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【再掲】J1第31節(10月2日)、石水氏に捧げる勝利。アウエーでガンバに圧勝

21・10・11
 ミシャ監督「石水さんありがとう」

  駒井が口火「5得点良かった」


 アウエーの「白のユニホームに黒の喪章」。2021年10月2日の北海道コンサドーレ札幌は、Jリーグ第31節を大阪府吹田市でガンバ大阪と戦った。

 9月26日に「コンサドーレの父」石水勲氏が「享年77歳で昇天した」。石水家と運営会社は、大事な試合を前に29日に「新聞紙上を皮切りに」公にした。26日のJリーグ第30節はホーム・札幌ドームだった。翌27日は、石水勲氏が建立した「白い恋人サッカー場」でのJリーグ・エリートリーグと「知らぬ間の出来事」にしてくれた。数年前から「車いす」に乗る姿で、練習場で見かけたが、最近は、コロナ禍の「面談禁止」で「まだまだ元気」と―。今季の最後の「ごあいさつは北海道神宮の出陣式」になってしまった。

 第31節のガンバ戦は、午後7時から。観衆がマキシマムの9千987人。Jリーグ加盟30周年で、中央には「バンド」も入っていた様子だったが、喪章を見て「控え目」の様子だった。

 ホームのガンバ大阪は5月に宮本恒靖監督が解任され、チームの強化部長だった松波正信監督(46、岐阜県出身、1993年から2005年ガンバ大阪)が、指揮を執っている。

 試合は、19時03分、札幌のキックオフ。上田益也主審(38、愛知県出身)が審判団6人と「公平なジャッジ」をしてくれた。天候は晴れ。気温23.9度、湿度31パーセント。

 札幌の先発は、荒野拓馬が帯同せず、期待のFWミラン・トゥチッチがトップに入った。シャドーに金子拓郎と小柏剛。3−4−3のシステムでGK菅野孝憲。3バックは田中駿汰−宮澤裕樹−菅大輝。ワイドの右はルーカス・フェルナンデス、左は青木亮太。中央のかじ取り役は駒井善成と高嶺朋樹。控えには9月27日に宮の沢白い恋人サッカー場で行われたエリートリーグにも出場して2失点したGK中野小次郎(ちょっと伸び悩みか)。DFは、柳貴博と岡村大八。MFは小野伸二。FWドゥグラス・オリヴェイラ、ジェイ、中島大嘉。中島は名門・国見からのルーキーで、エリートリーグではPKを決めている。

 ガンバは、GK東口順昭がおり、この日のキャプテンはDF背番号19キム・ヨングォン。要注意は宇佐美貴史とパトリックの点取り屋。さらに背番号10の倉田秋に代わって井手口陽介がスタメンに入っている。これまでの対戦成績はガンバ大阪の16勝5分け7敗と「かなりな差」と言われるが、今季はガンバの監督交代など「宇佐見に任しとけ」が、足を引っ張っている。

 先制点は札幌。5分、ガンバ陣内中央付近で19番キムらがパス回し、それをカットした駒井がそのままドリブルで右ペナルティーエリア内に進入。GK東口と1対1の形で、右足で左ゴールポスト側に流し込んだ。この少し前まではガンバの左側の仕掛けが強く、押され気味だった札幌がゴール。ペトロビッチ監督の浦和レッズ以来の「愛弟子・駒井」が口火を切った。

 がぜん、札幌の勢いが勝る。MF高嶺、トップ下の小柏、DFの田中駿らがガンバのエース宇佐見、パトリックの突進を身を挺して抑えている。相変わらず右のルーカスがサイドから切り込み「変幻自在」の突進を図る(24分飲水タイム)。

 札幌の勢いは止まらない。トゥチッチが持ち込んだり、左サイドの青木がセンタリングしたり、攻撃は止まらない。ガンバは30分ペナルティーエリア内でパトリックが受けるが、DFセンターに位置した宮澤がクリアした。さらにパトリックの攻めは続くが田中駿のマークに遭い、味方にはつながらない。

 形勢は札幌のまま、32分、右ウイングバックのルーカスがドリブル開始。ペナルティーエリア内に突進。「また持ちすぎ」と見えたが、右足でグラウンダーのシュート。GK東口は動けずゲット。2点目。

 札幌は、ガンバのパス回しをしっかりと「読み取った」ようだ。来た来た40分、相手ペナルティーエリアの外で、右からのパスを受けた高嶺が「強烈なシュート」。東口も動けずゴール右に突き刺さった。アデイショナルタイムは3分。3−0で前半を終わる。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「後半は慌てないでプレーすること。立ち上がりに気を付けていこう」、「運動量を落とさないようにしよう」、「状況を判断して相手の勢いに負けないように守っていこう」

■ガンバ大阪の松波正信監督のコメント
 「お互いにサポートし合って戦おう」、「軽い守備では勝てない」、「1点取って流れを変えるぞ」


 後半の初めにガンバは、3人の選手交代。直後の2分。DFキムのクリアミスを札幌・金子が拾った。ドジングを何度か繰り返して「パスかシュート」。これまで何度もこれを繰り返して「点」にならない。「早く打て」声が届いたかどうかはわからない。ワントラップで右足を振り抜いた。GK東口の股下を抜いてゴール。

 この後も札幌の小柏、金子、ルーカスのボールキープは「確か」。19分札幌、トップのトゥチッチとドゥグラス・オリヴェイラが交代。

 ガンバの得点シーンは20分、札幌ゴール前でFKを得る。キッカーは宇佐見。右45度約25メートルから、ゴール中央を狙う。ゴール前ではパトリックと田中駿がヘディングの競り合い。パトリックのへッドが一段高く「ゴールに吸い込まれた」。4−1(24分飲水タイム)。

 30分、ピッチ中央で「一進一退」の攻防。33分金子OUT柳IN。小柏OUTジェイIN。34分、宇佐見、井手口も交代。その後もガンバのFK、CKで札幌エリアを攻めるが「単調な攻め」。札幌ゴール前は宮澤を中心に「防御態勢」。そのうちの1本。43分に宮澤が前線に蹴り出したボールをジェイが駒井に落としボールを「敵陣ゴール前へ」。ガンバはDF1人とGK東口だけ。走り込んだDオリヴェイラが「一瞬早く」、「無人のゴール」にボールを流し込んだ。

 44分、駒井OUT岡村IN。青木OUTおっとと伸二IN。アディショナルタイムは5分。ミシャ監督と四方田修平へッドコーチ、ブルーノ・クアドロス、沖田優、杉浦大輔コーチら。「やっと実ったようだね」。

 シュート数は、札20−G13 CK札3−G3 FK札12−13 PKなし。

 明治安田生命J1リーグ第32節横浜F・マリノス対北海道コンサドーレ札幌戦は10 月16日午後7時から横浜市の日産スタジアムで行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「我々には今週、非常に悲しい出来事がありました。クラブの創設者といってもいい石水(勲)氏がお亡くなりになりました。ご家族にお悔やみ申し上げるとともにご冥福をお祈りしたいと思います。多大なるサポートをしていただき、このクラブが今あるのは彼のおかげです。今日の試合は我々にとって追悼であり、何がなんでも勝利をして、小さな感謝ではありますが、しっかり勝とうという話を選手にしました。その志、クラブをさらに育てていきたいという彼の思いを受け継ぎたいと思います。残念な出来事でしたが、ご冥福をお祈りし、意思を継いでより上を目指していかなければなりません。

 試合の方は攻撃的で素晴らしい戦いが出来たと思います。ここ最近の敗戦でも、非常に攻撃的で素晴らしい戦いが出来ていました。多くのチャンスを作れていました。それらの敗戦と今日の試合との違いはチャンスを決めるか決め切れないか。今日はしっかりものにしてくれたと思います。ただ、あと4〜5度ほどチャンスがありました。そうした部分でもしっかり決めることが出来ていれば、より結果が伴っていくことでしょう。

 良い戦いをしながら結果に結びつかなかったのは経験の部分があると思います。若い選手が多いチームです。成長はしていますが、精度やクオリティーなどまだまだ突き詰めなければいけないところがあるのは確か。それでも、彼らが成長していくことで今日のような試合を継続して出来るようになると思う。このチームにはまだ伸びシロがある。こうした自分たちのサッカーをやり続けていくことが成長につながっていく。こうした試合を数多く積み重ねていきたいと思います」


■ガンバ大阪の松波正信監督のコメント(一部抜粋)
 「ガンバのクラブにとっては非常に大事な試合の中で、こういう結果になってしまったというのは残念というか、非常に申し訳なく思います。特に相手が少しプレッシャーを掛けてくる中で、ボールのロストが非常に多かった。それが失点につながってしまったというところでは、それがすべてではないかなと思います。

 ただ後半、点を取りにいく姿勢の中で、開始早々に点を取られてというところでは、本当にそういう時間帯とかゲームの中で修正するとか、すべてにおいて、この結果になってしまったなと思います」
 
 
池田淳