サッカーアラカルチョ
一覧に戻るヨーロッパサッカー回廊『ワールドカップ近づく』
10・05・11
いよいよワールドカップが近づいてきた。日本もメンバーを発表し、意気込んでいるが、果たして賭け率200分の1、出場国32ヶ国の中でWorst4の賭け率で予選を突破できるのであろうか。
5月30日のオーストリア、グラッツでのイングランドとのフレンドリーマッチでその行末は占えるであろう。と言うのはこの試合イングランドは30名の選手を召集し、そこで7名を落とす選抜試合としているからである。それだけに生き残りをかけた選手は死に物狂いで日本にというより、相手国なぞ意識せず本気を出してくるのではないだろうか。際どいファールもあろう。そして監督にアッピールするため強さを示す選手、速い展開をする選手、相手を突き飛ばす選手も出てくることであろう。
本大会の調整試合として日本が捉えていたら、けが人も出てくることも予想しなければなるまい。軽い岡崎、玉田あたりはイングランドのセンターバックに吹っ飛ばされてしまうかも。日本でフィジカルに対応できるのはトゥーリオと本田ぐらいかも。日本の選手はこころしてこのフレンドリーマッチに臨む必要ありである。
そのカウンターパートのイングランドは賭け率11分の2で、スペイン(4分の1)、ブラジル(5分の1)に次いで3位にランクされているが、ルーニーが現在怪我に泣いており、ルーニー無きイングランドは得点源が乏しく果たしてベスト8へ残れるかも疑問である。
ワールドカップはヨーロッパ選手権とは違い、各グループの勝ち残りベスト16の予想は立てやすい。それだけ実力差がヨーロッパ勢と南米勢を除いたアジア、中南米、アフリカ(アイボリーコーストが10位にランクされているが)オセアニア勢とでは大きい。いつもの大会の通り、ヨーロッパからのスペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、オランダ、フランス、と南米ブラジル、メッシを擁するアルゼンチンが勝ち残るのではないかと予想が立つ。
『4位を』と日本がいうのはやさしいが現実は全く無理な話であろう。それはプレースタイルにも表れている。日本でプレーしている選手は日本流のプレースタイルの中でプレーしている。つまり速さが上記国とは圧倒的に違う。
速さとは100mを走る速さではない。判断の速さ(頭の中に地図がかけている、その地図も秒毎に変化する地図であり、どこにスペースがあるか、そこにどのくらいの速さのボールを正確に蹴れるかの速さである)とボールの動きの速さである。ボールに翻弄されず、そのボールの速さに対応した動きとコントロールが出来なければその場に立てないと考えた方が良い。この速さに対応できる選手が日本の23名の中に何人いるのであろうか。あえて言えば、現在ではHondaぐらいではないだろうかというのが英国のサッカー関係者の感触である。ShunsukeはDeadballには通用するが速さは減速されてきている。Hasebeは90分持たない。
この速さを追求すると、答えは『10歳から14歳のGolden Age』にと言う答えが返ってくる。判断の速さは頭の速さでもあり、この時代にいわゆるTactics(戦術と言っているが、フットボールの常識とした方が適訳ではと思っている)を徹底して叩き込まれているかである。いい試合を見て自分に照らす、いいコーチに巡り合い、修正される。というステップを踏んでいない選手が急にいくら速さを要求されても出来ないのは致し方ないことである。
そして前号でも指摘したが、速い正確なボールをパス、キックでき、そのボールを瞬時にコントロールできる、これこそ技術(スキル)をドリルによって習得する時期こそ、この年代なのである。勿論、選手によっては取られないと言う前提での速いドリブルも武器になる。
先日久しぶりに日本のJリーグを見たが一番印象に残っているのは『パスのボールが遅い』ことであった。芝が深いのかと思ったらよく刈り込んであった。遅いと言うより緩いのである。シュートはふかす。多分ジュニア―ユース時代曲げるボールしか蹴っておらず、体重を乗せたインステップキックでの低い弾道のシュートが出来ないのであろう。練習不足、或いはコーチングの問題としかいいようがない。そしてフットボールは点を取るスポーツなのにゴール前に攻撃側の選手が間に合っていない。運動量(点を取る為に意識不足とゴールへのポジショニングの地図がぼやけている)不足。
どうもフットボールはComputerGameと同じくGameでしかないという感覚に陥ってしまったのかもしれない。ボールを奪い点を取るという単純なスポーツであるはずが、難しく御託を垂れているGameになってしまったようである。
どこでJapanは違った方向へ行ってしまったのか。このワールドカップで答えが出てくることは間違いない。そしてその後は?
◆筆者プロフィル
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−04:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08 :JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
現在:T M ITO Ltd.(UK)代表取締役
5月30日のオーストリア、グラッツでのイングランドとのフレンドリーマッチでその行末は占えるであろう。と言うのはこの試合イングランドは30名の選手を召集し、そこで7名を落とす選抜試合としているからである。それだけに生き残りをかけた選手は死に物狂いで日本にというより、相手国なぞ意識せず本気を出してくるのではないだろうか。際どいファールもあろう。そして監督にアッピールするため強さを示す選手、速い展開をする選手、相手を突き飛ばす選手も出てくることであろう。
本大会の調整試合として日本が捉えていたら、けが人も出てくることも予想しなければなるまい。軽い岡崎、玉田あたりはイングランドのセンターバックに吹っ飛ばされてしまうかも。日本でフィジカルに対応できるのはトゥーリオと本田ぐらいかも。日本の選手はこころしてこのフレンドリーマッチに臨む必要ありである。
そのカウンターパートのイングランドは賭け率11分の2で、スペイン(4分の1)、ブラジル(5分の1)に次いで3位にランクされているが、ルーニーが現在怪我に泣いており、ルーニー無きイングランドは得点源が乏しく果たしてベスト8へ残れるかも疑問である。
ワールドカップはヨーロッパ選手権とは違い、各グループの勝ち残りベスト16の予想は立てやすい。それだけ実力差がヨーロッパ勢と南米勢を除いたアジア、中南米、アフリカ(アイボリーコーストが10位にランクされているが)オセアニア勢とでは大きい。いつもの大会の通り、ヨーロッパからのスペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、オランダ、フランス、と南米ブラジル、メッシを擁するアルゼンチンが勝ち残るのではないかと予想が立つ。
『4位を』と日本がいうのはやさしいが現実は全く無理な話であろう。それはプレースタイルにも表れている。日本でプレーしている選手は日本流のプレースタイルの中でプレーしている。つまり速さが上記国とは圧倒的に違う。
速さとは100mを走る速さではない。判断の速さ(頭の中に地図がかけている、その地図も秒毎に変化する地図であり、どこにスペースがあるか、そこにどのくらいの速さのボールを正確に蹴れるかの速さである)とボールの動きの速さである。ボールに翻弄されず、そのボールの速さに対応した動きとコントロールが出来なければその場に立てないと考えた方が良い。この速さに対応できる選手が日本の23名の中に何人いるのであろうか。あえて言えば、現在ではHondaぐらいではないだろうかというのが英国のサッカー関係者の感触である。ShunsukeはDeadballには通用するが速さは減速されてきている。Hasebeは90分持たない。
この速さを追求すると、答えは『10歳から14歳のGolden Age』にと言う答えが返ってくる。判断の速さは頭の速さでもあり、この時代にいわゆるTactics(戦術と言っているが、フットボールの常識とした方が適訳ではと思っている)を徹底して叩き込まれているかである。いい試合を見て自分に照らす、いいコーチに巡り合い、修正される。というステップを踏んでいない選手が急にいくら速さを要求されても出来ないのは致し方ないことである。
そして前号でも指摘したが、速い正確なボールをパス、キックでき、そのボールを瞬時にコントロールできる、これこそ技術(スキル)をドリルによって習得する時期こそ、この年代なのである。勿論、選手によっては取られないと言う前提での速いドリブルも武器になる。
先日久しぶりに日本のJリーグを見たが一番印象に残っているのは『パスのボールが遅い』ことであった。芝が深いのかと思ったらよく刈り込んであった。遅いと言うより緩いのである。シュートはふかす。多分ジュニア―ユース時代曲げるボールしか蹴っておらず、体重を乗せたインステップキックでの低い弾道のシュートが出来ないのであろう。練習不足、或いはコーチングの問題としかいいようがない。そしてフットボールは点を取るスポーツなのにゴール前に攻撃側の選手が間に合っていない。運動量(点を取る為に意識不足とゴールへのポジショニングの地図がぼやけている)不足。
どうもフットボールはComputerGameと同じくGameでしかないという感覚に陥ってしまったのかもしれない。ボールを奪い点を取るという単純なスポーツであるはずが、難しく御託を垂れているGameになってしまったようである。
どこでJapanは違った方向へ行ってしまったのか。このワールドカップで答えが出てくることは間違いない。そしてその後は?
◆筆者プロフィル
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
89−04:日本サッカー協会欧州代表
94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
08 :JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
現在:T M ITO Ltd.(UK)代表取締役
伊藤 庸夫