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ヨーロッパサッカー回廊『1月のエピソード』

09・02・11
 1月31日は移籍の期限日、1月1日より始まった移籍ウインドウは閉じられ、幾多の選手がチームからチームへ移籍した。その中のエピソードを拾ってみよう。
 
1.リバプールのストライカー、アイルランド代表ロビー・キーンは今シーズン、スパーズより20百万ポンド(26億円)で移籍したが、デッドラインぎりぎりの1月31日22時にスパーズが12百万ポンド(16億円)で買い戻した。ロビー・キーンは移籍後バニテス監督の下、28試合それもサブでの出場しかなく、7得点に終わり、1点当たり2.85億円、出場時間1分当たり70万円もの金食い虫として放出された。ロビー・キーンは「監督が使ってくれなかった。スパーズに戻れるのは嬉しい」とコメント。僅か5ヶ月でスパーズは8百万ポンド(10億円)を稼いだことになる。
 
2.アーセナルはロシアのゼイスト・セント・ペテルスベルグからロシア代表アンドレー・アシャービンを15百万ポンドの移籍金と、週給7万ポンドでこれまた1月31日に契約した。この移籍にはロンドンが18年ぶりの大雪のため、本人はフライトが遅延することを避け、プライベートジェットで飛来し、契約に間に合ったもの。ちなみに本人が到着するまでに移籍契約はEmailおよびFaxで締結できていたが、綱渡りの移籍成立。
 
3.ニューキャッスルのフランス人選手N'zogbia(エンゾクビア)は監督ジョン・キナーがいつもInsomnia(インソムニア)と間違って発音、本人は「こんな監督の下ではプレーできない」と移籍希望、念願かなってウイガンに6百万ポンドで移籍が成立した。ちなみにImsomniaとは「不眠症」という意味。「不眠症」とは日本語で言えば「ぼけなす」ともいえる侮蔑言葉。
 
4.イングランドFAは今年に限って移籍期限を延長できるとした。それは上記アーセナルのアシャービン選手のように大雪など、天候不順により契約が遅れた場合のみ2月1日になっても移籍成立と見なすこととした。
 
5.プレミアリーグは1月31日、マンチェスターユナイテッドがエバートンに勝ち、トップとなり2位のリバプールに2ポイント差を付けた。このエバートン戦でGKファン・デル・ザールはイングランド記録を更新。1123分連続無失点記録を達成したもの。MUだから出来た記録であり、単にGKだけがフットライトを浴びるものではないが、記録は記録である。
 
6.ACミランに3月までの期限付き移籍中のベッカムがアメリカ、ロスアンジェルス・ギャラクシーからACミランへ完全移籍するか注目されている。5年契約128百万ポンド相当のドル建て契約は今やポンド安でポンド換算で175百万ポンドに値上がり、果たしてACミランがこの条件をのめるかによっている。もしマンチェスターシティにカカを100百万ポンドの移籍金で売却していれば可能性もあったが、それだけの投資をする価値があるかがACミラン側の判断となっている。
 
 ともあれ寒い凍てつく英国でもこの時期フットボールは熱い。日本でもシーズンを冬型にするのもよいのではないだろうか。札幌ではどうすればよいのか。筆者も例えばチェコでUEFAカップがマイナス15度で闘っていた試合を観戦したことがある。ピッチは凍っていた。選手はタイツ、手袋。しかし前半10分もすればお互い慣れてくる。ピッチも選手の踏んだ足跡で緩んでくる。それもサッカーだ。またキリンカップで来日したフィンランドチームもこの2月はインドアーでの練習、+アイスホッケーの練習で鍛えており、アウエーを多くして対処。出来ない事はない。創意工夫も大事である。
 
伊藤 庸夫