サッカーアラカルチョ

一覧に戻る

弊紙発刊の書籍がリニューアル版で絶賛販売中!【一部抜粋して紹介】

20・10・11
 2017年、Amazon初登場でカテゴリー別4位となった「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」(出版元:北のサッカーアンビシャス)が、全国のサッカー関係者から注目を集め、この度「クラブ40周年記念誌同梱版」としてリニューアル発売となった。

 こちらの特装版は、数量限定で現在Amazonでのみ取り扱い中。地域スポーツ関係者には関心の高いクラブ運営や、あっと驚く施設の作り方も実例を基に紹介。ご興味のある方は是非どうぞ。

 本紙では、本の中身を少しずつではあるが紹介している。今回は第八の巻「ルールルルルル。by 北〇国から2010」から一部を抜粋したい(登場人物の年齢、所属、役職などは2017年通常版出版時のものとなります)。


【以下書籍より一部抜粋】

第八の巻「ルールルルルル。by 北〇国から2010」

 まとまらなかった土地買収の交渉事なので、明かせる範囲での説明となってしまうが、特命チームは、札幌市内の未利用地を基本にホームグラウンドとなる土地の買収計画を立てていた。それは、クラブ員のほとんどが札幌市在住ということもあり、当然の成り行きではあった。五大都市のひとつとされる札幌市内でグラウンドサイズの土地は、(北海道はデッカイドーなので、東京、名古屋、大阪、福岡に比べれば)あるにはあるがNPO法人が安易に買える坪単価のものは多くは無い。加えて、グラウンドのナイター使用などを考えると、住宅地から離れていなければ近隣に迷惑も掛かってしまう。さらに、クラブハウスやその他の施設の拡張性、また北海道は車での移動に依存する面も多いので駐車場スペースも確保出来る土地サイズが必要となる。

 その中、札幌市内で高級住宅地とされる地区からほど近い場所で、グラウンド、クラブハウス、駐車場などを一体的に整備出来そうな未利用地が見つかった。公にもあまり情報が漏れておらず、坪単価も検討出来ない範囲ではなく、可能性が高いとみた特命チームはすぐさま調査を開始。地主との交渉に入って行った。

 主な調査方法としては、地主から公開された土地種別などの情報を基に、不明な点や詳細を調べるため、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することから始まる。その土地はどのような使用目的だったか、なぜ未利用地となったかなどは、地主や不動産業者から出来る限りは聞き出したい。場合にもよるだろうが、直接地主との交渉や企業間取引の場合、売り手にとって都合の悪い情報(価格が下がる要因)が必ず出てくるとは限らない(基本、売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたい)。正式に不動産業者を通した場合は、重要事項の説明は義務付けられているので、その点の心配は減るだろう。

 そして、交渉に入ったこの土地は企業の持ち物で、使用目的や土地の内容も問題のないものだった。価格も交渉が深まるにつれ、SSSにとっても現実的なものになりつつあった。ひとつの懸念事項は、未利用地が高台にあり、入り口までの道のりは、一部の区間で住宅地を抜けざるを得ず、ホームグラウンドとして稼働した後に、多くの車両や人の往来が近隣の方の迷惑になってしまわないかということだった。

 ホーム施設は、クラブ員のための都合だけではなく、地域に溶け込みながら、日頃の活動を行わなければならない。地域に愛されるようなクラブ施設は理想であるが、そこまで至らなくても日常的に迷惑が掛かる施設は地域に溶け込めはしない。これは地域で行うスポーツクラブとしては、忘れてはならない、決しておろそかにしてはならない大事な要件である。日頃から受け入れられる努力や活動を継続しなければ、ホーム施設として末永い利用は難しくなる。

 交渉が本格的となり、特命チームの現地調査も複数回に及んだ。グラウンド用地までの交通量や道路状態も重要で、公共交通機関を利用した場合、最寄りのバス停からの距離はどうか、送迎バスが対面で通行出来る道幅か、さらに高台のため、冬季に車(送迎バスは後輪駆動)が上ることの出来る勾配なのかも調べていった。

 調査と交渉を継続して進めるということは、ホーム施設となる可能性が高いと見積もって特命チームが動いている証拠でもある。グラウンドまでの経路問題も住宅地を避ける形で、出入口用にさらに土地の買い増しと造成も視野に入れることで、実現性も高まった。

 ついにホームグラウンド用地の購入か――。

 表に出せない影の仕事を続けていた特命チームも、これで業務を公に報告出来るというある種の期待感もあったという。

 そんな時である。札幌のローカルニュースで「珍しいことですが、住宅地に近い○○方面に熊が出没しました」。聞いていた田古嶋は、まさかと思いながらもすぐに報告を上げたが、既に頭の中では「♪ある〜日♪森の中♪くまさんに♪出会った♪〜〜〜〜」(森のくまさん。作詞馬場祥弘氏)が流れていたという。

 全く笑えない話だったが、事実、特命チームは“森のくまさん“によって、最終段階まで進んでいたこの候補地をあきらめることとなった。

 柴田は振り返る。「道民として言いますが、キツネはさほど珍しくもなく、山に入ればシカも目にするかもしれませんし、農作物の被害も多いと聞きます。でもどんなに好条件のグラウンド候補地だったとしても熊だけはダメです。人命には代えられませんので」――特命チームは、また一から影の業務に舞い戻ることになった。

 「くまさんの♪言うことにゃ♪お嬢さん♪おにげなさい♪スタコラ〜サッサ〜サ〜ノ〜サ〜スタコラ〜サッサ〜サ〜ノ〜サ♪」・・・。
 上写真/SSSのホーム施設が造成される前の当時の写真(2013年6月撮影)。

 上写真/完成したSSSホーム施設の全体写真。手前左側から三角屋根が多目的屋内交流施設、隣は2階建てのクラブハウス、その裏手に屋外人工芝フットサルコート、右側には省エネ型LEDナイター照明完備の人工芝グラウンド(上の人工芝グラウンドは札幌市内の私立高校所有の多目的グラウンド)。この施設をNPO法人がわずか3年で造り上げた、まさに奇跡的なプロジェクトだ


 ―この続きにご興味のある方は、ぜひ本書でお楽しみください。通常版はAmazonかコーチャンフォー(新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店)で、特装版はAmazonでのみ販売しております(Amazonサイト内で、「SSS札幌」、もしくは「SSSサッカー」で検索するとトップページに表示されます)。

 あなたも奇跡と呼ばれたプロジェクトの証人となる!?


【書籍情報】
題  名:「100万円も借りられなかったNPOが、
      街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」

著  者:北のサッカーアンビシャス編集部
     協力SSSドリームプロジェクト特命チーム
     イラスト担当スエリス

発行所:北のサッカーアンビシャス

形  式:A5版300ページ(カラー8P、モノクロ292P内イラスト20P)

価  格:クラブ40周年記念誌(カラー20P)付きの特装版は1,100円+税
     通常版は1,000円+税
     (どちらも送料無料、ヤマトDM便での発送)

販売先:特装版はインターネットモールAmazonでのみ取り扱い中
     通常版はAmazonとコーチャンフォーで取り扱い中
     (新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店。他店舗はお問い合わせ)
編集部