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ヨーロッパサッカー回廊 『イングランドフットボール富豪の総収入は』

09・01・17
 日本の国家予算に匹敵する約85兆円をイングランドのフットボール経営者と選手が保有していると英国のFour Two Fourという雑誌で報じている。イングランドのトップクラブが株式上場しだしたのは1992年、ロンドンのクラブ、トッテナム・ホトスパーであり、現在は殆どのプレミアリーグのクラブは上場している。そのためクラブ買収は一般の企業買収と同じく頻繁に行われている。
 
 近々では、ロシアの石油王といわれるユダヤ系ロシア人のアブラノビッチが赤字で苦しむチェルシーを買収し、プレミアのトップクラブに押し上げたのを皮切りに、マンチェスターユナイテッドもアメリカのマルコム・グレーザーファミリーに買収された。その後アストンビラ、リバプールと買収され、今年にはアブダビの富豪シェイク・マンスール・ビン・ザイド・アルナヤンがマンチェスターシテイを買収した。
 
 彼らの資産は一体どのくらいあるのか、まず第1位は上記アブダビの富豪で21兆円(140円/ポンド換算)、2位にはQPR(プレミアの下、チャンピオンシップ所属)のオーナーであるインドの富豪ラクスミ・ミタルファミリーの17兆5千億円、昨年までトップであったアブラノビッチ氏は原油価格の下落で4兆円強を失ったとはいえまだ10兆円の資産を持ちチェルシーに投資をし続けている。
 
 過去、英国人以外の投資を避けていたアーセナルもロシア人アリシャー・ウスマノフ氏が役員に入り、彼も2兆円の資産家。日本円にして1兆円以上の資産家はアストンビラのオーナーアメリカ人ランデイ・ラーナーの1兆円まで15人に上る。100人までの投資家の総資産額は何と85兆円になる。
 
 そこまで投資してリターンはあるのか、またこの世界金融不況の中で大富豪といえども没落の憂き目に落ちいるオーナーも出てくるのではないだろうか。その中でマンチェスターシテイはACミランのブラジルの至宝カカに1億75百万ポンド(245億円)を投資するオッファーをすると。もし実現すれば史上最高の投資額となる。この1月31日までのトランスファーデッドラインまでに移籍できるか。注目!
 
 さて選手はどうかというとベッカムが全体の38位1億25百万ポンド(175億円)でトップ。2位はマイケル・オーエン64億円、監督ではマンチェスターユナイテッドのアレックス・ファーガソンが31億円、アーセナルのベンゲルは20億円。ベンゲルを日本代表監督にという願いはこれだけの報酬を出せるかであろう。
 
 このような投資の対象となっているプレミアーリーグクラブに対しての投資制限を設けるべきとの識者の意見もあるが、マーケット自由主義の英国ではサブプライムローンでの銀行破綻に対しての公的支援は行ったが、スポーツのフットボールにというわけには行かないと見ている。バブルが弾けるのか、しかしこれだけの資産家の「遊び金」にすぎない投資は不況のこの世の中でも続くのであろう。世界にはまだまだお金が余っている者も居るのである。
伊藤 庸夫