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大津流エンジョイフットボールライフ『モンゴルの子供たちへボールを!』

18・12・11
 北のサッカーアンビシャスをご覧の皆様、こんにちは。今回より、記事を寄稿させていただくことになりました大津一貴です。

 まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。私は札幌出身で、後に関東の大学に進みましたが、大事な時期のけがもあり、選手を目指すことを断念。東京でサラリーマンをしておりました。会社には恵まれていましたが、慣れない社会人生活に疲れも感じていた頃、信じられないことに22歳で、がんと宣告されてしまいました(まさに青天のへきれきでした)。

 その後、手術は無事終了。病院のベッドで天井を眺めながら、「俺、やっぱりサッカーがしたい!」と、強く思いました。そこから、辛いリハビリを乗り越え、29歳となった今ではタイやモンゴルでプロサッカー選手として、サッカーの出来る人生をエンジョイしております。と、前置きが長くなってしまいましたが、その辺の詳しいことは、自分のブログなどを、ぜひお読みいただければと思います(少し宣伝)。

 その中、自身の体験談を基に、アジアのサッカー情報をお伝え出来ればと思案していた時に、2001年創刊という伝統のサッカー情報紙「北のサッカーアンビシャス」で活動を取り上げていただけることとなりました(評判が良ければ継続も?ともくろんでいるところです)。

 さて、今回私がお届けするニュースは、今年モンゴル1部リーグのFCウランバートルに所属していた際、チームとは別に行った活動についてです。

 モンゴルでは、近況報告も兼ねて、中学時代まで所属していたSSS札幌サッカースクールのコーチたちと連絡を取り合う機会がありました。

 その際、モンゴルの子どもたちのサッカー環境などの話となり、日本よりも用具の面で恵まれていないことを感じていました。そこから話が進み、SSSの行う地域社会貢献活動の一環として、サッカー用具の寄贈を行うことが決まりました。

 大きな荷物となったので、モンゴルまでは船便で、到着までは約1か月。その後、私のチームメイトで、キャプテンでもある、バヤルジャルガル選手の紹介もあり、デレンFC所属のツンデ選手が寄贈団体との橋渡し役となってくれました。

 寄贈先は、今年9月に新設されたモンゴルサッカー学校の子どもたち(小学6年生14人)。この学校は、モンゴル代表のツンデ選手が、裕福ではない子どもたちの為に設立したもので、モンゴル体育センターという機関もサッカー学校設立に大きく関わったそうです。

 モンゴルサッカー学校に伺ったのは、10月10日。ツンデ選手が代表での活動の為、私と、バヤルジャルガル選手(日本に留学経験もあり日本語が堪能で通訳もしてくれました)と行ってきました。

 私たちのことを見て、初めは緊張していた子どもたちも、バヤルジャルガル選手から「私の子どもの頃も用具があまりなかったけど、頑張ってサッカー選手になれました。皆さんも寄贈されたボールがボロボロになるくらい、たくさんサッカーを楽しんでね!」と、子どもたちに伝えると、シャイな子どもたちも笑顔になってくれました。

 当日は、一緒にリフティングなどをしましたが、一生懸命な子どもたちの姿を見て、未来のモンゴルサッカーが明るいことを確信出来ました。

 日本では、1人に1球か、それ以上のボールや用具が用意されているなど、環境に恵まれていると思います。私も日本にいた頃はその環境が当たり前だと思っていましたが、海外に出ると、恵まれている環境が当たり前ではなく、とてもありがたいものだと気づかされます。それを日本の子どもたちにも伝えていきたいと、純粋な気持ちでサッカーに取り組むモンゴルの子どもたちと触れ合いで、改めて考えるきっかけとなりました。

 最後に、モンゴルサッカー学校の皆さん、バヤルジャルガル選手、ツンデ選手、SSS札幌の皆さん、ご協力いただき、ありがとうございました。

 では、次回また紙面上でお会いしましょう。「バイステ〜!」(モンゴル語で「さようなら」です)

 上:上段写真/ボールや用具を寄贈する大津選手。子どもたちも笑顔で受け取る
 上:下段写真/寄贈したボールで一緒にリフティング


 上写真/現地の子どもたちと記念撮影。右端がチームメイトだったバヤルジャルガル選手


◆大津一貴プロフィル◆
 少年時代は、札幌山の手サッカー少年団とSSSサクセスコースに所属。中学生時代はSSS札幌ジュニアユース。青森山田高校から関東学院大学へ進学。卒業後は一般企業へ就職。
 2013−2014年は、T.F.S.C(東京都リーグ)。2015年FCウランバートル(モンゴル)。2016年スリーキングスユナイテッド(ニュージーランド)。2017年カンペーンペットFC(タイ)。2018年はFCウランバートル(モンゴル)でプレー、優秀外国人選手ベスト10に選出される。

大津一貴