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大津一貴のエンジョイフットボールライフ『2つの契約報告』

19・04・11
 上写真/FCウランバートルが2019シーズン新ユニホームを発表。右端が大津選手


 北のサッカーアンビシャスをご覧の皆さま、こんにちは。5回目の登場となります大津です。すっかりお馴染みですね(もう、知らないとは言わせませんよ!?)。

 今回は、この場を借りて2つの契約報告をさせて頂きます。

 まず、1つ目の契約報告です。

 今シーズンも昨年同様、モンゴルプレミアリーグ(1部リーグ)の『FCウランバートル』と契約しました。私にとって、第2の故郷とも言えるモンゴルに戻ってくることができ、嬉しい気持ちで一杯です。

 私が過去にFCウランバートルでプレーした2015年、2018年は、共にリーグ戦2位という悔しい結果に・・・。なので、今シーズンこそは絶対に優勝トロフィーを掲げるため、全身全霊をかけて戦います。

 さて、今回の契約に至った経緯を少し紹介させていただきます。

 昨年のシーズン終了後、チームのオーナーから「また来年も一緒にプレーしよう」と声をかけていただきました。素直に嬉しかったですし、本当に光栄なことだと思います。

 しかし、私は1人の選手として更にステップアップ出来るよう、他国への移籍を検討しておりました。実際に、マレーシアのトライアルを受けに行ったり、代理人の方にも色々と相談しましたが、契約出来るチームは見つかりませんでした。なかなかチームが決まらず、苦しい期間を過ごす中、FCウランバートルの選手やチーム関係者から「また一緒にプレーしよう」というありがたいメッセージをもらい、「自分を必要としてくれるチームに戻ろう!」と決意を固めた次第です。

 “自分のことを必要としてくれる”

 1人のサッカー選手として、これ以上の幸せは無いと思います。その感謝の気持ちを『優勝』という結果で恩返ししたいです。開幕戦は4月13日の予定です。良いスタートを切れるように頑張ります! 皆様、応援よろしくお願いします!
 
 そして、チームではなく、もう1つの契約報告です。

 それは、カズタカEnglish(私特有の訛りがある、簡単な英語)と情熱を駆使して、とある契約をゲットしました。

 先にもお伝えした通り、モンゴルでの生活は今年で3シーズン目。首都ウランバートルでの生活にもすっかり慣れ、現地のバスや白タク(タクシー営業に必要な許可を受けず、個人の自家用車で営業しているタクシー)に乗って1人で市内を回れるし、「ザハ」と呼ばれる現地の市場で安く賢い買い物も出来るようになりました。

 モンゴル生活に慣れた私に、芽生えた1つの願望・・・それは「今回は自分の好きな場所に住みたい!」

 と、いうことで、今まではチーム関係者に家探しを任せていましたが、自分で家探しをすることにしました。また、今回は妻を連れてきており、治安が良い場所に住みたいと考えていたこともあり、「自分たちが納得できる場所を探そう」と意気込んでいました。しかし、肝心な家を探す方法を私は全く知りません(ここは自信を持ってキッパリ)。更に、私のモンゴル語レベルは幼稚園児以下です(てへへ。苦笑)。

 それでも、どうにかしてしまうのが私の長所なのデース。

 まず、モンゴルで5年プレーする日本人選手に通訳をお願いし、私が住みたいエリアへ一緒に足を運びました。なんとも原始的な戦法です。

 そして、アパートやマンションの玄関横に設置されたお知らせボードに、空き部屋の情報らしきモノが記載された張り紙を発見(もちろんモンゴル語)。そこに書いてある電話番号に、片っ端から電話攻撃です。

 10件ほど電話をかけたところ、ウランバートル市内の不動産屋に直接つながった番号があり、その不動産屋の紹介で、内見ができる物件が2部屋あるとのこと。その日のうちに不動産屋の方と合流し、すぐにウランバートル中心地の物件を見に行きました(日本で言うところの六本木あたりでしょうか)。

 そのうちの1部屋が、立地やセキュリティも含めて希望通りの部屋だったので、その日の夜に契約したい旨を伝えることにしました。しかし、モンゴル語を通訳してくれた日本人選手とは既に別れてしまっていたので、「やべぇー、モンゴル語分からない。どーしよー」と考えていました。しかし、「考えているだけでは何も始まらない!」ということは、長年の海外生活で嫌というほど学んできたこと。

 そこで私がとった行動は、不動産屋の電話番号宛に“英語”でショートメッセージを送信。すると、熱意で押すカズタカEnglishが伝わったようで、すぐに英語で返信がきました。とてもラッキー。やはり、自らアクションを起こすことが大切です。英語でのメッセージで契約の約束を取り付け、翌日を迎えることに。

 そして、部屋を契約する当日、なんと不動産屋の方が英語を話せる人をわざわざ連れてきてくれました。ここで、情熱のカズタカEnglishが炸裂し、モンゴル語で書かれている賃貸契約に関する詳細を確認。無事に賃貸契約書にサイン完了。その日のうちに、鍵の受け取りも済ませました。

 家探しを始めて、なんと2日目で新居をゲット! これで私も、モンゴリアンヒルズ族の仲間入りを果たしました。抑えようとしても、ドヤ顔が止まりません(リトルカズタカの抑止も止まらず、ドヤ顔ビッグカズタカが全面に出てきてしまいました。反省・・・)。

 という流れで、今回は、チームとの契約と、賃貸物件の契約をゲットしたことを報告させて頂きました。この2つの契約から、また色々と成長することが出来たと思います。

 言葉が完璧に話せなくても、行動力と情熱さえあれば、どんな環境でも生きていけます。そして、通訳をしてくれた日本人選手や、英語が出来る人を連れてきてくれた不動産屋の方など、私のために動いてくれた方々には本当に感謝です。

 もし、私が逆の立場になったときは、彼らのように人のために動ける人間でありたいと思います。また、それはサッカーでも同じで、常にチームが勝つためのプレーを選択できる選手でありたいと思っています。


 上:上段写真/モンゴル首都ウランバートルの中心部の様子。同国の人口の半数近くが集中する130万人を超える大都市で、政治、経済の中心地となっている
 上:下段写真/鏡張りの建物は、元朝青龍関(ドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ氏)が所有するレストラン。町の中心にあるサーカス場を買い取り、現在はレストランやバー、カフェなどを経営しているモンゴルでも有数の実業家でもある。その裏に、大津選手の自宅がある


 上写真/そして、この宮殿がモンゴリアンヒルズ族?となった大津選手の新居・・・ではなくモンゴル革命の指導者ダムディン・スフバートルや、チンギス・ハンの銅像があるスフバートル広場の政府宮殿


◆大津一貴プロフィル◆
少年時代は、札幌山の手サッカー少年団とSSSサクセスコースに所属。中学校時代はSSS札幌ジュニアユース。青森山田高校から関東学院大学へ。卒業後は一般企業へ就職。2013−2014年は、T.F.S.C(東京都リーグ)。2015年FCウランバートル(モンゴル)。2016年スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)。2017年カンペーンペットFC(タイ)、2018年はFCウランバートル(モンゴル)でプレーし、優秀外国人選手ベスト10に選出された。
大津 一貴