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コンサドーレ若手いきいき

16・08・30
天皇杯始まる 岩教大は大敗

 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は8月27、28日、全国36か所で開幕戦を行った。北海道からはJ2の北海道コンサドーレ札幌と北海道教育大岩見沢校(岩教大・都道府県代表)が出場した。札幌厚別運動公園競技場で行われた、コンサドーレと筑波大(茨城県代表)は、3−0でコンサドが勝ち上がったが、岩教大は千葉のフクアリでJ2のジェフユナイテッド千葉と戦い0−5と、初戦で敗退した。勝ち上がったコンサドは9月3日午後1時から、同会場でJ2のファジアーノ岡山と対戦する。

 コンサドの試合は、恐る恐るはじまった。四方田修平監督が筑波のコーチを務めたこともあり、また筑波大は2年前に関東大学リーグの2部に転落、今季再び1部に復帰した。小井土正亮監督は4年生メンバーを入れない「2年でトップチームを目指す」を目標に春から2−3年生中心のチームをつくりあげた。同じようなタイプのリーダーに見える。ゲームの探り合いがミスの多い、がつがつしたせめぎ合いになった。

 コンサドは2日前にリーグ保留試合の第12節のロアッソ熊本戦をホームで行い、中1日のゲームに思い切った陣容を組んだ。GK阿波加俊太、DF内山裕貴、永坂勇人、MF中原彰吾、神田夢実、FW菅大輝と、お馴染みの櫛引一紀、イルファン、前寛之、石井謙伍、上原慎也のスタメン。平均年齢23.2歳。しかし、交代には河合竜二、堀米悠斗、小野伸二、内村圭宏を入れ「負けられない」(伸二)準備。

 前半の仕掛け合いは「筑波優位」。網のほころびをつなぎ合わせながらコンサドは37分神田が約30メートルのロングシュートを放つ。相手GK阿部航斗がDF陣を押し上げる気合を入れているところを神田が見逃さなかった。滝登りをしたサケのようなオーラを感じた。GKはまさにお手上げだった。微風だがコンサド側が追い風だった。観客の筑波大OBらは(GKの)「出過ぎ」を口にしていた。

 後半は11分にイルファンのセンタリングを上原がヘディングで見事に決めた。さらに32分、コーナーキックから中原がヘディングで叩き込んだ。昨季FWで出場機会があったが、もう一歩、決め切れなかった。この公式戦初ゴールで、弾みをつけてもらいたいものだ。

 後半MF堀米を投入、終盤でMF小野やDF河合を出場させるシーンにゴール裏やメインスタンドを埋めた2,436人のサポーターは満足げだった。

 岩教大と千葉との戦いは、前半は0−1と最少失点と健闘したが越山賢一監督は「持っている力を全部出し切ろう。頑張ればいろんなステージがまた待っている。これを合言葉に試合に臨みました」と3年ぶり3度目の試合を振り返っていた。

 (試合の写真はいずれも8月27日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)


 上写真/前半31分、筑波大MF西澤のFKを壁をつくって守る北海道コンサドーレ札幌の選手たち。左からMF中原(32番)、DF永坂、FW上原(14番)、DF内山(37番)、MF前寛(16番)、GK阿波加(21番)。最後はGK阿波加が飛びついてクリアーした


 上写真/前半37分、札幌MF神田(28番)がDF永坂のパスを受け、中央をドリブルで駆け上がる。直後に右足でちょこっとボールをずらし、豪快に右足を振り抜いて素晴らしいロングシュートを決めた


 上写真/前半37分、札幌MF神田(28番)が先制のロングシュートを決め、喜んでベンチ方向に走り出す


 上写真/後半11分、右サイドを駆け上がった札幌MFイルファン(22番)が、FW上原のゴールをアシストする絶妙のクロスを上げる。筑波大GK阿部(30番)、右はDF山川(24番)


 上写真/後半11分、札幌FW上原(14番)がMFイルファンの右クロスに頭で合わせて貴重な追加点を上げこの笑顔。筑波大DF会津(14番)、GK阿部(30番)はガックリ


 上写真/後半32分、札幌は左CKからMF中原(32番)が、試合を決定づける3点目をうばう。中央奥DF永坂(29番)


 上写真/後半32分、札幌MF中原(右から2人目)はダメ押しの3点目を決めたが、札幌での初ゴールとあって照れ笑い。先輩のMF石井がアシストしたMF神田(28番)を、DF櫛引(右端)が中原をそれぞれ祝福


 上写真/若手を先発させた札幌だったが、途中出場のMF小野(左)と河合が試合を締めた。試合終了と同時に、2人がホッとした表情を見せた

■北海道コンサドーレ札幌の四方田修平監督のコメント
 「必ず勝たねばいけない。そこが最大の目標ととらえていたので、経験の少ない選手が多く出た中で、それを果たせて、まずは良かったと思います。プロとして厳しさを持って試合に入ってくれたと思うのですが、甘さもある部分もあって、隙を与えてしまったりで、改善していく必要があると思います。そうした経験ができたという意味でも今日は意義があったと思います」。

■筑波大の小井土正亮監督のコメント
 「試合内容については、球際だとか、個々の技術などが我々を上回っていました。それが、そのままスコアの差に出ていました。負けて当たり前の結果だと思います。
 北海道という地で札幌と対戦出来て、大学のリーグ戦では味わえないような雰囲気を味わわせていただき、感謝しています」。

(注=小井土監督(38)は岐阜各務原高から筑波大卒。2001年水戸ホーリーホック入団。DF選手として6試合に出場した。その後、コーチィングを学び柏レイソル、テクニカルコーチ、2005年清水エスパルス・アシスタントコーチ、2013年ガンバ大阪同。2015年から筑波大監督、見事サルベージに成功した)

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影