コンサドーレ札幌の王道と遍歴2018年7月号

半分青い
「はんぶんあおい」は成熟してない
NHKアサドラの題名が気になった
サッカーのW杯ロシア大会での教訓
あと一歩でベスト8を逃した日本は
2点リードを90分+で逆転された
漫画の「キャプテン翼」は何を語る

西野朗監督の下サムライブルーの涙
翼だったら如何にこの場を凌いだか
作者高橋陽一氏の「世界」にヒント
漫画家の技巧で選手が育ち心も強い
絵も奇麗だし吹き出しの文も見事だ
ふとノーベル文学賞の候補にと思う

W杯で日本が予選を突破した翌日に
札幌のペトロヴィッチ監督を訪ねた
ポーランド戦のブーイングの結末に
「パス回しはエールの交換」だった
相手FWレバンドフスキは翼ファン
サッカー人生の「バイブル」と言う

マンガは子供の勉強の邪魔の時代に
「アタックナンバーNO1」を見て
東京五輪の「東洋の魔女」を知った
「どかべん」やバスケットなど多彩
本誌が柴田勗代表らと見詰めてきた
「日本サッカー」の夜明けを感じる
コンサドーレ札幌の王道と遍歴

Jリーグ再開に向けた練習中、選手に訓示するペトロビッチ監督。サムライブルーの教訓をJリーグでの戦いに生かしてほしい。6月30日、宮の沢白い恋人サッカー場、撮影・石井一弘

コンサドーレの王道を拓く
サムライブルーの教訓をJリーグで生かせ
 サムライブルー23人のワールドカップ(W杯)2018年ロシア大会の戦いが終わった。90分+3分の15秒前の逆襲でベスト16の戦いは終わった。芝生に突っ伏し、起き上がって空を見上げた。西野朗監督は「背中に感じた芝生の感触。空を見上げて、止めどない涙のレンズで見た空を!忘れないでくれ」。さらにベンチにいた選手には「居心地の悪い椅子の感触も」。いつかまた、これを乗り越えて「上を目指して活躍して欲しい」と言う意味も含んでいたのだろう。あの光景を見た日本人は、サポーター、Jリーガー、スポーツを志す老若男女に伝えなくてはならない。あの光景に立ち会った「宝物にして、いつか歓喜の声を張り上げるために」。
選手団があわただしく帰国
 日本代表が7月5日正午ごろ、帰国した。成田空港には大勢のファン、サポーターらが出迎えた。お決まりの監督・主将・団長に花束が贈られた。
 即、記者会見が行われ、田嶋幸三日本サッカー協会会長(JFA)、西野朗監督、長谷部誠主将(Eフランクフルト)が、それぞれあいさつ「皆様(記者)のバックアップと国民の皆様の盛大な応援と励ましをいただきましたが、目指すところには届きませんでした」。
 それでも3度目のグループリーグ突破と決勝トーナメントでベルギーに2得点を先制しながらの2−3の逆転負け、4年後には―の、希望すら感じさせるコメントもあった。
 この約1時間後の午後1時過ぎのNHKニュース速報で、田嶋会長が「西野監督は、任期満了(7月末)のため退任する方針です」旨の発表があった。
 西野監督は、「選手たちとは46日間の付き合いでした」と会見のたびに語っていたが、自らの見解では語っていなかった。23人のサムライの中には、早々に「身を引きたい。後輩に道を譲る」などと言う意思表示をした選手もいたが・・・。
 もう一度4年後の「誓い」をして欲しかった。ふと今年の正月、全国サッカー選手権大会で初優勝した前橋育英高校(群馬県代表)の監督山田耕介校長(58)が目に浮かんだ。雌伏36年目の涙を見た。
こんな先生から離れられるか
 長崎の小嶺忠敏先生(76)と言うよりも、2018年全国高校サッカー選手権大会初優勝の前橋育英高校サッカー部監督山田耕介校長の島原商業時代の監督と言った方がわかりやすい。たぶん現在のJリーグ加盟54チームの選手では、この二人に習った選手が一番多いはずだ。
 山田監督は島原商業高から法政大を出て、群馬に居を構えた。何度も小嶺先生(現・長崎総合科学大特任教授)は、「帰って来いよ」と言ったが、「生徒たちと離れられん、ですよ」と。
 それから36年、全国ではベスト4、準優勝は何度か繰り返したが、昨年2017年の決勝で青森山田高校に0−5で大敗した。同じ高校生で「こんなことはない。0−5で敗れたことを一時も忘れるな」と練習を重ねた。開けて2018年第96回全国高校サッカー選手権大会の決勝で流通経済大柏に1−0で勝った。それも90分+2分の勝利だった。「0−5の差を忘れるな」と大きな屈辱の負債を生徒と監督が共に背負った結果だったという。
西野監督の采配は正解だ
 FWは岡崎慎司、大迫勇也、武藤嘉紀。
 MF長谷部誠、本田圭佑、乾貴士、香川真司、山口蛍、原口元気、宇佐美貴史、柴崎岳、大島僚太。
 DF長友佑都、槙野智章、吉田麻也、酒井宏樹、酒井高徳、昌子源、遠藤航、植田直通。
 GK川島永嗣、東口順昭、中村航輔=以上23人。
西野朗監督のコメント GKの2人と、MF僚太、DFの航と植田で後は使い切ったよ。選手がみんな良い勉強をしてくれたと思う。今度やったら勝てるかな。
 オーストリアキャンプではいろいろな絵を描いたが、4バックを貫いて良かった。
 試合の方はコロンビア(得点者香川・大迫2−1)に勝って、ホッとした。セネガル(乾・本田2−2)で勝ち点4。あとは引き分けでも通過できる場面でポーランドと対戦、連敗のポーランドの欠落は決まり、逆に開き直りが怖かった。結果的には失点して同点に追いつくことになったが、コロンビアがセネガルに1−0で勝っている情報が入り、このままで終われば、得失点差は4−4で同じ。今回から導入された「フェアプレーポイント」でセネガル反則6、日本同4で「突破できる」。この状況が判明したのが後半33分。
 日本チーム内で徐々に伝わり、スタッフが「これで行こう」を決めて長谷部を投入したのが37分。1−1の同点を狙うよりも失点をしない方を選んだ。相手も分かったのか攻めてこない。「無気力試合」気味になったが、後半の45分過ぎて、アディショナルタイム3分の長かったこと。
決勝トーナメントが目標
 これまでのW杯では2002年韓国・日本大会と2010年の南アフリカ大会と今回でベスト16に勝ち進んだ。2002年はトルコに0−1、10年はパラグアイと0−0の延長の末PK戦(3−5)で敗退。今回はベルギーに2−3で敗れた。徐々にベスト16からベスト8が見えるような勢いが出てきた。西野監督(63)は、JFA役員のマキシマムエイジからいうと4年後は再び役員兼監督で名を連ねられる。単独監督なら制限はないが、もう一度頑張ってほしい。7月20日にJFAの技術委員会があるという。西野朗氏の再任を望む。
W杯日本の監督と得点者
 日本がアジアの予選を勝ち抜いてW杯に参加できたのは1998年フランス大会。岡田武史監督がアルゼンチン(0−1)、クロアチア(0−1)、ジャマイカ(得点者中山雅史1−2)で敗退。
 2002年韓日大会。フィリップ・トルシエ(フランス)監督でベルギー(鈴木隆行・稲本潤一2−2)、ロシア(稲本1−0)、チュニジア(森島寛晃・中田英寿2−0)、トルコ(0−1)。
 2006年ドイツ大会でジーコ(ブラジル)監督。オーストラリア(中村俊輔1−3)、クロアチア(0−0)、ブラジル(玉田圭司1−4)。
 2010年南アフリカ大会で岡田武史監督。カメルーン(本田圭佑1−0)、オランダ(0−1)、デンマーク(本田圭佑・遠藤保仁・岡崎慎司3−1)、パラグアイ(0−0PK戦3−5)。
 2014年のブラジル大会はアルベルト・ザッケローニ(イタリア)監督。コートジボワール(本田圭佑1−2)、ギリシャ(0−0)、コロンビア(岡崎慎司1−4)。
 2018年ロシア大会は西野朗監督で、日本はベスト16に進出したがベルギーに敗れ姿を消した(原口元気・乾貴士2−3)。組別対戦はコロンビア(香川真司・大迫勇也2−1)、セネガル(乾貴士・本田圭佑2−2)、ポーランド(0−1)。
本田3大会連続ゴール
 日本は1998年W杯の舞台に登場6大会連続出場している。初登場のフランスで初得点を挙げたのは中山雅史だった。中心選手は、井原正巳、中田英寿、名波浩、秋田豊、川口能活GKがいた。
 2002年は鈴木隆行、稲本潤一、森島寛晃、中田英寿が得点、宮本恒靖、小野伸二、中田浩二らユースで活躍した選手が顔をそろえた。
 06年は、中村俊輔、玉田圭司がドイツを舞台に活躍、中田英寿、川口能活、中澤佑二、三都主アレサンドロ、高原直泰ら期待されたメンバーも多かった。
 10年は、長谷部誠、遠藤保仁、本田圭佑、長友佑都、大久保嘉人、田中マルクス闘莉王らで2度目の決勝トーナメント出場に寄与した。この試合から14年、18年と本田が得点、3大会連続ゴールを挙げている。
日本人監督にリスペクトを
 西野朗監督が「今回限りの約束で引き受けた」と田嶋会長の口から出た時には驚いた。日本人監督は岡田武史氏に次いで2人目。ワールドカップに6回連続で出場している日本。そろそろ方向転換を考える時期だ。一つの大会が終わると、すぐ次の監督を探す。それでいて4年間無事に選手を率いて「全うして、リスペクト」されたのは、16強に導いたトルシエ氏と、1次リーグ敗退だがジーコ氏、ザッケローニ氏ぐらいだ。外国の事情を見ても、今年のドイツのように結果を残せない「コーチ」がいる。 
 既に「次は〇〇〇氏」と、メディアの競争が始まり、風評で左右される。FIFAの国別ランクも「よろしく」で決まりそうだ。日本のサッカー協会の地方組織も「一存」が多すぎる。会長推薦の時期幹部が、理事会、評議員会でボイコットされる例も少なくない。
 西野さんが、46日の付き合いだったというが、欧州各国でもリーグ、選手権が終わった段階からなら、2、3か月の「親身な付き合い」ではないか。さらにその国のチームでプレーしている選手が少ないところもある。W杯や五輪の年だけ母国に帰る選手も多い。ジャパンにしても、23人中8人が国内のJリーガーで、あとは(横文字のチーム名)が入っている。監督は日本人で良い。スタッフのパートにGK、DF、MF、FW。トレーナーなど専門的なコーチを外国から招聘するほうが、多岐にわたって学べそうな気がする。
コラム「半分青い」のこと
 スポーツマンガが話題になっている。NHKの「半分、青い。」の「。」句読点の意味は分からない。今年のJリーグ現在5位の北海道コンサドーレ札幌に背番号36で登録している松山光は、ふらの市出身。人気漫画「キャプテン翼」のボランチでストライカーの翼にキラーパスを出す。原作者・高橋陽一氏はサッカーのほか北海道日本ハムファイターズの大ファンで大谷翔平とのコラボレーション企画に関わるなど北海道とのつながりも深い。古い読者としてはGK川口能活が大ファン。最近は海外向けに翻訳された物も出版されており、サッカーの「バイブル」として読者も多い。ちょうどNHKの朝のドラマが、現代の漫画家の物語。主人公の鈴愛が可愛い。サッカー漫画に進んでくれると、勝負が出来ると思うよ。
道新のワールドカップ何か変
 道民の主読紙・北海道新聞のワールドカップの扱いがカラーをふんだんに使って見事にサッカーの醍醐味を見せてくれている。どこから読んで良いのか戸惑うほどだが、全て同じような記事。よく読むと(共同)、(AFP時事)とか、通信社の記事ばかり。久しぶりに通信社の切り口にお目にかかったが、どこかのスポーツ紙を読んでいるようだ。
 時折入る(株)コンサドーレの野々村芳和社長の記事が「面白い」ようでは、残念だ。「2020年東京五輪・パラリンピック」を見据えて、選手、監督、コーチらの「地物」を見たい。NHKが得意の視聴者の応援歌「応援メッセージ」が、多岐にわたっていて面白い。「サッカーなんかやめちまえ」は、深夜の嫌がらせか。
                                                   (池田 淳)