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大津一貴のエンジョイフットボールライフ『モンゴルリーガー流のオフは?』

19・09・11
 北のサッカーアンビシャスをご覧の皆さまこんにちは。北海道よりも短いモンゴルの夏を満喫した大津です。モンゴルの9月は既に秋の風情で、例年9月中旬〜下旬頃には初雪が降ります。早くも冬支度をしなければなりません(と言いながらも、日本からカバン1つできているミニマリストなので、あまり関係ないかも・・・)。

 さて今回は、モンゴル生活での“オフ”の過ごし方についてです。海外プロサッカー選手の日常を、北のサッカーアンビシャス読者の皆さまにだけ、こっそりとご紹介させて頂きます(え?興味ない?そんなことはありませんよね!?)。

 まず、リーグ戦が開催されている期間は基本的に毎日練習が行われています。そして、試合の翌日が丸1日オフとなることが多いです。そのため、シーズン中に私が住んでいるウランバートルを離れて、旅行に行くようなことは出来ません。ですので、普段のオフはウランバートル市内で過ごすことがほとんどです。

 モンゴルの首都であるウランバートルは、モンゴル国民の約半数近くの人口が集まる大都市です。モンゴルの国全体の人口が307,6万人に対し、ウランバートルの人口は145,2万人と言われています。このように多くの人々が集まっているので、近年ウランバートルの発展スピードは凄まじく、ビルや商業施設、マンションなどが次々と建てられている状況です。

 その影響からか、ウランバートル中心地にはお洒落なカフェが増えています。その影響もあり、オフの日はお洒落カフェを巡るのが大津流のオフの過ごし方です。この北のサッカーアンビシャスの原稿も、行きつけのカフェで書くことが多いです。ちなみに、一般的なカフェでのコーヒー1杯の価格は、200〜300円ぐらいが相場。日本の価格と大きく変わりないですね。モンゴル国民の平均月収は、日本円で約4〜5万円と言われているので、カフェでのコーヒー1杯は少し贅沢な気がします。

 このように、1日オフの際はカフェに行くことが多いのですが、リーグ戦の中断期間が存在するため、時折シーズン中でも長期間のオフがあります(3日〜1週間ほど)。ちなみに先月下旬は、ワールドカップアジア二次予選で日本代表と同組となったモンゴル代表の活動期間と重なるため、リーグ戦は3週間の中断となりました。そのため、所属チームでの活動も1週間程のオフ。私はその時間を利用し、普段では行けないウランバートル郊外へ日帰り旅行に行ってきました。

 上:上段写真/ウランバートルから車で約2時間の場所にあるチンギスハーンの巨大な騎馬像。モンゴル観光名所のひとつ

 上:下段写真/観光名所のテレルジに存在する巨大な石。亀の形に似ていることから『亀石』の名称で現地でも呼ばれている。亀の首元まで登る事も可能


 最初の旅行先は、『テレルジ国立公園』と呼ばれるウランバートルから車で約2時間の場所です(5月号の記事でも少しご紹介した場所です)。テレルジは、なだらかな山や森林に囲まれた自然豊かな保養地で、現地モンゴル人はもちろんのこと、外国人観光客も多く訪れる場所となっています。“公園”と名前が付けられていますが、実際には多くの日本人の皆さんがモンゴルと聞いて想像する“草原”が広がっている場所です。大草原の中で乗馬体験を楽しんだり、『アリヤバル寺院』と呼ばれるお寺を目指してハイキングを楽しんだりすることが出来ます。

 また、テレルジから車で約1時間弱離れた場所に存在するのが、かつて圧倒的な戦力で世界を制覇したモンゴル生まれの偉人、『チンギス・ハーン』の地上40メートルにもなる騎馬像。壮大な草原の中に建てられているので、遠くからでもとにかく目立ちます。1階部分は商業施設になっており、お土産ショップやモンゴルの民族衣装を着て記念撮影も行えます。また、馬の頭頂部分が展望台になっており、巨大なチンギス・ハーンの顔をバックに、モンゴルの綺麗な草原を一望出来ます。

 この他にも、草原で優雅に暮らす野生動物に出会うことが出来たり、『亀石』と呼ばれる巨大な石に登ることが出来たりします。また、運良く天気が良い日の夜には綺麗な星空が広がります。写真では中々伝わらないのですが、日本では絶対に見られないであろう絶景は、一生のうちに一度は見てもらいたいものです。気軽に「そうだ、モンゴルに行こう!」とはならないかも知れませんが、今後海外旅行を検討している方には、是非オススメしたい場所です(控えめに言って、超最高です)。

 というように、海外に住んでサッカーをプレーしているからこそ、楽しめるオフの過ごし方もあります。日本では中々味わえない体験をし、サッカー選手としてだけではなく1人の人間として成長出来ることも、海外サッカーの魅力ではないでしょうか。

 私の個人的な意見としては、日本人選手はもっともっと海外に出るべきだと思っています。様々な文化や価値観に触れて、人間としての魅力を持つ人こそ、ピッチの上でも輝けると思うからです。そして、ピッチの上だけではなく、オフザピッチでも輝く(魅力あふれる人材になる)ことが出来れば、サッカー選手としての価値以上のモノを社会に還元し、少しでも貢献出来るのではないかと考えています。

 今回は、私が感じたモンゴルの魅力をお伝えしてみましたが、まずは皆さん、一度モンゴルに遊びに来てみてください!

 上:上段写真/街頭などが全く無い草原で、天気が良い夜に見られる星空。説明不要の美しさでした

 上:下段写真/テレルジからの帰宅途中に遭遇した馬の大群。このような光景に出合えるのもモンゴルならでは


◆大津一貴プロフィル◆
少年時代は、札幌山の手サッカー少年団とSSSサクセスコースに所属。中学校時代はSSS札幌ジュニアユース。青森山田高校から関東学院大学へ。卒業後は一般企業へ就職。2013−2014年は、T.F.S.C(東京都リーグ)。2015年FCウランバートル(モンゴル)。2016年スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)。2017年カンペーンペットFC(タイ)、2018年はFCウランバートル(モンゴル)でプレーし、優秀外国人選手ベスト10に選出された。
大津 一貴