―　天皇杯全日本サッカー選手権　―
前橋サテライトを５−０で一蹴

　恒例の天皇杯サッカーは２回戦からＪリーグ加盟のプロチームが登場、コンサドーレ札幌は、１回戦を勝ち上がった群馬代表のｔｏｎａｎ前橋サテライトと対戦５−０の大差で勝ち上がった。

　第９４回天皇杯全日本サッカー選手権大会の２回戦は８月６日午後７時から、札幌厚別運動公園競技場で、Ｊ２のコンサドーレ札幌と１回戦で北海道代表のクラブフィールズ・ノルブリッツ北海道を破った群馬県代表のｔｏｎａｎ前橋サテライトとの対戦を行った。

　前半は無風、気温２３度と４基の照明に照らされたピッチは最高。だが後半は全道的に大雨の警報が出た天候になり、スリッピーなコンディション。コンサドーレは、前田俊介をリーダーにＧＫ杉山哲がキャプテン。日ごろのリーグとは一味違うスタメンでゲームに臨んだ。トップには１９０センチの丁成勲（チョン　ソンフン）、前田の両脇に工藤光輝と菊岡拓朗。ボランチは前貴之と中原彰吾。ＤＦは、初登場のステファノ（オランダ）を右に、内山裕貴と松本怜大がCＢ、左には上原拓郎が入った。立ち上がりの３分に中央で前が左ライン際の菊岡に大きく開いたパス、ゴール前に走り込んだ前田にセンタリング、相手ＤＦ２人とＧＫの間に飛び込んだ前田が、ヘディングを決めて先制した。３８分にも拓郎―前田が絡んだパスで工藤が決めてリードした。

　ｔｏｎａｎ前橋は、ジョセフ（ナイジェリア）とキャプテンの星野佑介を２トップで得点を狙うが、スリッピーなピッチと、ナイトゲームの経験不足などが重なり、得点機を逸していた。ＭＦのエマニュエル（ナイジェリア）は、コンサドのテスト生として、練習に参加したこともあり、渡辺智洋監督は「早い機会に点を取られ、攻撃に人数をかけられなくなった。良い経験をしました」と話していた。同チームは関東の２部リーグに加盟、社会人、ユース、シニアなどや女子のチームもあり８カ所のスクールを持っている。初出場ながら今のＪ３の下ぐらいの力のある選手が見受けられた。

　速成コンサドだが、初スタメンのＦＷチョンに注目した。相手のＤＦも１８０センチ以上の高さがある選手もおり、ターゲットになっての競り合いは五分。落としたボールの処理と、パスが思うようにいかなかった。後半に入り、疲労が見え始め、そろそろ「交代」と思った６６分、中原からの浮き球をシュート、これを決めて元気が出た。さらに２分後、ＧＫのこぼれ球を押し込んで加点した。ハットトリックを狙える場面だったが、ベンチは、７２分に交代させた。さらに８１分にＧＫ杉山キャプテンに代えて阿波加俊太を入れた。財前恵一監督は「雨の中での大変な試合だったが、みんなよくやってくれた」と出来栄えを称賛、選手たちを取り囲む報道陣に思いっきりアピールする選手たちを見守っていた。

　札幌の３回戦は８月２０日午後７時から、Ｊ１清水エスパルスと日本平で対戦する。

　（写真はいずれも８月６日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘）

　上写真／過密日程のためか、札幌はＪ２前節から先発メンバー１１人を全員代えた。前列左からＤＦ松本(２７番)、ＭＦ前貴（６番）、前田（１１番）、工藤（３４番）、ステファノ(４１番)、菊岡(２８番)、後列左からＧＫ杉山(３０番)、ＤＦ上原拓、ＭＦ中原、ＤＦ内山、ＦＷチョン　ソンフン

　上写真／前半３分、札幌ＭＦ前貴のパスを受けた菊岡（２８番）が中央に走りこむ前田に絶妙のクロスを入れ、先制点をアシスト

　上写真／前半１４分、前橋のＭＦ工藤（６番）とマッチアップする札幌ＭＦ工藤（３４番）、左奥は札幌ＤＦ内山(３７番)とＭＦ中原（３２番）

　上写真／前半２０分、札幌ＦＷチョン　ソンフン（中央）がＭＦステファノの右からのクロスに、前橋ＤＦ間下（２番）、本間（右）に挟まれながらヘディングシュートを放つが、惜しくもゴール右にはずれる。チョンは後半２１分、２３分とたて続けにゴールを決め札幌の勝利に貢献した

　上写真／前半３８分、追加点を決めた札幌ＭＦ工藤(３４番)を囲み祝福する選手たち。左からＦＷチョン（４０番）、ＭＦステファノ(４１番)、ＤＦ上原拓（３３番）、アシストしたＭＦ前田（１１番）。工藤のゴールは札幌入団後の公式戦初ゴールとなった

　上写真／後半２１分、札幌のＦＷチョン　ソンフン（４０番）が３点目のゴールを決め、アシストしたＭＦ中原(３２番)に駆け寄ってハイタッチして喜ぶ

　上写真／初出場の札幌ＭＦステファノ（４１番）が後半２４分、右サイドを駆け上がりシュートするが、前橋ＤＦ斎藤（中央）、ＧＫ中村(３２番)に阻まれる

　上写真／後半３８分、途中出場した札幌ＤＦ薗田（右から２人目）がＭＦステファノの右からのクロスにヘッドで合わせて公式戦初ゴールを決める。左端ＭＦ中原

　上写真／激しい雨の中、ｔｏｎａｎ前橋サテライトを５−０で破り、ＭＦ前貴（６番）と５点目を決めた途中出場のＤＦ薗田（中央右）がハイタッチして喜ぶ。ほかの選手は左から先制点を決めたＭＦ前田（１１番）、２点目を決めたＭＦ工藤（３４番）、中原(３２番)、菊岡（２８番）、ＤＦ内山(３７番)、途中出場したＧＫ阿波加（２１番）、ＤＦ松本