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旭川実業が3年連続7度目の快挙

18・11・11
 上写真/旭川実業高校応援団の前で、3年連続代表の喜びの記念撮影。高校生活3年間の思い出に残る3連覇で三本の指を掲げる選手も・・・(写真はいずれも10月21日、札幌市厚別運動公園競技場、Photo ・Jun)

第97回全国高校サッカー選手権北海道大会

 高校サッカーの集大成、第97回高校選手権大会北海道大会は10月21日最終日を迎え、札幌厚別公園競技場で決勝戦が行われた。午前11時45分キックオフで、旭川実業高校と北海道大谷室蘭高校の間で行われた。道大谷室蘭が前半25分に先制したが、同38分に旭実が同点として、約2千人の観衆が見詰める中でのせめぎ合いが行われた。

 秋晴れの気温20度前後で、絶好のコンディション。ややボールキープ率が上まわった旭実が後半18分、スローインからの展開から相手GKともみ合ってはじき出されたボールを旭実MFが決め、2−1の僅差で優勝した。今大会は今月13日から、インターハイ、プリンスリーグの8チームと、各地区予選を勝ち抜いた28チームで行われていた。

 本大会は、12月30日から埼玉スタジアム2002を中心に関東地区で開催される。

 頂点に立ったのは旭実で3年連続7度目。準優勝の道大谷室蘭は「室蘭大谷」時代を含めると本大会に30回出場して、1978年第57回大会で準優勝、3位1回、ベスト8は3回。準優勝は高橋正弘監督時代。古河第一高に1−2で敗れた(高橋先生は52歳で没)。

 旭実は、第79回大会に初出場、これまでは3回戦進出が最高。今回は富居徹雄監督が日頃「北国だから仕方ない」の言葉を「返上したい」という。そう言えば室蘭大谷が準優勝した年、九州から小嶺忠敏監督(73)が来道した。室蘭はどんなところで練習しているのか―とわざわざ訪ねてきたという。「ゴールポストが雪に埋まっていた」。「こんな所のチームが決勝まで進んだ。島原(商業高教員時)なんか楽なもんだ」と言った。それからの小嶺時代を築いていったという(話し相手は高橋さんだったと思う)。

 上:1段目写真/北海道大谷室蘭が先制点。前半25分、キャプテン引間太聖のCKキックに窪之内新太=左先頭=が決める。白のユニホームが乱舞。旭実GKの黄色いユニホームは無残にも埋もれる。旭実、エンジのプレーヤーの姿は見るも呆然と見るも無残
 上:2段目写真/室蘭ベンチ前に飛び出す及川真行監督。控え選手も満面の笑みとガッツポーズ
 上:3段目写真/旭実の反撃。22番と10番のトップ、谷口明典・西村歩夢にボールが収まりだす。前半38分CKを得て8番山内陸がキック。中央のポイントゲッター西村にターゲットを絞ったボールは、ファーサイドへ。競り合いもなくDF江崎直樹が蹴り込んだ
 上:4段目写真/前半で1−1に追いついた旭実イレブン。メインスタンドは期待の一戦で2千人の観衆が詰めかけていた


それでは「戦評」です 

 公式記録の評は、釧路工業高の山崎直哉氏が書いていました。旭実のパターンは4−4−2で、室蘭は5−4−1。やはり旭実の方が攻撃型のスタイル。初得点は少ないチャンスを室蘭がモノにした。CKを引間大聖(キャプテン)がゴール中央に入れ、混戦の中から左にいた11番窪之内新太が決めた。25分の出来事だった。バスで駆け付けた室蘭応援者が見られたか。

 これで旭実が、2トップの谷口明典(コンサドーレ旭川U−15)とプリンスリーグ得点王の10番西村歩夢(コンサドーレ札幌U−15)の2人をターゲットに攻撃に転ずる。38分にCKを得て、MF山内陸(背番号8)がキッカー。中央の10番西村がターゲットだったのか、ここを飛び越してファーサイドのDF江嶋直樹の足元に来た。プッシュで決めて同点。

 このまま後半戦へ。旭実が風上で、バックスタンド旭川応援団のサイドの方に攻めた。この試合は40分ハーフで5人までの交代が認められている。旭実が前半の35分に、MF飯野敬太(コンサドーレ札幌U−15)に代えて、トップ下のMF遠藤正志(アンフィニMAKI)を入れたのも見逃せない好采配だったと感じた。

 後半18分の勝ち越しゲットは、旭実の右サイドのスローインから。22番谷口が、2、3歩離れた場所からロングスロー。ゴール下に入ったMF河合悠人がうまかった。相手マーカーの内に入ってもオフサイドが取られないスローイン。ここの利点をすべて利用した動きで、ゴール下に来て突き上げたヘディング。GKがはじき出した先には、この日の当たり屋の8番山内がいた。難なくゲットして、突き放した。

 室蘭GK佐藤輝也は「今回のチームは失点を少なく最高の守りをしたが、相手がそれを上回った」と兜を脱いだ。

 
両監督の話

 富居徹雄監督は「ベスト4やベスト8を目標に、もはやどこが相手でも、選手と共にやることを成し遂げてきたい。90人以上の選手を抱え、それぞれの選手が自覚を持って行動していきたい」。

 及川真行監督は「6月から高校総体予選で結果を残せなかったり、苦しいシーズンだった。それでも選手は諦めずに最後まで努力してくれた。これが来期につながるように頑張っていきたい」。


最後にもう一つ

 今回の大会には、気の毒なことが発生していた。競技場の隣りを高速道路が走っている。試合開始時間に「到着するはず」が、事故で通行止めだった。室蘭方面だったので、「室蘭応援団は、間に合ったのだろうか」。この後、秋晴れの真っ青の空に、一塊の雲がよどんでいた=下写真=。不気味なぐらいだった。(池田 淳)
 上:1段目写真/ハーフタイムのピッチはほとんど風もなく秋晴れ。20度前後の気温も「後半に期待」の熱が入る。ぽっかりと浮かんだ雲は室蘭応援団の頭上。決して暗雲ではない真っ白な達磨雲。1−1の同点で迎える後半の得点はどちらに―。
 上:2段目写真/こんな時に迷うのは「報道カメラマン」。なんと室蘭ゴール側にずらりと並んだ。微風ながら後半風上に位置し、バックスタンドの応援席側に向かって攻め込む旭実。さらにプリンスリーグでコンサドーレ札幌U−18を破った実績から「暗雲より実績」で、「後半は」と決めた
 上:3段目左側写真/いつものように腕組みをして戦況を見守る富居徹雄監督
 上:3段目右側写真/テレビ中継をしたSTVにインタビューを受ける決勝点を挙げた旭実の山内陸(SSS出身)。高校サッカーの中継はラジオの時代から、観たり、聞いたりしてきた。まだ札大グラウンドが会場の時、STVアナウンサーは小林裕幸、解説は池田達彦のメンバーで、阿久悠作詞「ふり向くな君は美しい」(三木たかし作曲)はもう聞こえない。青春時代をありがとう。写真は(Photo ・Jun)でした。


ふり向くな君は美しい(ザ・バーズ 三木たかし)

ふり向くなよ ふり向くなよ 君は美しい
戦いに 敗れても 君は美しい
今ここに 青春を 刻んだと 
グランドの土を 手にとれば
誰も涙を 笑わないだろう
誰も拍手を 惜しまないだろう
また逢おう いつの日か
また逢おう いつの日か
君のその顔を 忘れない

うつ向くなよ ふり向くなよ 君は美しい
くやしさに ふるえても 君は美しい
ただ一度の めぐりくる 青春に
火と燃えて 生きてきたのなら
誰の心も うてるはずだろう
また逢おう いつの日か
また逢おう いつの日か
君のその顔を 忘れない

池田 淳