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マリーニョからのレシピ『ピッチ内では自由にプレーさせよう!』

09・05・11
 私は、今までサッカーとフットサルを通じて、子どもたちとたくさんの交流や活動を行ってきました。これは、私にとっても大きな財産ですし、体の動く限り続けて行きたいと思っています。その中で、指導現場の方と話す機会も多いのですが、日本人の性格や特性を踏まえた上で、世界に通じるサッカーを目指して欲しいなと願っています。
 
 まず、サッカーの中で特に大事にして欲しいことは、プレーヤーはピッチに入ったら、先輩や後輩、年齢も関係ないし、自由にプレーできるんだ、ということです。ボールを持ったら自由な発想でプレーして欲しいし、もしドリブルで全員抜いてゴールを決められるなら、そのまま決めればいい。でも、それが通用しないなら、工夫が必要だけどね。
 
 そして、大事なのは自分の自由があるということは、人の自由もあるということを考えなければなりません。それは、自分の自由が終わったら、他の人の自由が始まるということです。だから、自由にしていいからといって、全部自分勝手にしていいこととは違うんだ。また、自由にするには、その分責任があるってことも覚えなくてはならないでしょうね。
 
 それで、これは絶対に守って欲しいことなんだけど、ピッチの中では自由にプレーしてもいいけど、ピッチの外に出たらそこは切り替えて、社会のルールとかマナーとかをしっかり守れる人間にならなければなりませんよね。これは、私たちサッカーの指導者にも責任がありますが、ピッチの中では自由にやらせて個性を伸ばす指導をして、でも一歩ピッチの外に出たら、それは違うんだよと、十分に教えなければならないでしょう。
 
 でも、日本の子どもたちは、プレー中でも、チームプレーを優先して、人に迷惑をかけてはならないという気持ちが強いかもしれないですね。それは、一般的には日本人の美徳になる部分とも言えるけど、世界で考えたときには、特にストライカーにはなれないかもしれないね。やっぱり、ストライカーは我が強くないと伸びない部分もあるからね。
 
 コンサドーレ札幌にも在籍した、ウィル、エメルソン、フッキを見ていれば分かるでしょう(笑)。今ポルトで活躍しているフッキなんか、Jの試合で、1人で20本シュート打ったこともあるんだよ。こんな選手めったにいないよね。

 エメルソンは札幌に在籍しているときに話をしたんだけど、私が「もっと周りの選手を使ったら?」とアドバイスしたら、何て言ったと思いますか? エメルソンは「だって、周りの選手にパスしてもミスされるから、自分が打ってミスした方がいいでしょ!」と、ストライカーらしい我の強さでしたよ。ある意味さすがだね(笑)。でも、プレー中は我が強くても、普段は普通にいいやつなんだよね。その辺の切り替えは、ブラジル人は上手いと思うな。
 
アデマール・P・マリーニョ