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『国際スポーツ組織で働こう!』 必見スポーツビジネス書のご紹介

17・03・13
 スポーツの可能性は無限大である。娯楽として、健康増進として、競技として、文化として、そしてビジネスとして・・・。今後、スポーツに携わり、職業として希望する方に必見の本『国際スポーツ組織で働こう!』(日経BP社)が発売された。

 本の著者でもある「つくば国際スポーツアカデミー」(TIAS=Tsukuba International Academy for Sport Studies)の筑波大学准教授高橋義雄氏が、総合型地域スポーツクラブの視察を兼ねて札幌を訪れた際、今後のスポーツマネジメントについて語ってくれた。

 これまで日本のスポーツの分野は学校体育の延長として捉えられる側面も多く、プロスポーツ以外の競技や育成の現場では、お金儲けの話は敬遠されてきた。しかし世界のスポーツ先進国では、収益構造が確立されたビジネスであり、その収益からスポーツ現場に還元される仕組みも出来上がっている。

 書籍の中でも一例として紹介されているが、大学スポーツ先進国のアメリカでは、一つの大学の1年間のスポーツ産業収入が100億円を超える大学が複数存在するとも言われている。特にアメフトやバスケットの人気スポーツでは、大学で専用のスタジアムやアリーナを所有し、大会の入場料収入や放映権収入を得ており、そこからスポーツ現場に還元される好循環があるという。

 高橋氏は「スポーツの現場を何でもボランティアで構成するのは限界があります。今やスポーツ庁の鈴木大地長官もスポーツで稼ぎ、現場へ還元することを広めています。国策としても現在のスポーツ関連ビジネス5.5兆円規模から、15兆円規模への拡大を目指し各種政策が進められています」。

 続けて「今後の社会情勢を含めて考えると、1.3億人のドメスティック(国内向け)産業から、世界74億人を相手にビジネスを展開しなければどのような産業も生き残ることは厳しいでしょう。その為にも語学力が大事ですし、私どものTIASでは、国内で初めて全てのカリキュラムが英語で行われており、世界各国から志の高い生徒が集まってきています。ビジネスでも、スポーツ国際競技組織でもそうですが、枠組みやルールを押し付けられる側にいるのではなく、作る側に日本人がいなければ、結局は後塵を喫してしまいます。簡単に言うとビジネスではお金を払う側になってしまいます。今後は、是非とも世界のスポーツの枠組みを決められる中枢にどんどん日本人が入り込んで欲しいです」と、日本のスポーツに関わる人材や、未来を担う若者に語りかけるようにしめくくった。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックが目前に迫る中、私たちの周りでもスポーツを取り巻く環境が大きく変化しようとしている。本書『国際スポーツ組織で働こう!』は、今後、スポーツの世界で働きたいと考えている若者へ、国内だけに捉われずグローバルなマーケットに飛び込み、世界で活躍してほしいという熱いエールが込められている。


◆『国際スポーツ組織で働こう!』世界の最先端スポーツ大学院でマネジメントを学ぶ
・出版社 日経BP社(1,800円×消費税)
・編集 つくば国際スポーツアカデミー・アソシエーション
・著者 塚本拓也、岡部恭英、金子史弥、高橋義雄
・単行本300ページ
・ご購入はhttp://www.amazon.co.jp


―おすすめポイント―
・2020年のスポーツ市場規模は現状から倍増。その後も成長を続ける有望マーケット。
・世界の「スポーツビジネス」の現場で、日本人はどう戦っているか。
・世界の「スポーツ大学院」では、何をやり、どんな人材が育っているか。
・スポーツを「仕事にする方法」とマネジメントを「学ぶ方法」が明らかに!

 上写真/SSS札幌サッカースクールのホーム施設に視察に訪れた際、著書を手に取材に応じる筑波大学准教授の高橋義雄氏

◆高橋義雄(タカハシヨシオ)筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻准教授。1968年東京都生まれ。東京大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。1998年より名古屋大学助手、エジンバラ大学客員研究員(2003‐2004)。2008年より筑波大学体育系准教授。2015年からはつくば国際スポーツアカデミー(TIAS)のスポーツマネジメント分野ディレクター。専門はスポーツ社会学、スポーツマネジメント

編集部