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ルヴァン杯(3月3日)第1節、札幌はアウエー福岡で3−2で勝利

21・03・05
 ルヴァンカップ「新人の登竜門」

  「18歳がデビュー弾」ミシャ大喜び
 
 北海道コンサドーレ札幌の今季第2戦目は、JリーグYBCルヴァンカップグループステージ。2019シーズンまでは、「21歳以下を必ず1人入れること―」が掟であったが、昨季から続く新型コロナウイルスの感染拡大防止策により大会方式が変更され、U−21先発ルールは適用外になった。しかし、Jリーグとの連戦が続く中、若手選手にとっては試合出場の機会であることに変わりはない。

 札幌では注目された菅大輝が、はや22歳。GK中野小次郎(200センチの長身)は21歳だが3月5日が誕生日で22歳の代。今年は「大卒ルーキーが多い」と、21歳以下はアカデミーのU−18出身でHonda FCにレンタルしていた中村桐耶20歳と、名門長崎・国見高校出の18歳・中島大嘉(大阪府出身)に期待がかかる。

 札幌のミハイロ・ペトロビッチ監督(63)は、勝利に貢献した18歳の中島に対し「良いプレーをしてくれた。才能のあるこれからの選手」とコメントを残したが、当の中島は「目標はバロンドール(世界最優秀選手)」と。

 こんな、うれしい「インタビュー」が聞けたルヴァンカップは、3月3日午後6時から福岡県のベスト電器スタジアムで、アビスパ福岡とコンサドーレ札幌が対戦、3−2で勝利した。

 ゲームは18時03分、松尾一主審(48=大阪府出身)の笛、札幌のキックオフで始まった。屋外スタジアムは晴れ、気温12度、湿度43パーセント。観衆は1千564人で、少し肌寒い。 

 札幌のペトロビッチ監督は、ピッチ横のテクニカルエリアにいすを置き両手に杖のJ1開幕時と、そんなに変わらないおもむき。札幌のスタメンを見ると、5人がルーキー。GK中野小次郎(試合時は21=徳島県出身)、DFは柳貴博(23=東京都出身、FC東京−山形、仙台でプレー)、DF岡村大八(24=東京都出身、群馬、宮崎でプレー)、DF中村桐耶(ホームグロウン選手)。MFの深井一希がキャプテンマーク、高嶺朋樹とダブルボランチ。右のウイングバックに青木亮太(24=流通経済大柏高出、名古屋−大宮でプレー)、左のウイングバックは菅大輝。FWトップにドゥグラス・オリヴェイラ。右シャドーに中島大嘉(背番号45)、逆側に小野伸二(同44)のそうそうたるイレブン。

 片や福岡は、DF宮大樹(24=大阪府出身、神戸、鳥栖でプレー)、MFカウエ(31=ブラジル出身、ポルトガルのCFべレネンセスなどでプレー)、MF吉岡雅和(25=長崎出身、富山、長崎でプレー)。2年前から札幌出身の前寛之(24=北海道出身、札幌、水戸でプレー)、今年は奈良竜樹(27=北海道出身、札幌、川崎、鹿島でプレー)の入団もあり、前寛之は最後の90+1分に登場していた。

 先制点は14分に札幌で、福岡ゴール右で札幌・伸二が緩い浮き球パス。相手DF宮の手に当たり、主審はハンドのジェスチャー。14分にDオリヴェイラが決めて先制。だが直後の18分、札幌陣内中央で福岡がFK。MF吉岡が左足でペナルティエリア中央にキック、これを三国ケネディエブスが決めて1−1の同点(23分に飲水タイム)。

 札幌は、オールコートプレスのきっかけを決めているのか―GK中野小次郎からのポジションアップが激しい。「ここから始まり」の意識が浸透している様子。DF岡村が中央にボールを供給する。札幌の選手が走り込む。35分、何度かの繰り返しの後、Dオリヴェイラが、ループシュート。ボールはクロスバーに当たってゴールイン。2−1。札幌はハーフウエーライン手前からの「ビルドアップ」を始める。福岡のDFラインが幾分下がり気味になってきた。追加点が怖い。

 札幌の作戦が成功した。41分、MFの高嶺が、ゴール前にロングボールを放り込む。Dオリヴェイラが、相手GKとDFが交錯してボールを見失ったスキにパスを流す。新人・中島が「恐ろしいほどの」落ち着きで、ゴールに流し込んだ。「あっぱれだ」(アディショナルタイムは3分)。札幌のCK(コーナーキック)はすべて伸二が蹴った。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「コンビネーションを使ってゴールにせまっていこう」、「リードしている中でカウンターに気をつけていこう」、「4点目、5点目を取って試合を決めよう」

■アビスパ福岡の長谷部茂利監督監督のコメント
 「最後まで集中力を切らさずにプレーしよう」、「まずは1点ずつ返していこう」、「もっと声を出してコミュニケーションを取ろう」

 
 後半も札幌の攻勢は変わらない。GKの中野小次郎の高い位置に上がるのを狙って、福岡陣営は「遠くからでも狙え」とばかりにシュートを放つ。札幌はややDF陣が動いたようだが中央のDF中村の指揮が冴える。後半15分、札幌の選手交代が始まった。小野伸二がルーカス・フェルナンデスに。DF中村が田中駿汰。トップ下で1得点を挙げた中島が小柏剛へ。トップのDオリヴェイラは、運動量は減ったもののトップでの「威厳」は福岡陣営にプレッシャーを与え、相手MFカウエの反則(イエローカード)を誘った。両軍とも「おとなしい」(飲水タイムも25分に終了)。

 札幌の小柏の動きに注目して、相手のブロックが堅い。29分DF柳にもイエローカード。31分に福岡も3枚替えると福岡が有利の攻撃。札幌の左ウイングバックの菅にイエローカード。少し守備範囲が狭まってきた。43分福岡に攻撃チャンス。札幌・菅の守備範囲を突いた攻撃。DF湯澤が低い位置からドリブル突破、菅を引きずりながらセンタリング、走り込んできた福岡FW城後がうまく合わせゴール、2−3と詰め寄った。

 アディショナルタイムは4分。福岡は札幌出身のMF前寛之を投入したが、札幌小柏の「縦横無尽」な動きには付いていけなかった。

 これでルヴァンカップA組第1節の結果は札幌3−2福岡、鹿島3−0鳥栖。札幌の第2節は27日午後2時から鳥栖とアウエーの駅前不動産スタジアムで戦う。

 Jリーグの2021明治安田生命J1リーグ第2節名古屋グランパス対北海道コンサドーレ札幌戦は3月6日午後4時から豊田市の豊田スタジアムで行われる。


■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「Jリーグでは簡単に勝てる相手はいないので、今日の試合も難しいものでした。どちらのチームも直前の試合から選手が入れ替わり、多くの選手がチャンスを得た中でうまく戦いました。札幌は良い時間帯とバタバタした時間帯があり、良い部分もあれば課題もあった。ただ、勝利に値する試合が出来たと思っている」

■アビスパ福岡の長谷部茂利監督監督のコメント(一部抜粋)
 「全体としては、善戦したかなという気持ちと、ミスが簡単に失点につながってしまっているようでは、もちろん勝点は取れないな、という感想です。ただ今年だけではなく、これまでも出場機会が少ない選手たちにとっては良い経験になったと思いますし、勝点1でも取れていたなら、と思うような一戦になりましたし、もちろんホームなので勝ちたいという気持ちはありましたが、今日のゲームでは勝点3は取れないなと思いました。また多くの課題が出ているので、引き続き取り組んでいきたいと思います」
池田淳