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J2第5節(3月24日)、数的不利も跳ね返し福岡に1−0で勝利

13・03・25
 3月24日、アウエーのレベルファイブスタジアムに乗り込み、アビスパ福岡と戦ったコンサドーレ札幌。前半にDFチョ ソンジンが負傷交代、後半33分にはDF奈良がイエローカード2枚で退場と不利な展開ながらもMF宮澤のゴールで1−0の完封勝利。3連敗を喫し沈みかけていたが、この勝利で順位も21位から一気に13位に上がった。

 この日の札幌はアクシデントに負けない気持ちの強さがあった。前半17分にチョが負傷し、FW登録の上原が右SBにそのまま入ると、スピードを生かして縦横無尽の活躍。自軍ゴール前で相手の決定的なシュートをブロックしたかと思えば、チャンスとみるや相手ゴール前に侵入。スクランブル出場だったが相手に脅威を与え続けた。

 対する福岡は、エースFW城後を中心に連動したパスワークで札幌を翻弄、押し込む時間帯も多かった。しかし札幌は粘り強い守備から効果的なカウンターで対抗する。前節までは少なかった味方を追い越す縦への動きと、相手の嫌がるスペースへの縦パスが効いていた。

 0−0のせめぎ合いが動いたのは後半28分。左サイドからMF砂川が相手をヒールキックのフェイントでいなした後、大きなクロスをゴール前へ。これに走り込んだ上原が右足インサイドボレーでピタリと合わせるも、福岡GK神山が足に当ててはじき出す。そのフワリと戻ってきたボールを宮澤がこれまた左足インサイドボレーで決勝ゴールを叩き込んだ。

 この一連の流れで注目したいのは、2選手のゴール前でのボレーシュート。ゴール前でのボレーは大振りせずに面積の大きいインサイドで当てるという教科書のようなプレー。今の子どもたちは見ていないかもしれないが、元日本代表監督でもあるジーコ氏がゴール前で得意としていたシュートでもある(もしかしたらJリーグ時代のアクロバチックなシュートのイメージが残っているかもしれないが、ジーコ氏のゴールのほとんどが基本に忠実かつ丁寧なキックばかり)。

 そして、もう1人特筆したいのは、ベテランの砂川。砂川が入ったのは後半27分。あのクロスのわずか1分前である。まさにいぶし銀の活躍――、いや、1プレーで勝負を決める「必殺仕事人」と褒めたたえたい。

 これで札幌は5戦連続の1点差で決着。若手も多く開幕前は大崩れも懸念されたが、大量得点はなくとも大量失点もない。今季の札幌は粘りある戦いが頼もしい。
矢田 からす