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J1第1節(2月27日)、2021初戦は5‐1で大勝。札幌は得失点差で首位

21・03・02
 上写真/北海道コンサドーレ札幌の2021年開幕戦の先発メンバーは左からGK菅野(1番)、DF田中(2番)、福森(5番)、キム・ミンテ(20番)、MFルーカス・フェルナンデス(7番)、金子、FWアンデルソン・ロペス(11番)、その後方MF小柏、チャナティップ(18番)、駒井(14番)、今年もキャプテンの重責を担うMF宮澤(10番)、大卒新加入の小柏が先発に抜擢された

   (写真はいずれも2月27日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


 5得点20年ぶりで「大志を抱け」

  札幌ドーム記念日に「タイトル狙う」

 2021明治安田生命J1リーグが2月26日から始まった。開幕カードは神奈川ダービーの川崎フロンターレ対横浜F・マリノス。川崎のエース三笘薫(23)ではなく家長昭博(34)の2得点で、昨季の2冠に花を添えた。

 北海道コンサドーレ札幌は第2日目の27日午後2時から横浜FCと「札幌ドーム開業20周年記念試合」として行われた。結果は立ち上がり2分、4分に2連続得点で波に乗り、駒井善成、金子拓郎2得点、アンデルソン・ロペス、チャナティップの加点で、5−1と快勝。ホーム・札幌ドームで20年ぶりにJ1開幕戦で、歴史的な結果を披露した。

 札幌はオフシーズンにオーストリアに帰省中、大けがをしたミハイロ・ペトロビッチ監督は、チームの沖縄キャンプから熊本合宿も最後の最後23日から「指揮」を取った。27日のゲーム日は、ベンチ前の「監督エリア」に、座椅子と杖1本。本人が杖を手に采配を振るった。黒のスーツに、白のワイシャツが、痛々しい。

 愛称ミシャの今季の目標は、選手には「大志を抱け」。いつどこで学んだか? 札幌農学校(現・北海道大学)に、いまだに銅像があるクラーク博士(USA)の「少年よ大志を抱け」(ボーイズビーアンビシャス)の「大志を抱け」を、選手たちの目標に。「タイトルを狙う」は「今年こそ北海道にタイトルを」の、「AFCチャンピオンズリーグ=ACL」の出場権を目指す「分かりやすい道民への」誓いと、応援よろしくのあいさつ。

 第1節のJ1リーグは28日で20チームの試合が終了、コンサドーレは勝ち点3を挙げ得失点差5−1のプラス4で首位に立っている。2位は清水エスパルス(3−1=+2)、3位川崎フロンターレ(2−0=+2)、同率3位セレッソ大阪(2−0=+2)。

 試合の方は、27日午後2時ジャストに横浜Cのキックオフで始まった。今村義朗主審(43=愛知県出身)のホイッスルで始まった。昨季と違うのは「VAR」と「AVAR」の写真判定審判を付けたこと。結果的にはこの試合で判定は1件(主審判定通り)にとどまった。

 入場人員は1万1千897人で、新型コロナウイルス渦中の最高の入り。室内気温20.9度、湿度32パーセント。天然芝の深いグリーンではなかったが、噴水の先端から水まきをする2人の女性にはじめて気が付いた。昨季までは「男の仕事」のようだった。

 エンジン全開の札幌は、GK菅野孝憲、3バックは田中駿汰−キム ・ミンテ−福森晃斗、MFの2人は宮澤裕樹キャプテンと駒井善成。ウイングバックは右に背番号9の金子拓郎−逆はルーカス・フェルナンデス。ここまではいつものメンバーだが、FWはアンデルソン・ロペスをトップに左のシャドーのけがから復帰のチャナティップ、もう一人が新人の小柏剛(22=群馬県出身、明大出)。

 試合が始まると札幌が優位にボールを回す。特にトップ下に入った小柏(背番号35)がAロペス、駒井、チャナティップに中継のラストパスを回す。昨年の何度か見ている「曲者」で、20年8月の対川崎戦が「J1リーグデビュー戦」。満を持しての「新卒プレーヤーだ」。

 開始直後から札幌の中盤からのパス回しが早い。2分に相手DFのボールに小柏がプレスをかけるとクリアミス。ボールは駒井の前に転がり、ワントラップから右足一閃。相手DFを潜り抜けたシュートがネットをゆすった。

 さらに4分は、カウンター攻撃から、これまた小柏が持ち上がり、右サイドの背番号9金子にパス。受けた金子は右に進み、切り返して左足でインカーブのシュートは横浜Cの選手に当たって軌道が変わりゴールイン。2得点アヘッドした。

 横浜Cは左MFの中村俊輔が中盤の攻守の要。トップのFW9番のクレーべに球を集める(23分飲水タイム)。このあたりから横浜CのDFからのパスが回りだし29分、DF高木友也の鋭い動きに札幌DFキムミンテの縦パスが奪われ、札幌ゴール前に持ち込まれる。グラウンダークロスを送った先に待っていた相手FWクレーべが、落ち着いてゴールを決めた。これで2−1。横浜Cの攻撃は続くが、札幌も得点機を逃していたが40分。Aロペスのシュートが相手に当たり主審がVARで確かめたが、試合はそのまま続けられた。

 45分、札幌ボールの3線速攻。駒井−チャナティップと渡り、小柏へ。中央にダイレクトで折り返すと、完璧にゴール前の守りを崩し最後はAロぺスが胸で押し込みゲット。3点目までが長かったが相手を突き放した(アディショナルタイム3分)。札幌はさらに48分、相手GK六反勇治がはじき出したボールを、金子が右45度から左足で蹴り込み、この日2点目。この日の背番号9、金子の活躍は「半端ない」。4−1で、前半終了。ピンと来て記録集を見ると札幌の試合最多得点は8点(2019年J1アウエー清水エスパルス戦)とあった。


【監督のハーフタイムコメント】
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「サッカーは90分の戦いだ。残り45分あることを忘れずに集中していこう」、「シュートの選択肢はいい」、「0−0の気持ちで行こう」

■横浜FCの下平隆宏監督のコメントはチーム発表なし

 
 後半は、14分過ぎから横浜Cの選手交代が始まり、38分までに5人が変わった。札幌は25分の左のウイングバック、ルーカスが菅大輝に代わっただけで、追加点を挙げる。

 32分、丁寧なつなぎから相手守備ラインを崩し、右ペナルティーエリアに駒井が侵入。駒井のマイナスの落としを追いかけるように走り込んだチャナティップが、ダイレクトでゴールに突き刺した。5点目とリードを広げる。

 37分から駒井が高嶺朋樹、小柏が深井一希に、チャナティップがFWドゥグラス・オリヴェイラに。最後は公約通りにFWのAロペスが小野伸二に代わった。伸二(41)はトップ下で3本ぐらいボールにタッチしたかな。横浜Cの期待の1967年2月26日に満54歳の三浦知良(静岡県出身)は、帯同しなかった。

 札幌の次戦は3月3日、午後6時からJリーグYBCルヴァンカップグループステージ第1節をアウエーの福岡県ベスト電器スタジアムでアビスパ福岡と行う。

 2021明治安田生命J1リーグ第2節の北海道コンサドーレ札幌は3月6日午後4時から豊田スタジアムで、名古屋グランパス(5位)と対戦する。



 上:上段写真/前半2分、札幌MF駒井(14番)が横浜FCMF安永(15番)のブロックをかわして先制ゴールを決める、右は元日本代表ベテランのMF中村

 上:下段写真/前半2分、先制ゴールを決めガッツポーズで喜ぶ札幌MF駒井(14番)に駆け寄って祝福する選手たち、左からMF小柏(35番)、DF福森(5番)、田中、MF金子、後方FWアンデルソン・ロペス、DFキム・ミンテ(20番)、MF宮澤



 上写真/前半4分、ドリブルで駆け上がった札幌の大卒新人MF小柏(35番)が右にパス、金子のゴールをアシストする。左横浜FCのDF袴田、右高木(24番)


  上:上段写真/前半25分、ドリブルで駆け上がった札幌MF小柏(35番)にそうはさせじと立ちはだかる横浜FCのMF中村(左)とDF袴田(3番)、後方GK六反

 上:下段写真/前半29分、横浜FCのDF高木(左)が札幌DFキム・ミンテの裏をとりセンターへ絶妙のパスを出しFWクレーベのゴールを呼び1点を返す


 上:左側上段写真/前半45分、札幌FWアンデルソン・ロペス(左端)がMF小柏のパスを胸で押し込み3点目を上げる、ロペスは勢い余って左サイドネットまで飛んだ。札幌MF駒井(14番)はバンザイして喜ぶ、横浜FCのGK六反(44番)、DF田代(5番)、FWクレーベ(9番)、MF中村(10番)は「やられたー!」といった感じ

 上:左側下段写真/前半45分、3点目を決めた札幌FWアンデルソン・ロペス(11番)がアシストしたMF小柏(35番)と喜び合う、手前ではチャナティップと駒井が抱き合う、横浜FCのMF中村(10番)とDF袴田(その右)がガックリ

 上:右側写真/前半45分、3点目を決めた札幌FWアンデルソン・ロペス(右)がアシストしたMF小柏(35番)と手の平タッチして喜ぶ

 上:上段写真/前半追加タイム4分、札幌MF金子(右)が横浜FCのDF高木(24番)をかわして、自身2点目のゴールを決める、左DF田中(2番)。2得点とも金子得意のシュートの型が見えた

■北海道コンサドーレ札幌の金子拓郎選手のコメント
 「開幕戦、しっかり勝とうとチームみんなで話していた。ホームでサポーターの皆さんがたくさんの拍手をしてくれたことで勝利ができたと思います。得点のところは、積極的に打ったからこその得点だと思っている。やはり開幕戦に限らず、結果にこだわらずここまでやってきたので、こうして2得点できたことは本当に良かった。ただし、後半にもチャンスがあったので、そうしたところをもっとしっかり決められるようになっていかなければいけない。個人的にも2得点では満足していたわけではないので、精度のところを高めていきたい」


 上:下段写真/前半追加タイム4分、札幌MF金子(9番)が、チーム4点目となるゴールを決めチームメイトの祝福を受ける。先制点の駒井(14番)、3点目のFWアンデルソン・ロペス(11番)、2得点の金子と前半だけで3人で4得点の快挙、MFルーカス・フェルナンデス(7番)が「俺にもとらせろ!」と駄々をこねてるみたいにも見える


 上写真/後半21分、札幌MF小柏はドリブルで駆け上がり横浜FCのGK六反(44番)と1対1の局面をつくったものの惜しくも左に外しゴールならず。昨年特別指定選手として出場した実績があるとは言うものの、今年新人として先発を勝ち取り、2アシストと得点に絡む活躍を見せた。自身の得点はならなかったが、今後の活躍が期待できそう

■北海道コンサドーレ札幌の小柏剛選手のコメント
 「開幕戦ということで昨季よりも少し緊張していたが、試合が始まったらサポーターの拍手などで後押しをしてもらえたこともあり、良い形で試合に入れたと思っている。ACL出場という目標に向けて、初戦は絶対に勝たなければいけないと考えていた。その中で良い試合ができたと思っている。その中で後半、自分に良いチャンスがあり、最後に決めるだけだったにもかかわらず外してしまったのは反省点。ただ、チームの雰囲気は良いと感じている。今日のようなサッカーをどの相手にも発揮できるように頑張っていきたい。ただし、攻撃の最後の質など、まだまだ磨き上げる必要がある部分はあるので、しっかり改善していきたい」


 上:上段写真/後半32分、札幌MFチャナティップ(18番)が駒井のマイナスのパスを受けてダイレクトにゴールを決める、左へFWアンデルソン・ロペス(11番)、MF小柏

 上:下段写真/後半32分、札幌MFチャナティップ(右)が5点目を決めFWアンデルソン・ロペスに祝福される、左からMF小柏(35番)も走り寄ってくる


 上:上段写真/後半41分に途中出場した札幌へ復帰のMF小野(44番)が、追加タイム4分、ボールをコントロール、試合を無事終わらせる貫禄の動きを見せた。左端FWドゥグラス・オリヴェイラ(33番)、右MF金子、横浜の選手、DF伊野波(19番)、袴田(3番)

 上:下段写真/20年ぶりのJ1開幕戦勝利を喜ぶ札幌の選手たち、左からMF宮澤、DF田中、GK菅野(1番)、DFキム・ミンテ、MF金子、小野(44番)、高嶺、菅(4番)、その後方DF福森、MF深井、FWドゥグラス・オリヴェイラ



 上:左側写真/後半6分、審判の判定に「それは、ないんじゃない?!」といった表情を見せる横浜FCの下平隆宏監督

 上:右側写真/後半32分、特別に用意された椅子に座って杉浦大輔コーチ兼通訳(右)と話す札幌のペトロビッチ監督、この直後にチャナティップが5点目を決めた

■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント(一部抜粋)
 「立ち上がりに良い入りをして、2−0とリードすることができた。そこで追加点を取れるチャンスもあった中でプレスが少し緩み、得点を与えてしまった。ああいう展開ではしっかりと得点しなければいけなかった。ただ、そのあとで選手たちはしっかりと自分たちの戦いの中で素晴らしいコンビネーションから得点をしてくれて、その後も勝利に値する試合をしてくれたと思っている」

■横浜FCの下平隆宏監督のコメント(一部抜粋)
 「非常に痛い。得失点差もそうですし、チームとしてダメージのある敗戦でした。立ち上がりは選手たちにも気をつけて入ろうと話していた中での2失点で、選手たちにもかなりダメージがあったと思う。なかなか攻撃でチャンスも作れなかったが、高木(友也)のクロスからクレーベが決めて、我々にも流れが来そうなところで失点してしまった。その3失点目は非常にダメージが大きかった。我々が同点に追いつこうというところで流れを切られてしまった。後半は我々の左サイド、相手の金子(拓郎)選手のところを抑えるように守備を修正したが、なかなか相手の攻撃を止められず、最後のところで失点して得失点的にも痛いスコアになってしまった。またすぐ試合が来るので、切り替えてやっていきたい」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影