした現いわきFCの田村雄三監督は「引いて守るくらいなら、突進して失点するほうがまし。こんな選手を集めた」と言う熱血漢。今年の天皇杯1回戦で北海道代表のノルブリッツ北海道から8得点を挙げた気丈な男だ。チームを率いる運営会社「いわきスポーツクラブ」の代表は、「元(株)湘南ベルマーレ」の代表、大倉智取締役CEO。田村監督は、群馬県渋川市出身。2005−10年までベルマーレで活躍した。その後、湘南のコーチなどを歴任、15年からいわきFCの強化・スカウト部長。選手たちは、全て同じ会社(物流センター)で働いている。

(川淵三郎様。古川電工のような、仕事をしながら学ぶ―と言うノンプロなチームが出来そうです。職場とサッカーが連立、理想のような気がします)

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影