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J1第8節(4月7日)、アウエーFC東京戦は1−2で札幌の敗戦

21・04・11
 「後ろからの声は神の声」DF田中へ

  ミシャ監督「スタメンは自分で選べ」

 
 日本の蹴球史が100年を迎えるという。スカパーのサッカー番組で公益財団法人日本サッカー協会の田嶋幸三会長らとタレントのメインキャスターが話していた。衝立で仕切られたスタジオには会長は居なく「オンライン参加」のようだった。

 Jリーグは川淵三郎キャプテンの「100年構想の真っただ中」。コンサドーレ札幌は誕生以来25年を経過した。北海道を頭に着けたのは現(株)コンサドーレ社長・野々村芳和CEO就任以来で、前身は1935年設立の千葉県の「東芝堀川サッカー部」。96年高橋武夫監督が率い札幌の地に「プロサッカーの種を巻いた」。日本プロサッカー(Jリーグ)登録、初代監督はウーゴ・フェルナンデス氏(76=ウルグアイ出身)。1998年JAPAN初のワールドカップ出場監督、岡田武史氏をはじめ、現在のミハイロ・ペトロビッチ監督まで、12人の監督が務めている。

 4年目の愛称・ミシャ監督は、「今年に懸ける決意がたくさんある。ルヴァンカップ優勝とAFCチャンピオンズ・リーグ(ACL)出場」。しかし、出鼻をくじかれた。オフシーズンにオーストリアに帰国。なんと左足を骨折、右の腰をかばいながらの「指揮」は、「かったるそう」。

 今年の選手たちを見ると、大卒者が増えた。子供の頃からサッカーを始めたとしたら、15年は「他人の飯(指導)を食っている」。これでもミシャ監督に預けられると、「型にはめられる」。「全員攻撃のハイプレス」。自分のシステムに合った人間を「自分で探して」と言いたくなる。

 こんなことを考え、悩みながら、4月7日の試合を見た。

 2021明治安田生命J1リーグ第8節のコンサドーレ札幌対FC東京の試合が午後7時から、東京都調布市の味の素スタジアムで6千236人の観衆を集めて行われた。

 この日の天候は晴れで気温14.4度、湿度45パーセント。荒木友輔主審(34=東京都出身、国際審判、東京五輪審判候補)のホイッスルで19時3分、F東京のキックオフで始まった。

 札幌のスタメンはU−24JAPAN代表の田中駿汰がけがで休場していたが、この試合から復帰した。GK菅野孝憲、DF田中−キム・ミンテ−福森晃斗、WB右に金子拓郎、WB左ルーカス・フェルナンデス、MF(ボランチ)駒井善成・宮澤裕樹、トップ下左チャナティップ、右小柏剛。TOPはアンデルソン・ロペス。控えはGK大谷幸輝(31=熊本県出身、186センチ、90キロ、A型、アルビレックス新潟から移籍、初登場)、DF柳貴博・岡村大八、MF青木亮太・小野伸二・高嶺朋樹、FW菅大輝の18人。

 F東京はGK児玉剛、DF中村拓海・渡辺剛・岡崎慎・小川諒也、MF三田啓貴・森重直人・安部柊斗、FW田川亨介−アダイウトン−ディエゴ・オリヴェイラで、FW永井謙佑は控えスタートとなった。中でも長谷川健太監督の思惑は、攻撃の要として最初の4−1−2−3の布陣を「札幌の右の金子、田中、小柏」に対策で、途中で5−2−3に変えて「守備陣強化を図った」。

 ゲームの方は、FC東京が、前半29分にDF渡辺が札幌の小柏の抜け出しに体当たりして阻止、レッドカードを提示され退場。札幌は約30分間「数的優位」な戦いをしながら無得点。

 前半の攻守のせめぎ合いで感じたことは、札幌の攻撃展開の「右ピッチがスリッピーだったこと」。前半35分に小柏に襲い掛かった負傷退場も、スリップして手を着いた時に痛めたようで、芝はかなり滑った感じだった。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメントはチーム発表なし

■FC東京の長谷川健太監督のコメント
 「プレッシャーのかけ方を工夫すること」、「こういう時こそひとつになって勝ちきろう」


 後半は、札幌のキックオフで始まった。長谷川監督の「思惑がピタリと当たった感じ」。開始直後FW田川に代えて永井を入れ、ゴール前への突っ込みを早くしたように見える。札幌の攻撃の体制が右から左に移ったようだが、チャナティップと駒井−宮澤のやり取りが見えない。チャナティップに「ワンタッチプレーを要求していたのか」、「彼が持てなかったのか」知る由もないが、「いつもの切れがない」。

 札幌は後半14分、F東京のDオリヴェイラのドリブルを札幌DFキム・ミンテが倒し、一度はイエローカードが提示されたがVARの結果、判定が変わり「レッドカード」。双方ともに1人ずつ退場者を出してフィールドプレーヤー9対9の戦いになった。

 F東京は、その2分後の16分、キム・ミンテのファールで得たFKをMF三田が蹴り、FW永井がすらしたボールをDオリヴェイラがシュート。「先制点」を挙げた。さらに6分後には、宮澤裕樹キャプテンが、自陣エリア内で相手FWのDオリヴェイラをスライディングタックル、PKを献上した。

 0−2とリードされた札幌は、23分にチャナから青木に。ルーカスが高嶺と交代した。確かに二人とも、いつもとボール扱いやパスの出すタイミングが違った。

 ペトロビッチ監督の思惑は「なかなか形にはならなかった」というが、「プレスをかけたつもりが、空回り、何がハイプレスか、選手とコーチの間で、もう一度確認が必要だろう」。チャナティップと、ルーカスの「持つのか、離すのか」、時と場合をはっきりしてほしい。

 後半38分、札幌にチャンスが舞い込む。中央ラインを越えたあたりでDF福森が前線にロングフィード。走り込んだDF田中が右からへッドで、中央に折り返す。ゴール前でMF青木が頭でわずかにフリック(後ろへそらす)。左のWB菅がシュート、ゴール前のAロペスが、触ってゴール。今季7点目。J得点ランキング単独首位に立った。

 しかし、追いつくまでには至らず1−2で敗戦。シュート数は、札7−東7 CK札7−東4 FK札4−東11。

 2021明治安田生命J1リーグ第9節は4月11日午後1時5分から、北海道コンサドーレ札幌対鹿島アントラーズ戦をホーム札幌ドームで行う。


■北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹選手のコメント
 「数的優位の時間帯に効果的な崩しができたかといえば、そうではなかった。加えて自分たちのリスク管理のところで自分たちも退場者を出してしまった。そのセットプレーで失点したことで流れが悪くなってしまったように感じている。退場者が出た場面は、主審の判定を変えることはできないですし、やはりあそこで失点をしてしまったのが残念だし、やはりその前のところでも数的優位を生かせなかったことが残念。次節(鹿島戦)はホームゲーム、流れを作れるような試合にしたい」


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「非常に良い入りができた中で、相手がレッドカードによる退場者を出すまでは我々が試合を支配しコントロールしたと思っています。ただしその後、逆にやりにくさが出たのか、あるいは慎重になり過ぎたのか横パスが多くなり、時間が過ぎていきました。そこから後半に我々の選手が退場し、そこで失点。そこから同点に追いつこうとした中でカウンターから2点目を与え痛い展開となってしまった。その後は良い攻撃ができていた中で1点差とし、同点にできそうなくらいチャンスの形を作っていましたが、同点にはできませんでした。今日については我々の人数が1人多いというアドバンテージがある時間帯に相手に圧力を掛けられなかった。そこが反省すべきところでした。相手の鋭いカウンターに対して選手たちが慎重になったというのは理解できますが。我々が負けに値する試合になってしまいました」


■FC東京の長谷川健太監督のコメント(一部抜粋)
 「難しい試合でしたが、全員がハードワークしてなんとか勝利に持っていけたことは非常に大きな勝点3だと思っています」
池田淳