サッカーアラカルチョ

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マリーニョからのレシピ『日本サッカーのレベルアップのために』

16・06・11
 久しぶりに北のサッカーアンビシャスに登場することになりましたが、今年も札幌で子どもたちと一緒にボールを蹴る機会があり、私自身とても楽しい時間となりました。

 そこでいつも多くの指導者たちと、日本や世界のサッカーについて語り合うことが多く、これもまた楽しみのひとつです。最近は、体も動かなくなってきたので、その分、口が沢山動くようになりましたネ(笑)。

 今回、札幌に来る前に、JFLの視察もあって感じたことなのですけど、やっぱりサッカーは、プレーレベルを語ることも大事ですが、サッカーを中心とする周りの環境がとても大事だと思います。

 ハード面だけではなく、プロクラブなら試合を見に来てくれるファンや、支えてくれる地元の応援、もちろんスポンサーのバックアップや運営会社の手腕なども必要でしょう。JFLのチームでも、今後Jリーグ入りを目指すなら、今以上にファンを獲得する努力が必要でしょう。

 それと、これはプロ・アマチュア問わず、サッカーをプレーする環境を整えることは当然ですが、地域で気軽にサッカーを見られる環境をどんどん整備していくことが、将来のサッカーファン獲得につながると思います。

 週末に自分の子どものサッカーを見るだけではなく、地域のシニア層たちも、きれいな芝生のグラウンドに散歩がてらの感覚で、そこにイスやスタンドがあって、ぽかぽか陽気の中、サッカーを見て楽しむ。最初はサッカーに興味がなくたって、環境が良ければだまっていても好きになってくれるんじゃないかな。

 ブラジルでも、特に田舎のチームでは、近所の人たちが世代に関係なく、気軽にサッカーに触れることのできる環境が多くあって、それが地域に馴染んでいます。だからおらが町のサッカークラブという意識が強く、みんなから応援されるんだ。これがブラジルのサッカー文化のひとつと言ってしまえばそれまでだけど、日本だって独自のサッカー文化を創っていかなれば、世界のトップに追いつくことは難しいと思います。

 もちろんサッカーを強化する意味での育成が一番だけど、土台となる普及のところを大切に、そしてプレーヤーだけではなく、広くサッカーに関わるファミリーが増加し、サッカーが文化となって日本に根付くこと。これには時間はかかるかもしれないけど、逆に一番の近道ではないかな。世界の強豪国だって、そうやって歴史を刻んで、一歩ずつ前進していったから、今世界の上位にいられるわけです。

 そういう意味でも、札幌で視察した宮の沢白い恋人サッカー場は良い雰囲気でしたし、これがクラブ所有の施設だったら、さらに素晴らしいですネ。そのような力のあるクラブが全国各地にどんどん出てきてほしいなと思います!
アデマール・P・マリーニョ