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ヨーロッパサッカー回廊『いよいよワールドカップ』

09・06・11
 ヨーロッパのシーズンも終わり、現在は来年行われるワールドカップの事前準備として南アでコンフェデレーションカップが行われている。治安問題は大丈夫なのか、スタジアムの建設が間に合うのか、交通、ホテルなど、インフラの整備が整うのかなどの課題が多いなかで試金石となる大会となっている。
 
 日本が世界で最初の本大会出場を決めたが、このコンフェデでの対応により、代表チームだけでなく、サポーターの応援ツアーが安全かつ確実なものであるか検証し、来るべき来年6月に備える必要がある。
 
 1996年1月南アでアフリカネーションズカップが行われ、日韓両国はワールドカップ開催を巡って熾烈な誘致合戦を展開していた。その当時でも既にヨハネスブルグは危険な町として一般外国人、白人は足を踏み入れることを控えるようにと言われていた。筆者が1988年頃ボツアナで発電所のプロジェクトを行っていた当時はヨハネスが南アの産業の中心としてそれほど危険な町ではなかった。それが数年で様変わりしたのである。白人からみると逆アパルトヘイトとでもいうのかヨハネスの中心街から企業の事務所、ホテルは近郊の町へ移転、ヨハネスは犯罪の多い都市に変わってしまったのである。
 
 その悪名を払拭でき、安全な町に変革できるのか、コンフェデを見て、そして来年のワールドカップに期待をかけたいところである。
 
 さもないと、安全第一を考えると南アに入ったらパッケージツアーで自由行動のない移動を余儀なくされてしまい、サファリ、ケーブルマウンテン(ケープタウン)、ビクトリアフォール(ジンバブエ)の観光もせずただ応援に行ったということになってしまう。これは南アの人々もFIFAもサポーターも望んでいないことであろう。
 
 ヨーロッパでも夜の一人歩きは決して安全ではない。ましてや南アにおいてもや。
 
 残念ながらこのコンフェデに日本は出場できない。アジアからはイラクがアジア選手権覇者として出場する。しかしこの機会に南アへ出向き状況調査をすることは必要である。多分決勝はスペイン対イタリアまたはブラジルとなる確率は高い。見たい試合ではある。
 
 このワールドカップ予選は既に日本、韓国、オーストラリアのアジア勢とオランダが決めている。しかしクリスチャンロナウドを擁するポルトガルが出場できるかは厳しい。ロナウドなきワールドカップは画竜点睛を欠くとしか言いようがないが、また新たなヒーローが生まれる本大会になって欲しいものである。
 
 もう一つの願いは来年度シーズン(今年の9月から)、UEFAカップでは6人審判制となることが決まった。従来から問題となっていたゴールが入ったのか入らなかったのか、そのためにボールにチップを埋め込みゴールポストにセンサーを設置し判定するとか、ビデオでの検証をするとかの案はあったが、やっとゴールラインに2人の審判を置き、副審(ラインズマン)2人と主審そして第4審の6名で判定を明確にするもの。この方式をW杯でとるかはまだ決まっていないが、決まればそれは画期的なことであろう。
 
 FIFAのルールは伝統的にインターナショナル委員会で現在のイングランド、スコットランド、ウエールス、北アイルランド協会の合意で決まる。デジタル的なビデオとかカメラなどを導入せず、人間の判断で判定を決めるというのは紳士のスポーツとしてきたフットボールならではのこととして興味は深い。
 
伊藤 庸夫