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J1第27節(8月28日)、札幌のホームで川崎に0−2で敗戦

21・08・30
 上:上段写真/ホーム札幌ドームには5千人を超える観衆が集まり、札幌のゴール裏サポーターたちは整然と後押しした

 上:下段写真/選手入場で先頭はMF荒野(27番)だった。右へDF福森(5番)、田中、MF菅(4番)、欠場の宮澤の代わりにCBを任された高嶺、MF金子(9番)、駒井(14番)、青木(28番)、FW小柏(35番)、負傷から4試合ぶりに復帰のMFチャナティップ(18番)、GK菅野(1番)

 (写真は8月28日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 ミシャ監督「決定力無くチャンス逃す」

  「よく我慢してくれた」鬼木監督が結果


 札幌は前節・名古屋グランパスに敗れ、トップ街道を行く、川崎フロンターレはアビスパ福岡に敗れ、8月28日を迎えた。ペトロビッチ監督は「選手はアグレッシブな姿勢を見せてくれた」。一方、鬼木達監督は「我慢の時かと思う」。まだまだだ「これからだ」。「こんな時もあるさ」で試合日を迎えた。終わってみるとミシャ監督は「今季、最も良い出来だった」。鬼木監督は「互いにゴールという重要性を感じた」。

 パラリンピックが始まり、「得点争いより、個の多様な人生を見た」。ペトロビッチ監督は、「聖徳太子が十人の言い分を聞き分けた」という比喩を聞いたことがあるだろうか。身体障がい者スポーツ大会が、今パラリンピックになり、競技種目も増えた。「フットボールの奥の奥をのぞくと一筋縄ではいかない」。ゲームの一コマ一コマに、「何かがあるに違いない」。

 試合の方は、明治安田生命J1第27節北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレ戦として8月28日午後2時から札幌ドームで行われた。久しぶりのドームは5千610人が詰めかけ14時01分、岡部拓人主審(39、福島県出身)のホイッスルで、札幌のキックオフで始まった。室内は気温25.2度、湿度55パーセント。審判団はビデオ判定審判を含めて6人。

 札幌は3−4−3のフォーメーションで、26節の先発からルーカス・フェルナンデス、ジェイ、柳が外れ、荒野拓馬、菅大輝、チャナティップ(4試合ぶり)が入った。札幌のオーダーはGK菅野孝憲、DF田中駿汰−高嶺朋樹−福森晃斗、ウィングバックの右に金子拓郎、左に菅大輝。ボランチは荒野拓馬と駒井善成。CF小柏剛、右シャドー青木亮太、左が浦和レッズ戦以来のチャナティップ。控えには、GK中野小次郎、DF柳貴博、岡村大八、MF小野伸二、ルーカス、FWドゥグラス・オリヴェイラとジェイ。

 遠来の川崎は、GKチョン・ソンリョン、DF山根視来−ジェジエウ−車屋紳太郎−登里享平、MF山村和也−橋田健人−脇坂泰斗、FW遠野大弥−宮坂天−小林悠。サブに家長昭博、小澤和希、ジョアン・シミッチ、知念慶、レアンドロ・ダミアンらが入っている。両軍キャプテンは荒野(背番号27)と登里(同2)。

 キックオフ後、いきなり札幌のトップ・小柏が、ゴール前に飛び込んだが、うまく収まらなかった。次は川崎の登里が中央ライン近くから蹴り込むがGK菅野まで。互いに「エールを交わす」ようだ。8分過ぎまで札幌がペースを握り、金子、田中駿汰、小柏らが川崎陣内を脅かす。7、8分と札幌がCKを得て福森がキックするが、青木、荒野、小柏らのブロックには川崎DFジェジエウらに防がれる。

 16分荒野に「イエローカード」。ドリブル突破をかける背番号2登里を手を使って止めに入ってしまった。札幌がやや有利な展開で、時計は進んだ(23分飲水タイム)。

 さらに札幌がパワフルに攻撃を展開する。右のシャドーに入った青木が金子、田中駿とパス回しトップの小柏に展開するが186センチ、84キロの大型DFジェジエウにはじき返される。

 29分、札幌は相手ゴールから23メートルのところでFK。福森と荒野が「じっくりと話し合い」後に、やはり福森がキック。はじかれた球をチャナティップが受けるが、バックパスで「保持優先」を選んだ。その後小柏が仕掛けたがシュートは打てず、こぼれ球を福森がシュートを打つが、GKチョン・ソンリョンに防がれる。

 川崎待望の得点機は34分。左サイドのFW宮崎が仕掛け、荒野と金子の間を通すパスをゴールに向かって通す。反応したのはエース小林。札幌DF高嶺を背負って半回転。ゴール右下に決めた(例の先取点と勝利の比率は18勝3分け0敗で、85.7パーセント)。

 頭を下げる札幌陣営。ハッスルするのはチャナティップ。クロスからCKを得て、福森が蹴るが、MF山村にクリアされる。

 また来た、39分。札幌ペナルティーエリア内でDFが蹴ったボールを小林が右からドリブルでエンドライン近くまで持ち込みセンタリング。ボールはGK菅野の前を素通り、守備に戻った荒野の前に走り込んだ川崎19番・遠野が押し込み2点目。アディショナルタイムは1分。あっという間に0−2と差を付けられた。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「良いゲームはできているが、2失点とも勿体無かった」、「チャンスは作れている。落ち着いてプレーしよう」、「覚悟を決め、残り45分戦って勝つぞ」

■川崎フロンターレの鬼木達監督のコメント
 「球際、切り替え、前からのプレス、続けていこう」、「中盤はコンパクトにセカンドボールはしっかり自分たちのボールに」、「ボールを奪ったら、前への意識。ボールは丁寧につないでいこう」


 「聖地・厚別」で、前節・相手の名古屋にも前半で0−2の点差を取られ、あきらめた「札幌イレブン」。宮澤裕樹の欠場もあったが、徐々に「若手の進歩」が見えなくなった。ミハイロ・ペトロビッチ監督は「前進あるのみ」としているが、「ACL」どころではない。すぐに「ルヴァンカップ」が始まる。

 後半が始まり、ミシャ監督の「太っ腹」も見えたが、相手監督のしたたかさで「頭がいっぱい」になった。鬼木監督が、名前の通り「鬼に見える」。福岡に負けた時も「チームとして我慢の時かなと思います」と敗戦の弁は「鬼になって選手を鼓舞するものではない」。監督コーチは、選手の働きやすいように「叱咤激励するものだ」。いつか読んだことのある「識者の声が聞こえる」。

 目の前で札幌の選手が、点を取ろうとしている。形だけは「試合を見ている」が「後ろでラジオ番組の録音をしていた」。昔、横浜F・マリノスから札幌に来た河合竜二先生(43)が解説していた。

 我に返って、まさに川崎の「試合巧者」の前半だったが、後半は、札幌は金子、青木、小柏、田中駿らが中心になり、2分、3分、5分、7分札幌の攻撃が絶頂期。8分過ぎから川崎の小林らが、動くがパスミスが目立つ。

 15分から選手交代。最初に川崎FW宮城がMFジョアン・シミッチと。札幌は22分菅OUTルーカスIN。チャナティップOUTジェイIN。26分には川崎も脇坂、遠野が家長、知念と交代(33分遅ればせながら飲水タイム)。

 35分、交代で入った川崎・家長が右サイドにドリブルで深く持ち込むが、札幌のDF陣に囲まれ、ゴールラインに逃げる。39分小林、山村が交代、5人の交代枠を使い終える。札幌はまだ2人だけ。45分金子OUT柳IN。小柏OUTオリヴェイラIN。これで4人交代。アディショナルタイムは4分もスコア変わらず。最後に、この試合の総評を、新聞各紙で読むと「札幌の決定力不足」が、目に付く。

 シュート数は、札14−川9 CK札8−川0 FK札8−川15 PKなし。

 YBCルヴァンカップ準々決勝・北海道コンサドーレ札幌対FC東京戦第1戦は9月1日午後7時から、札幌厚別運動公園競技場で行われる。


 上:上段写真/前半7分、札幌右CKからMF荒野(中央)、川崎MF山村(28番)らがジャンプするが触れず、ボールは反対側タッチラインを越えた

 上:下段写真/前半15分、札幌MF菅のロングパスを青木(左)がワンタッチシュートするが、GKの正面となる、右は川崎DF車屋


 上写真/前半16分、札幌MF菅のクロスを受けて金子がシュートするが、ゴール左に外れる、川崎GKチョン・ソンリョン、右DFジェジエウ(4番)


 上:上段写真/前半34分、川崎FW小林悠(左端)が、宮城のパスを受け体を反転させ札幌DF高嶺(6番)のマークをかわして先制ゴールを決める、右DF福森

 上:下段写真/前半34分、川崎FW小林悠(左から2人目)先制ゴールを決められ、ガックリひざをつく札幌MF金子(中央)、ぼう然とする青木(28番)ら、右端DF田中


 上:左側上段写真/前半39分、川崎FW遠野(19番)が小林悠の右サイドからのクロスに合わせて追加点を決める、左端札幌MF荒野、その右FW小柏(35番)、右端MFチャナティップ(18番)

 上:左側下段写真/前半39分、川崎FW遠野に2点目を決められ「またかー!」と、ガックリの札幌MFチャナティップ(18番)、FW小柏(35番)、GK菅野(1番)、ピッチに尻もちのMF荒野

 上:右側写真/前半39分、2点目を決めた川崎FW遠野(19番)を笑顔でたたえる、このゴールをアシストした小林悠、やはり川崎恐るべし


 上:上段写真/後半5分、川崎ゴール前に迫る札幌FW小柏(右)、左川崎DF登里

 
 上:下段写真/後半7分、札幌DF高嶺からのパスを受けて、ゴール前に進もうとするMFチャナティップ(18番)だが、川崎DFジェジエウ(4番)に立ちふさがれて進めず。その左DF福森、左端DF車屋(7番)、チャナティップは負傷が癒えて4試合ぶりに先発したが、川崎の堅守に封じられた


 上:上段写真/後半12分、札幌MF青木(左)と川崎DF車屋(7番)が、札幌DF田中のタテパスのボールを奪い合う、スパイクに付いた芝が飛ぶ

 上:下段写真/後半37分、札幌MFルーカス・フェルナンデスのパスを受けた金子(9番)がドリブルで持ち込みシュートしようとするが、川崎DF登里に阻まれる


 上写真/後半42分、札幌MF駒井(左)がドリブルで持ち込み、前を走るFW小柏に「お前が決めろ!」とばかりにパスを出す


 上:上段写真/川崎に0−2と敗れ、前節名古屋戦に続く2連敗にサポーターへのあいさつに向かう札幌の選手たちの表情も暗い

 上:下段左側写真/前半追加タイム1分、スローインのボールを拾いあげた川崎DF登里が足元に落ちていたボールペン?を見つけ、拾って札幌のペトロビッチ監督に手渡す、受け取ったミシャは笑顔で応え、この後スタッフに渡した、左DF車屋(7番)

 上:下段右側写真/後半14分、これから投入する川崎MFジョアン・シミッチ(6番)に入念な指示を出した鬼木達監督


 上写真/熱戦を終え、お互いをたたえあって握手する川崎の鬼木達監督(左)と札幌のペトロビッチ監督

池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影