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HFC新社長に野々村芳和氏が就任

13・04・11
 Jリーグ・コンサドーレ札幌の運営会社、北海道フットボールクラブ(HFC)は3月22日、札幌市内で定期株主総会を開き、任期満了に伴う役員改選を行った。その結果、新社長に顧問の元コンサドーレ札幌キャプテン・野々村芳和氏(40)を選任した。

            上写真/記者会見を行う野々村芳和新社長。
            (写真はいずれも3月22日、撮影・石井一弘)

慶大OBのJリーガー

 野々村社長は1972年5月8日生まれの静岡県出身。清水東高から慶応義塾大学に進み、主にMFとして活躍した。卒業後、J1市原(現・千葉)に入団、その後2000年にコンサドーレに移籍、岡田武史監督の下J2で優勝、J1昇格を果たした。背番号7のMFとして主将を務め、DF名塚善寛(現コーチ)、大森健作、ビジュやFWエメルソン、播戸竜二、高木琢磨(現=?・ファーレン監督)、それに道産子の池内友彦、遠国信也、山瀬功治、深川友貴らと共に活躍、サポーターから熱狂的な応援を受けた。01年に退団し現役を引退、札幌のスカウト兼アドバイザーの傍ら、解説者やサッカー指導者の企業「クラッキ」(事務所は東京)を立ち上げ、社長を兼務していた。

スカパーの顔から

 サッカーをはじめ、スポーツの専門チャンネルを持つ「スカパー!」の専任解説者を務めていた。Jリーグは元より海外のテレビ中継の解説など、サッカー界では多くの人脈を持ち、報道関係にも評判が良い。さらにスポンサーの石屋製菓の「白い恋人」のコマーシャルを演じた時代もあった。何にでもチャレンジがモットーのような人で、新生コンサドーレのベストイレブンを選ぶ「人気投票」も試みてアイデアマンの片りんを見せた。今度は「クラブ力向上委員会」を設け、サポーターや運営について提言してもらう市民を集める。4月20日締め切りと言うから興味のある人はHFCに問い合わせてみては☏011・858・5310。

サッカーが分かるトップ

 コンサドーレ札幌の運営会社は、1996年に設立したが、会社のトップは札幌市の幹部やスポンサー企業の関係者が「当たり障りなく」やってきた。面白いエピソードは「コンサートは6月9日に変更」を、「コンサドーレとコンサート」と間違って―など。やたらコンサートのお知らせが気になった「社長さん」がいた。しかし、サッカーが面白くなって退職後も足を運んでくれた。ほとんどがレベルアップして、卒業してくれたのがうれしい。今度の野々村さんは、世界のサッカーをかじった人と言っても過言ではない。前任の矢萩竹美社長は3千7百余万円の赤字を残して去った。この金銭問題は、野々村さんは得意なのかどうか分らない。「みんなでどうにかしよう」と成せばなる型。社員の中にはサッカー通が多いのは当たり前だが「カラクチ」は叩けないかも。ご苦労さんです。

北海道80年史に新風

 北海道サッカー協会(HFA)が、2009年に80周年記念誌をまとめた。1927年(昭和2年)に大日本蹴球協会北海道支部が設置され、29年(昭和4年)北海道蹴球協会としての活動がはじまった。函館師範と北海道帝国大学が中心だったようだ。この初期から、歴史を振り返るのは紙幅の関係で勘弁してもらおう。しかし、近未来を語る中で、心に残るのは、昭和30年代(1955年)の原崎正理事長(故人)。すでに北海道学芸大学、札幌師範の名称は無くなっていたが、北海道道教育大学札幌校に勤務、サッカーの普及に尽力された先生だ。野々村さんは知る由もないが、本道のサッカーを知るためにはこの辺から始めないと。ここを第二期のサッカー開拓時代とすると、第三期は少年サッカーの全盛時代。そしてプロサッカーの時代と突き進んできた。今、コンサドーレが変わろうとしているように、また「新時代」を迎えている。こんな流れの中に道民は置かれているのだろう。

優勝を経験した強さ

 社長の語録は、留まる暇がない。しかし「勝つこと以外に、もう一つの喜びがある」と何度も繰り返す。2000年のJ2優勝は、岡ちゃんを擁して、31勝5分け4敗の勝ち点94点(うち4延長=勝ち点は2点で8)。得点71、失点22の得失点差49。Jリーグ史にも残る快挙で、得点王にはエメルソンが輝いた。その時の感激は、知るものにしか分らない「もう一つの喜び」は、「この喜びを再び分かち合いたい」。新生コンサドーレは、ユース上がりの若手が多く、経験が少ない。だが、未完の大器と言う言葉があるように、「経験がないからこそ、思い切って挑戦できる」魅力があるという。運営会社も同じ立場からの復興だろう。「一つ一つ乗り越えていく。また、多くのサポーターと喜びを分かち合うために―」を信じて。みんなで見守り、応援していこう。                                   (池田 淳)

(速報)野々村社長の思いが本になる。「職業サッカークラブ社長」(ベースボールマガジン社・1470円)4月13日発売。


 上写真/北海道フットボールクラブの株主総会後、野々村芳和新社長と握手する本紙・池田淳編集長

定期総会の役員変更

代表取締役社長 野々村芳和(新)
 専務取締役   町田 文夫(常勤)
  取締役     石水 勲 (石屋製菓代表取締役会長)
   同      荒木 啓文(札幌商工会議所専務理事)
   同      佐藤 公一(北海道サッカー協会副会長)
   同      菊地 敏郎(札幌丸井三越取締役常務執行役員)
   同      本間 哲平(石屋製菓取締役財務業務部長=新)
   同      本庄 明彦(北海道新聞社経営企画局局次長兼経営本部長=新)
   同      林  将告(札幌青年会議所直前理事長=新)
  監査役    発知 文男(社会福祉法人北海道社会事業協会本部事務局長)
   同      日下能婦子(守成さっぽろ代表取締役)

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影