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プロカメラマン“石井一弘の目”「2015年コンサド・ダイジェスト」

16・01・11
 コンサドーレ札幌は、2015年のシーズンを10位で終えた。もう少し上位に行けると思っていただけに残念だったが、私が撮って印象に残った写真を見ながら昨季を振り返ってみたい。

 開幕の栃木戦をアウエーで2−1で破った。しかも、鳴り物入りで岐阜から移籍したFWナザリト(50番)の2ゴールだった(写真1)。以後ナザリトは第6節の東京V戦まで6戦で5点、第2節長崎戦での空振りもご愛嬌か?と思わせる(写真2)大活躍で過度の期待が集まった。だが、その後は1点も取れなかった。それを象徴するのが第34節、群馬戦でのPK失敗だったろう(写真5)。リーグ終盤には起用され、それなりの活躍は見せたものの得点は取れず期待は見事に裏切られ、戦力外となってしまった。

 逆もあった。川崎フロンターレからMF稲本と一緒に移籍してきたDF福森(24番)である。4月号の「カメラマンの目、ごめんね!福森君」でも書いたが、当初、稲本と一緒に来た選手ぐらいにしか思わなかった。ところが、シーズンを終えてみるとチームの年間出場時間ランキング1位である。試合数は2位のMF宮澤と一緒で39試合だが、3487分で宮澤より30分多い。これは“ビックリ・ポン!”である。福森を象徴するのが第3節、福岡戦でのセンターサークル付近からのゴールだろう(写真3)。

 出場時間で福森に及ばなかったもののMF宮澤(10番)の成長は著しかった。なんとなく“大人”になったような感じだ。最終戦、栃木戦でゴールを決め(写真7)札幌ドームMVP賞を獲得した。

 2年連続でチーム得点王となったFW都倉(9番)は流石である(写真4)。得点もさることながら、献身的な守備で「俺が引っ張るんだ!」という意気込みが素晴らしい。シーズン途中のけががなければ、コンサドーレの順位も少し変わっていたかもしれない。

 MF小野に加えて稲本もチームに加入したが、ともにけがで“そろい踏み”の試合数が少なく残念だった。終盤かなりいいシーンが見られたが、時間切れの感じだった。そんな中、小野がトップ下に入ってからいい展開が多かったように思う。2得点はもちろん物足りないが、第36節、金沢戦での小野の決勝ゴールは会場が“聖地・厚別”とあってゴール裏に走った小野とサポーターが一体となって心地よかった(写真6)。

 今季も外国人助っ人が決まったようだ。昨季、力をつけてきた若手やベテラン勢と融合しJ1を目指して切磋琢磨してほしい。


 上写真/写真1、2015年3月8日、開幕の栃木SC戦。前半12分、コンサドーレ札幌の新戦力FWナザリト(50番)が先制ゴールを決めて喜ぶ


 上写真/写真2、3月15日、第2節の長崎戦。後半追加タイム4分、札幌は右からのクロスにFW都倉が落とし、ナザリト(50番)がゴール前に迫るも、長崎のDF刀根(21番)、FW高橋(39番)の厳しい守りに豪快な“空振り”、唯一とも言える同点のチャンスを逃して万事休す


 上写真/写真3、3月21日、第3節の福岡戦。札幌MF福森(24番)が約45メートル弾を放ち、ボールがゴールに入ったのを見届けてガッツポーズ。これが決勝点となり、福森の移籍後初ゴールとなった


 上写真/写真4、4月19日、第8節の水戸戦。前半41分、札幌FW都倉(9番)のシュートを水戸GK本間が懸命にかき出し、都倉が改めてシュート(実際は最初のシュートで決まっていた)


 上写真/写真5、9月27日、第34節の群馬戦。試合が終了した瞬間、札幌FWナザリトは後半38分にPKを外したその時と同様に額をピッチにつけて嘆いた。一瞬ナザリトの周辺に空白が漂う


 上写真/写真6、10月10日、第36節の金沢戦。後半32分、コンサドーレ札幌MF小野(44番)が勝ち越し点をあげ、ゴール裏サポーターのもとへ走りガッツポーズ。


 上写真/写真7、11月23日、最終節の栃木戦。前半42分、コンサドーレ札幌はDF福森の右CKから、MF宮澤(10番)が栃木DF山形(17番)をかわしながらヘディングシュートを決め2点目をあげた

石井一弘