サッカーアラカルチョ

一覧に戻る

弊紙発刊の書籍が全国各地で評判に! 【書籍より一部抜粋して紹介】

17・12・11
 上写真/「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」の初版本の表紙。サッカー解説者のアデマール・ペレイラ・マリーニョ氏と木村和司氏もコメントを寄せる


 11月上旬から全国販売を開始した書籍「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」(出版元:北のサッカーアンビシャス)が、全国のサッカークラブ関係者から注目を集めている。道内では12月8日付けのスポーツ報知でもカラー面で大きく取り上げられた。

 弊紙11月号でも紹介したが、9月30日の出版化から1か月足らずで1,000部を売り上げ、反響の大きさから11月3日に大手インターネットモールのAmazonで全国販売を開始。ノンフィクションスポーツカテゴリーの売れ筋ランキングで、発売当初一時的ではあるが全国4位を記録した(順位は1時間ごとに変動)。

 今月号からは、本の中身を少しずつではあるが、抜粋して紹介していきたい。第1回目は「はじめに」の章を掲載する。あなたも奇跡と呼ばれたプロジェクトの証人となる!?(ご興味のある方は、ぜひ本書でお楽しみを)。

 現在の取り扱いはAmazonで、1冊1,080円(税込)送料無料で販売中(Amazonサイト内で、「本 SSS」、もしくは「100万円も」で検索するとトップページに表示されます)。

【以下書籍より一部抜粋】

〜はじめに〜

「自クラブで土地を買ってホームグラウンドを持つ!」
「グラウンドはもちろん人工芝で、ナイターも完備!」
「勢いあまって、屋外フットサルコートも造る!」
「ホームグラウンドを見渡せるクラブハウスも持つ!」
「さらには、多目的に使える屋内施設も建てる!」

 これが、2009年に始まったSSSドリームプロジェクトの根本である。賢明な読者ならお分かりだろうが、これを全部実行するとなったら、いったい総額は幾ら? 果たして出来るのか? ざっと計算し、大きな企業スポンサーがついているプロクラブならまだしも、もしNPO関係者なら運営規模から考えてもこのプロジェクトには全く賛同出来ないだろう。周囲の反応もまさにその通りだったのだ。 もっと言えば、新手の金集め(詐欺話)でも始めるのか?

 うさん臭くてきな臭いプロジェクトだ―。と言うような反応も無かった訳ではない。今では笑い話だが・・・。 さて、このプロジェクトは、北海道で活動するSSS札幌サッカースクールが実際に行ったものであり、その北国の一街クラブが、NPO系アマチュアサッカー街クラブ日本一のホーム施設を持つと称されるまでになった挑戦の物語である。

 今回主な題材とした「SSS札幌サッカースクール」は、道内のサッカー関係者には“SSS(スリーエス)“と略称で呼ばれ、とりわけ少年サッカーにかかわる者に知らぬ者はいないという強豪の街クラブ。このSSSは、1979年に当時では珍しかったクラブ形態のサッカーチームとして札幌市に誕生。その後2002年には北海道で初めてサッカークラブ主体で特定非営利活動法人(NPO)に認証され、現在は総合型地域スポーツクラブ(NPO法人SSSスポーツクラブ)として活動している。

 近年はプロクラブの北海道コンサドーレ札幌が、本道サッカー界をけん引する存在ではあるが、SSSは2016年までに13人ものJリーガーを始め、なでしこリーガーや海外プロ選手、そして代表選手を生み出してきており、全国的に見ても育成型クラブとして高く評価されているのもうなずける。

 SSSの概要は後で詳しく紹介するが、この物語で伝えたいのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けスポーツ界の盛り上がりが伝えられる中、それを一過性の流行で終わらせるのではなく、文化としてのスポーツを日本各地に根付かせる活動こそが、国民の健康に直結し、生活の活力や文化的幸福度も上がり、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が醸成され、それが50年後の日本のあり方につながると考えるからである。

 今後の日本を支える若者の生活が、スポーツを通じて健康で、(富める者、そうではない者も)日々の幸せを感じられるような活力のある社会となることを期待したい。避けることの出来ない少子高齢化社会において、多くの人々が病院に頼らず、健康でいられる期間が長くなることで、年間40兆円を超える膨大な医療費の削減や抑制につながるだろう。そのためにもスポーツの力が効果的(控えめに言えば、プラス要因)なのは、各界の専門家も同意することであろう。

 しかしながら、「文化」と大それたことをいっても、これには社会的な認知度の向上はもちろん、けん引する人材や民間の力、関連事業を取りまとめる行政、法令などの整備や予算の確保を含めた国の取り組み、さらに効果、時間、歴史が積み重なって、振り返った時に初めて「文化的価値」とみなされるものだろう。これでは、まさに「今どうすれば良いのか」と悩む地域のスポーツ関係者には、響き難い。いや間に合わない(タイムリーではない)と言った方が良いだろうか。

 そこで、冒頭に紹介したSSSの取り組みである。プロクラブではなく、組織としては遠い存在ではない、一街クラブの成し得たプロジェクトを掘り下げれば、全国で施設の確保などに悩むクラブの解決の糸口となり、そこから地域のスポーツ環境が向上し、子どもたちから高齢者まで老若男女問わず、スポーツに勤しむ環境が日本全国に広まるのではないだろうか―。

 それが地域の人々の健康と活力のある生活につながり、ひいては、この国の抱える諸問題に対し、何かしらのプラス効果が生まれることを願ってやまない。


 上写真/SSSホーム施設「フットフットスリーエスタージオ」の全容(書籍P2、P3の見開き)。人工芝グラウンド、LEDナイター照明、屋外フットサルコート、クラブハウス、多目的屋内交流施設が完備され、悪天候時にも対応可能な恵まれた活動環境となっている

【書籍情報】
 題   名:100万円も借りられなかったNPOが、
        街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語
 著   者:北のサッカーアンビシャス編集部
        協力SSSドリームプロジェクト特命チーム
        イラスト担当スエリス
 発 行 所:北のサッカーアンビシャス
 形   式:A5版300ページ(カラー8P、モノクロ292P内イラスト20P)
 価   格:1,000円+税(送料無料、ヤマトDM便での発送)
 販 売 先:インターネットモールAmazon
編集部