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大津一貴のエンジョイフットボールライフ『2020年は失敗を過程に!』

20・01・11
 
 北のサッカーアンビシャスをご覧の皆さま、新年明けましておめでとうございます。気が付けば、私が記事を初めて寄稿してから1年が経ちました。おかげさまで、毎月『大津一貴のエンジョイフットボールライフ』が好評だと風の噂を聞きました(え!?気のせいではないはずです!)。2020年も、海外サッカーにまつわることや、私の近況などを発信させて頂ければと思いますので、読者の皆さま、今年もよろしくお願い致します。

 さて、早速私の近況をご報告します。新たな国でプレーする可能性を探るため、11月末からタイのバンコクに渡り、トレーニングを積んでいました。タイのバンコクでは、私と同じように海外クラブへのトライアルを受けに来ている選手が多く滞在しており、日本人選手をはじめ、様々な国籍の選手と一緒にトレーニングを行える環境があります。また、11月、12月の北海道は屋外でのトレーニングを行うには厳しい環境なので、その点も考慮してバンコクを拠点にトレーニングに励んでおりました(それなのに、今年の札幌は記録的な積雪の少なさのようで・・・)。

 当初の予定では12月中にチャンスのある国へトライアルに行けるよう準備をしておりましたが、ここは日本ではなく海外。なかなか思うように移籍の話しが進まない状況でした。ですが、トレーニングは欠かさずに行い、準備し続けていたのが2019年末の話しです。

 上写真/トレーニング環境を提供して頂いた『GOAL Sport Agency』と、そのトレーニングに参加していた選手たち


 しかし・・・。

 2019年最後のトレーニング中に、肋骨を骨折してしまいました。現在はチームに所属していないので、トライアル中のけがは全て自己責任です。そのため、現地の病院に1人で向かいました。ちなみに、2017年にタイでプレーした経験はありますが、タイ語はあいさつと数字しか分かりません。それでも特に大きな心配は無く、「とりあえず病院に行けばどうにかなるだろ〜」と軽い気持ちで病院へ向かいました(海外生活が長くなるとこれぐらいで心は揺らぎません!)。

 受付で「アバラ、ココ、イタイヨ〜。レントゲン、トッテホシイヨ〜。」と、私のつたない英語がしっかりと伝わり、レントゲンを撮ってもらえることに。日本の病院と変わらない施設がそろう総合病院に行ったので、しっかり診察もしてもらうことが出来ました。その結果、“肋骨の骨折”という診断が下されました。完治するには1か月ほど時間がかかるとの事だったので、この時点で私は「一度日本に戻って、まずはしっかりけがを治そう」と決断しました。

 大慌てで1月1日午前0時半という時間の日本行きチケットを手配し、滞在していたホテルを急遽キャンセル。まとめた荷物を片手に、バンコクのドンムアン空港で年を越しました。周囲の人たちは旅行者だらけでウキウキの様子でしたが、私は1人肋骨を擦りながら新年を迎えました。ある意味、忘れられない年越しとなりました(笑)。

 と、以上が私の近況です。現在は実家のある札幌に戻ってけがの治療を行っています。海外でサッカーをしていると、一番困るのは今回のようにけがをしたときです。今回はたまたま経済発展している都市のバンコクに居たので、しっかり診察してもらえる病院がありましたが、田舎の町に住んでいたりすると病院に行くのも一苦労です。また、現在の自分のように所属チームが決まっていない場合は、当たり前ですがけがの保障もありません。海外旅行保険の大切さを身にしみて実感しました。

 サッカー選手が脚光を浴びるのは、『ゴールを決めた、アシストをした、試合に勝利した』など“結果”を残した時です。しかし、多くの選手たちは結果を残すまでに“過程”を辿ります。その過程は選手それぞれです。今回の自分のように、けがの影響でプレー出来ない状況もあれば、プレー出来ても試合に出場出来ない、チームに所属出来ないなど、様々な困難な状況が考えられます。

 スーパースターと呼ばれる選手たちも、少なからず過去に何かしらの困難な状況を経験していると思います。そこで大切なことは、『簡単に諦めないこと、辞めないこと』だと私は考えます。

 傍から見れば、今回の私は新たなチームを探しに海外へ行ったにも関わらず、チームとの契約をゲット出来ずにけがをして帰国したので、“失敗”だと思われても仕方ありません。しかし、このような状況でも簡単には諦めず、辞めずに挑戦し続けることが、大きな結果につながると思います。なので、まずはしっかりけがを治して、また挑戦したいと思う次第です。それが、“失敗”を“過程”に変えることになると私は信じています。

 次月なのか、もしくは更にその先になるかは分かりませんが、読者の皆さまに良いご報告が出来るよう、本年も挑戦し続けていきます。よろしくお願い致します!


◆大津一貴プロフィル◆
少年時代は、札幌山の手サッカー少年団とSSSサクセスコースに所属。中学校時代はSSS札幌ジュニアユース。青森山田高校から関東学院大学へ。卒業後は一般企業へ就職。2013−2014年は、T.F.S.C(東京都リーグ)。2015年FCウランバートル(モンゴル)。2016年スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)。2017年カンペーンペットFC(タイ)、2018年からは再度FCウランバートル(モンゴル)でプレーし、優秀外国人選手ベスト10に選出された。
編集部