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J1第23節(7月30日)、聖地・厚別で名古屋相手に2−2で分ける

22・08・04
 上:上段写真/前列左から、MF菅、ルーカス・フェルナンデス、青木、駒井、FW興梠、MF荒野、後列左から、GK菅野、DF田中、MF深井、DF福森、宮澤。ルーカスと深井がけがから復帰、先発に顔を出した。

 上:下段写真/前半2分、名古屋MFレオ・シルバ(16番)が左サイドの相馬にパスを出す、45番はFW永井。聖地・厚別公園競技場はピッチとスタンドの距離感が良い。


 (写真は7月30日、札幌厚別公園競技場、撮影・石井一弘)



 行けるぞミシャ「ここから」勝負

 「ドロー」は金の卵を生み出す力


 ミハイロ・ペトロビッチ監督の7月最後のゲーム。30日の名古屋・長谷川監督=ベテラン永井の移籍加入に暗雲の中、「重荷を担せた」。

 第23節は、逆転されるも2−2の引き分けに持ち込み、今季の出だしから「6連戦ドローゲーム記録」を思い出させる「引き分けのミシャ」をここでもやって見せた。

 選手に「感謝しなくてはならない」。追いつかれてドローは「悔しさが残る」。しかし、追いついての引き分けは「砂金拾いで金塊が輝いた時」ほどに違う。

 「聖地・厚別」は好天に恵まれ気温29・6度、湿度44パーセント。久々の暑さに観客を誘導する「係りの女性」も日陰で額に汗。そういえば昔の昔、赤黒のチューブ入りの「日焼け止めクリーム」を「参加者」にもらったことがあった。この日に限って「十数年前」だったこの「赤黒のチューブを見つけた」。観客は7千802人。札幌初の「声出し応援」が解禁になった日。西の風は札幌ホームに向かって「強い」を感じさせる。風上に名古屋グランパス。後半の「風の神を狙うのは当たり前」の「聖地」コンディションだった。

 試合は、14時03分、名古屋のキックオフ。トスで宮澤裕樹が「後半の風上を狙った」に違いない。この日の順位表は、22ゲームを消化。札幌が勝ち点24で5勝9分け8敗。得点19、失点37の得失点差−18で14位。名古屋は21試合で6勝7分け8敗で、16得点22失点で12位。

 審判団は、2004年に1級審判になり、18年のキャリアを持つ今村義朗主審(45、愛知県出身)で、昨年のPK判定は9で多いほう。副審は西橋勲、船橋昭次。第4の審判は林可人。VAR担当者は高山啓義(主審級)、AVARに川崎秋仁。この日は札幌の宮澤、中島、菅、ミラン・トゥチッチ、名古屋の5人に「イエローカード」を出し、説得・納得のあるベテラン主審の「判定」を下していた。

 札幌のスタメンはGK菅野孝憲、DF田中駿汰、宮澤裕樹、福森晃斗、WB右ルーカス・フェルナンデス、左WB菅大輝、MF荒野拓馬、深井一希。DFの中央に宮澤キャプテン、その前に荒野−深井でコンサドのベテランを配置した。FWはトップに興梠慎三、シャドーに青木亮太と駒井善成。ミシャマジックを再現しようと元浦和レッズ組、コンサド組の「活躍はいかに」。控えのトゥチッチ、中島大嘉、中村桐耶とタイのスパチョーク、田中宏武、ドウグラス・オリヴェイラ、GK大谷幸輝が名をそろえていたが、5人代えられるところを3人だけ。ミシャと2ないし3人のコーチが後半に入り「検討の場」を持っているが、「いつも満足のいく交代が出来ているか」。疑問・疑問さらに疑問である。

 名古屋は、直前移動のベテランFW永井謙佑(元FC東京)を先発させてきた。長谷川健太監督にしてみれば、2018年からFC東京の監督時代からの「子弟」。誰も文句も付け所の無い「ふところ」だった

 スタメンはGKランゲラック、DF丸山祐市、藤井陽也、中谷進之介、MF森下龍矢、相馬勇紀、稲垣祥、レオ・シルバ、仙頭啓矢、FWマテウス・カストロ、永井で、サブに内田宅哉、宮原和也、永木亮太、チアゴ、レオナルドらの5人が、適材適所で交代している。

 コンサドーレも「メンバー交代が負担なら、サブに入った選手の希望と期待を裏切らない」―用意と責任を「暴露してほしい」。岡田武史監督に育てられた四方田修平・横浜FC監督が「うらやましい」。

 ゲームは7月30日14時03分、名古屋がキックオフ。フォローの風に乗せてGKランゲラックのキックが伸びる。感心したようにプレーヤーも乗せられる。札幌は「ご存じ。じっくり整備した(水を含ませた芝)ピッチはスリッピー」。勝手知ったるベンチワークは「下から攻めろ」。

 名古屋はGKがパントキック気味の「ハイ空間を利用」。攻めているようだが「一本調子」(25分過ぎに飲水タイム)。

 名古屋FW世界のナガイが「追いつかない」。なんだかんだ30分。札幌は31分に中央の仲良し、荒野と深井のコンビが「待ってました」のパスワーク。荒野が相手ペナルティーエリアの中央右寄り外側からゴール前に走り込んだ深井にパス。深井のシュートがGK左側に決まり先制。この調子だと「いける」。1−0で前半終了。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「ボールをもっと動かしていこう」、「守備の時の連動を意識しよう」、「暑いが集中力を切らさないこと」、「守りに入らず、もう一点取りにいこう」

■名古屋グランパスの長谷川健太監督のコメント
 「切り替えの意識を高く持とう」、「まず1点をみんなで返そう」


 後半はやや風が治まった。名古屋の「札幌を見ろよ」。地を這うような「ピッチの使い方」だ。これはサッカーの独特な「屋外戦法」。インドアのドームの無風状態とは異なる戦い。後半に入り名古屋は「一発スルーパス」を狙うようになった。

 札幌は開始早々、興梠OUTトゥチッチIN。どうも選手交代に手間取っているようだ。さらに福森OUT中村IN。深井OUT中島IN。この後、名古屋がMFの相馬、レオ・シルバの的確な、ショート&ロングパス。中盤でパス回し「ここぞというときにキラーパス」。この「リズムの変化」を見破れなかった。22分にFW永井とレオ・シルバのやり取り。エリア内の「間合い」。シュートのタイミングをずらしたレオ・シルバのステップがGK菅野を「金縛り」にしたようだった。同点に追いつかれ1−1。

 さらに36分。ハーフタイムで仙頭に代わっていた内田宅が逆転のお膳立て。左サイド深くから低いクロスを入れ、反応したFWマテウス・カルロスが逆転の2点目を叩き込んだ。まるで「聖地」を見失ったような「厚別の観衆」の顔。アディショナルタイムは6分。

 後半47分。札幌がCKを得る。キッカーは菅。左からのキックはインサイドにカーブする。エリア内には荒野・中村・青木の姿。菅のキックを一番外側の背番号24の中村がゴール前の荒野へ。荒野がゴール右側にシュート、枠から外れたところを背番号11青木が右足で流し込んだ。14年、名古屋入団20年大宮を経て21年札幌へ(26歳独身)。

 一度逆転されるも、試合終了間際に追いつく劇的弾が決まり2−2で試合終了。「ああ愉快・ああゆかい」。

 シュート数は、札6−14名、CK札4−6名、FK札11−26名 、PKなし。
                                 
 2022明治安田生命J1リーグ第24節湘南ベルマーレ対北海道コンサドーレ札幌戦は、8月7日午後7時から、神奈川県平塚市のレモンガススタジアム平塚で行われる。


 上写真/前半13分、札幌FW興梠(23番)が名古屋のキャプテンMF稲垣の厳しいマークを受けながらもボールをキープ、右端MF深井(8番)、左奥DF福森(5番)、左手前名古屋DF中谷(4番)


 上:上段写真/前半31分、札幌MF深井が荒野のスルーパスに反応して、名古屋DF藤井(手前)のスライディングをかわして先制ゴールを決める、深井の右、名古屋MFレオ・シルバ。これまで札幌は3試合無得点、4試合振りの得点となった。

 上:下段写真/前半31分、札幌MF深井(8番)の先制ゴールに、アシストした荒野(27番)が抱きしめて祝福、中央では駒井が吠える、FW興梠(23番)も走り寄る。左端悔しがる名古屋DF藤井、右はMFレオ・シルバ。

■北海道コンサドーレ札幌の深井一希選手のコメント
 「先制ゴールの場面は、タイミングよくゴール前に入っていくことが出来て、そこで荒野(拓馬)選手から良いパスが来た。相手選手にブロックされずにうまく、相手から遠い位置にボールを置けたことで、得点にもっていくことが出来たと思っています。試合の中でチームとして走る、戦うというところで相手を上回ることが出来ればチャンスは来ると思っていた。そして自分が良い形で上がったときにそのチャンスが来たので、しっかり決めることが出来て良かった。ただし、そのあとに相手にチャンスを作られてしまったので、勝っているときの試合運びなどはもっとしっかりやっていかなければいけない」


 上写真/前半44分、ボールをキープする名古屋FWマテウス・カストロ(10番)をしつこくマークする札幌DF福森、走り寄ったMF青木(11番)がタッチラインへ蹴り出す、左端名古屋MF稲垣。


 上:左側写真/後半6分、札幌MF青木(11番)がGK菅野のロングフィードをドリブルで持ち込みシュートするが、寸前に戻った名古屋DF藤井にクリアされる、ボールはGKがキャッチ

 上:右側写真/日本代表で大活躍して戻ってきた名古屋MF相馬(左)と負傷が癒えて先発に戻ってきた札幌のMFルーカス・フェルナンデスとの対決は何度もあった。後半13分、相馬の突進をファールで止めたルーカス・フェルナンデス


 上:上段写真/後半22分、名古屋MFレオ・シルバ(16番)が、FW永井のパスを受けて同点ゴールを決める、名古屋移籍後の初ゴールとなった、札幌の選手は左からMF菅(4番)、駒井(14番)、途中出場したDF中村(24番)

 上:下段写真/後半22分、名古屋MFレオ・シルバのシュートを札幌GK菅野(中央)が止めきれず同点とされ無念の表情、天を仰ぐMF荒野(27番)と菅(4番)、名古屋MF相馬(11番)がボールを拾い上げに急ぐ


 上:上段写真/後半36分、名古屋FWマテウス・カストロ(右から3人目)が、途中出場したDF内田の左サイドからのマイナスのパスを受け逆転ゴールを決め、ベンチ方向へ走る、FW永井(45番)が満面の笑み、その左の札幌DF中村はぼう然、左端GK菅野

 上:下段写真/後半36分、逆転ゴールを決め笑顔でガッツポーズの名古屋FWマテウス・カストロ(中央)、その左MF稲垣(15番)、右端途中出場したDF宮原(6番)


 上写真/後半40分、札幌MF菅の左サイドからのFKにジャンプしてゴールを狙う途中出場のFW中島(45番)とDF田中(2番)、その右途中出場したFWミラン・トゥチッチ、中島を抱えるようにして防ぐのは途中出場の名古屋DFチアゴ(2番)、その手前DF宮原(6番)、左端JリーグデビューのFWレオナルド(29番)、右端DF中谷(4番)


 上:上段写真/後半追加タイム2分、土壇場で引き分けに持ち込む同点ゴールを決めた札幌MF青木(中央)が「してやったり!」の表情、その左DF宮澤、右FWミラン・トゥチッチ。名古屋GKランゲラックがひざをついたまま悔しそう、DF中谷(4番)、MF稲垣、内田らが手を上げてオフサイドを主張している

 上:下段写真/炎天下のゲームで2−2と痛み分けに終わりガックリの両チームの選手たち、札幌は左から、途中出場のFWミラン・トゥチッチ、MF駒井(14番)、青木、FW中島、名古屋は左からDF藤井(13番)、途中出場のチアゴ

■北海道コンサドーレ札幌の青木亮太選手のコメント
 「得点の場面は、なんとか気持ちで押し込んだ形だったと思います。本当は後ろのポジションにいるはずだったのですが、負けている状態だったので前に入りました。良い形で入ることが出来て良かったです。最後になんとか決めることが出来たのは良かったです。ただ、攻撃の形というところでは、なかなか良い形を作ることが出来ていなかったので、そこは修正していきたい。守備のところも相手に走られて、簡単に行かれてしまっている場面もあったので、そういったところも見直してやっていきたい」


 上:左側写真/後半24分、飲水タイムの時、選手に檄を飛ばす札幌のペトロビッチ監督、左FW中島(45番)、右、後半7分にミラン・トゥチッチと交代して退場していたFW興梠の左足のアイシングが痛々しい

 上:右側写真/後半22分、投入しようとしていた名古屋DFチアゴ(2番)、FWレオナルド(29番)、MF永木(20番)に指示を出していた長谷川健太監督、この最中にMFレオ・シルバの同点ゴールが決まり飲水タイムに入る、この交代はいったん取りやめとなった


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「両チームともが下位にいる中で、どちらも勝利が欲しい、そういうゲームでした。内容としても厳しい、ハードなものだったと思います。立ち上がり20分くらいまでは、相手がプレッシャーを掛けてくるまではなかなかビルドアップではがすことが出来ない、あるいは前線にボールが収まらないという状況が続いた中で、徐々にプレッシャーをかいくぐれるようになってからは、相手を上回れる展開を作れていたと思う。

 そういう中で前半、ショートカウンターから素晴らしいゴールを決めて1−0で折り返すことが出来た。後半は興梠(慎三)、福森(晃斗)、深井(一希)といった選手のコンディションがなかなか良くならない中で、早い段階で交代をしなければいけなくなった。逆に名古屋は交代選手に質の高い選手がいるという中で、徐々に相手に上回られる展開になっていった。そして我々の右サイドを崩される中で、同点、逆転のゴールを許してしまった。しかし、選手たちは落ち着いて、『何がなんでも勝点を取るんだ』という強い気持ちを見せて戦ってくれたと思います。その中で同点ゴールを生むことが出来ました。最後まであきらめない気持ちが同点ゴールにつながったと思いますし、引き分けという結果はコレクトなものだと思います」


■名古屋グランパスの長谷川健太監督のコメント(一部抜粋)
 「引き分けに終わってしまいましたが、先制されたあと、ひっくり返した。今まで出来なかったような試合展開が出来たのは、新加入選手も入り、今までと違う一面を見せられたと思います。2得点目などもそうだったと思います。しっかり崩して得点が取れたというのは、チームとしては前進することが出来たと思います。アウェイでの勝点1をポジティブに捉えながら、次の試合などに備えていきたいと思います」

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影