サッカーアラカルチョ

一覧に戻る

ヨーロッパサッカー回廊『マイケルオーエン復活か』

09・07・11
 クリスチャン・ロナウドを128億円の史上最高額でリアル・マドリッドへ移籍させ、更にアルゼンチン代表テベズを放出(7月8日現在移籍先未定ながらマンチェスターシテイへの移籍が有力)する予定のマンチェスターユナイテッドはストライカーの補充が急務となった。
 
 監督アレックスファーガソンはストライカー不足を補うため、元イングランド代表、降格したニューカッスルのストライカー、マイケル・オーエンを今夏フリー(移籍金無し)で獲得した。
 
 オーエンはリバプールで活躍、レアルマドリッドへ移籍したがベッカムと違い、出場機会が少なく1年で解雇され、ニューカッスルへ移籍。しかし足首、膝の故障もありここ数年はだましだましのプレーに終始、得点力も落ち、イングランド監督カペッロも代表に呼ばなくなり、来年の南アでのワールドカップ出場も赤信号となっている。
 
 果たして1998年のワールドカップ、アルゼンチン戦で見せたワンダーゴールは復活するのか。
 
 ファーガソン監督は「マイケルの怪我は良くわかっている。しかし得点能力と嗅覚はまだまだトップクラス。うちのシステムには合っており、きっと復活する。期待している。」と。
 
 筆者はオーエンが20歳の時、彼にインタビューしたことがある。オーエンは最後のThe FAスクール(全英15歳、16歳選抜のスクール2年間の全寮制)の卒業生であり、このFAスクールからはソル・カンベルなど多くの代表選手が生まれている。
 
 オーエンは学力でも優等生であり、GCSE(16歳、義務教育期間での科目別国家試験)10科目合格であった。もし大学を目指せば入学できるだけの学力も有していた。(因みに英国の大学への入学はGCSE最低5科目以上合格、その科目の中から3科目以上をコレッジで受講しAレベル(18歳での科目別国家試験)を合格する必要がある。従い、大学でのフットボーラーは稀有の存在である。その時オーエンは「大学へ行くことは考えていなかった。プロ選手として世界に出たいというのが夢であった。
 
 FAスクールを出た後、憧れのリバプールのユースに入り得点を重ねた結果、18歳でワールドカップへ出られたのは名誉でもあり、嬉しかった。」と当時語ってくれている。非常に温和でインテリジェンス溢れる典型的イングリシュジェントルマンであった。 
 
 その時点では、イングランドの代表最高点獲得者、ボビー・チャールトンの49点を抜くのではないかと思われていたが、結局怪我に泣いたここ5−6年であり現在代表から外されているがまだ29歳、ベッカムが未だ代表に入っている状況の中で、オーエンもマンチェスターでのルーニーとのコンビで得点を量産すればまだまだ代表復活も夢ではない。
 
 またユナイテッドにはギッグス、ガリー・ネビル、スコールス、リオ・ファーデイナンドと同年代の代表仲間がおり、お互いの良さを理解しているのでニューカッスルでのプレーとは違ったプレー振りを発揮してくれるのではないかと期待されている。
 
 ベッカムと共にイングランドの顔として君臨したゴールデンボーイの復活なるか、クリスチャン・ロナウドなきプレミアが燃えるか、今年のプレミアも目が離せない。
 
 
伊藤 庸夫