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J2第27節(8月7日)、劇的都倉弾で難敵清水に競り勝つ

16・08・11
 8月7日、ホームの札幌ドームで行われた首位北海道コンサドーレ札幌対、5位清水エスパルスのJ2第27節。互いに実力のある上位対決は、札幌が前半にFW内村とMFヘイスがゴールをあげ2点リードで折り返すも、後半清水の猛攻に合い終盤に同点とされる。しかし、このまま終了かと思われたアディショナルタイムにFW都倉のゴールで3−2と勝利。札幌が首位をキープし続ける力を最後に見せつけた。

 現在9戦負けなしで首位を走る札幌。堅守速攻を武器にしている札幌だが直近2試合では7得点と攻撃の厚みも増している。対する清水は直近5試合では3勝1分け1敗(札幌は3勝2分け)であるが得点数は12と高い攻撃力を発揮している。今節はこのデータが示す通り、点を取り合う激しい試合展開となった。

 前回の対戦(3月20日、第4節)ではホームの清水が圧倒的にボールを支配しながらも、札幌がセットプレーから2得点をあげ勝利していた。清水にとっては悔いの残る試合だっただけにリベンジを狙っていた。札幌はここで難敵清水に連勝すれば、さらに盤石な形で後半戦を戦うことができる。

 互いの思惑が交錯する中、試合は前半5分にいきなり動く。DF福森が清水のパス回しを読み、インターセプトと前線へのパスを両方兼ね備える絶妙なワンタッチスルーパスを見せる。これに素早く反応したのは内村。裏に抜け出した内村は、飛び出してきたキーパーとの距離を見極め、伸ばした足先でうまく流し込み先制点をあげる。

 早い段階で失点した清水は前半27分にビックチャンスを迎える。MF石毛が右サイドからアーリークロスを入れ、走り込んできたFW鄭が頭で合わすも枠は捉えられず。すると前半28分に、札幌が思わぬ形で追加点をあげることに成功する。内村が清水GK杉山に猛然とプレスをかけると、あわてた杉山は中途半端なクリアー。このボールが札幌MFヘイスの下へ渡り、ヘイスはペナルティーエリア手前からアウトサイドで無人のゴールへ流し込むようにゴールに沈めた。相手のミスによる簡単に思えるシーンだが、内村の追い込みと、ヘイスの読み、的確な止める、蹴るという技術があってこその追加点だった。

 2点リードで入った後半、札幌がここまでリーグ最少失点ということもあり、余裕を持って展開するかに思えた。しかし、追いかける清水は最多得点という攻撃力と意地があった。ハーフタイムで切り替えた清水は、開始早々の後半3分から猛攻を仕掛ける。左からのクロスを札幌DFがクリアーするも、ペナルティーエリア付近で清水MF白崎がキープしMF河井へ落とす。河井はダイレクトシュートを放つもクロスバーの上。その1分後には、スルーパスに反応したMF石毛がペナルティーエリア内の右から強烈なシュート。これは札幌GK金山がなんとかコーナへ逃げた。札幌の耐える時間が多くなり、守りながらもカウンターから清水の隙をうかがうが勝負を決める3点目には至らない。

 すると後半31分、清水に追撃のゴールを許す。清水が細かいパスワークから、河井がゴール前へクロス。これを鄭が頭で合わせ強烈なヘディングシュート。一度はクロスバーにはじかれるも、途中出場のFW北川がこぼれ球にいち早く反応し1点差。勢いに乗った清水は後半39分、ついに同点とする。途中出場MF村田の右からのクロスに合わせたのがまたも鄭。ペナルティーエリア内で対空時間の長いジャンプからの強烈なヘディングシュートがGK金山の手をはじきゴール。終盤で2−2に追いつく。

 2点リードから追いつかれた札幌は、意気消沈し同点で終わるかと思われた後半終了間際。ここから今季の札幌の強さを見せつけることになる。アディショナルタイムの4分、札幌が自陣中央でフリーキックを獲得すると福森がディフェンスラインの裏へカーブのかかったロングパスを送る。抜け出した都倉は、前へ出てきた清水GKとDFの連係がかみ合わないところを見逃さずGKの鼻先で触るループシュートで決勝ゴール。終盤で3−2と突き放す、劇的な展開で札幌が上位対決を制した。

 4連勝を決めた札幌は、18勝5分け3敗の勝ち点59、連続無敗試合も10へと伸ばし、札幌ドームに集まった1万7,576人ものサポーターを沸かせた。

 次節札幌は8月11日にアウエーのニッパツ三ツ沢球技場で11位の横浜FC(勝ち点34)と対戦する。

 (写真はいずれも8月7日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 上写真/前半5分、DF福森が相手のパスを読みカットと同時にワンタッチでスルーパスを通す。これに走りこんだFW内村(13番)が右足を伸ばしながらの巧みなシュートを決め試合の流れをつくり出す。左、清水DF角田(45番)


 上写真/前半5分、先制弾を決めたFW内村(13番)が都倉(9番)、MFヘイスとともに笑顔でベンチ方向へ走り出す。結果的にこの日3点を決めた3人のそろい踏みとなった


 上写真/前半28分、追加点をあげたMFヘイス(11番)がひざをついて祈る。FW内村(13番)、MFマセード、FW都倉(右端)が囲むように祝福


 上写真/前半45分、右CKからの清水の猛攻をFW都倉(中央)がクリアー。守りのセットプレーでも頼れる存在だ


 上写真/後半30分、清水FW鄭大世(9番)のシュートがクロスバーに当たり、跳ね返ってきたこぼれ球を、途中出場したFW北川(23番)が決めて1点を返す。中央はDF松原(25番)


 上写真/後半39分、清水FW鄭大世(左端9番)がMF村田のクロスにヘッドで合わせて同点ゴールを決める。この日の鄭は危険な存在であり続けた


 上写真/後半追加タイム4分、決勝ゴールを決めた札幌FW都倉はピッチの外に倒れこむ。その胸の上に顔をつけて祝福するジュリーニョ、石井が雄叫びを上げる。右端荒野(27番)


 上写真/3−2で清水を下し、この日のMVP賞を獲得したFW都倉(右から3人目)ら札幌の選手たちが、後押ししてくれた1万7,000人を超える観客にあいさつ


 上写真/後半追加タイム1分、2−2の展開で懸命に指示を出す札幌四方田修平監督(右)と清水の小林伸二監督

※北海道コンサドーレ札幌の四方田修平監督のコメントは、本サイト左にある「コンサドーレ公式ホームページ」バナーから、「エンタメ」ページの「試合レポート」でご覧いただけます。

■清水エスパルスの小林伸二監督のコメント
 「相手の布陣が、前に3人いる形。カウンターに気を付けて、攻撃時のリスク管理は、試合前に選手たちに話しをしていたのですが、なかなか立ち上がりはそこがうまく行きませんでした。2失点目については(GKがミスキック、ヘイスに決められる)、セオリーにないところにキックしてしまい、痛かったところです。
 ただし、後半はうまく戦ったと思いますし、ボールをうまく回せていました。同点になってからは、勝ち点1を取るという考えもあると思うのですが、われわれはそういうスタイルのチームではありません。
 最後はちょっとしたところですが、ためらった部分があって、そこの連係がもったいなかったと思います。2点を取ったところまでは良かったのですが、芝もなかなか難しかったですし、そうゆうところも含めて、足りない部分があったと思います」。

(注=小林伸二監督(55)は、今季からエスパルスを率いた。監督歴は2001年にJ2大分トリニータを皮切りにセレッソ大阪、モンテディオ山形、徳島ヴォルティスの4チームで14年に渡って采配したベテラン。今季は昇格請負人として「1年でJ1昇格」を目指している)

編集部 写真はいずれも石井一弘撮影