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屋良っティーニの教えある記『ゴールのにおひがした!』

13・02・18
 2014年ブラジルワールドカップに向けての、日本代表の今年の初試合となるラトビア戦が行われましたね。

 次は3月26日に行われる、アウエーのヨルダン戦に勝利すれば、ワールドカップ出場が決まるので、ヤリ方を確認する機会として大事な一戦だったんですね!

 出来るだけ早くワールドカップの出場権を手に入れることができれば、残りの予選を使って別の戦術や選手を試すことができるので、きっちりと次のヨルダン戦で出場を決めておきたいトコロ。

 ラトビア戦が行われたこの時期、Jリーグはまだオフということもあり、センターバックの今野以外はすべて海外組でスタメンを組んだようでしたね。

 そんなわけで、出来るなら、ぜひ録画しておいたVTRをもう一回見て、得点シーンをスロー再生にし、コマ送りしながら読んでもらいたい!!(録画してなかった!! 消しちゃった↓↓って人、ごめんなさい!!)

 今回も注目の攻撃陣、岡崎、香川、本田、清武は、互いにポジションを固定することなく4人が連動し、自由にポジションを入れ替わりながら、相手DFの裏を取っていく。この動きは、フットサルの布陣のように見えたのではないですかね?

 その4人が中央でボールポゼッションしている間に、片寄ったサイドで出来たスペースに長友、内田がどんどん入って行き、有効なサイド攻撃を仕掛ける。

 中盤の底、長谷部、細貝の両ボランチは攻撃4人の選手のサポートで、前が詰まった時に後方でパスコースをつくる動き、4人のうち下がってきた選手を追い越して前線でボールを受ける動きと、日本代表のポジショニングは、ラトビア選手から見ると倍の人数がいるんじゃないかと錯覚するほどだったと思う。GK川島、センターバックの今野、吉田の部分はこの試合、一回も崩されてないんじゃないかな(ラトビアの攻撃が脅威ではなかったしね!)。

 では、まず1点目。内田のシュートを詰める形で岡崎が合わせてゴ〜〜〜〜ル! 前半が始まってから、得意のポゼッションは光っていたんだけど、な〜んか物足りなかったのは、シュートが少なかったからなんだよね。やっぱり、シュートを打たないとチャンスにはならないんだよね。打てば、例えゴールの枠を外してもチャンスが出来るんだ。そして、岡崎はこれを狙っていたんだね〜。相手DFの前に入り、鼻っ先で合わせられるのは、まさにストライカーって感じ。

 後半に入って、清武に代わって前田。細貝に代わって遠藤になり、トップが前田のような形になった。おそらく今のザックジャパンのベストメンバーがこれなのだ!

 ニュータイプの『クアトロ ジ オーメン』。この布陣で前田がワントップになり、相手DFラインをより前に押し込むことが出来るので、ゴール前にスペースが増えてきたんじゃないかな。そのことで前半は、横や斜めの向きでシュートを打たなければならない場面ばかりだったけど、前を向いてシュートを打てる状態の選手を増やせた。遠藤が入ったことで前方のスペースにより多く正確なパスが入るようになり、収まりどころが増した。

 お次は、2点目。前田が最前線で、相手DFラインを押し込み、下がった状態をつくり出したことで、後方から走りこんできた本田の前にぽっかりとスペースができていた!

 サイドで仕掛けた香川は、ドリブル突破を仕掛けるふりで相手GK、DF全員を自分に向けさせ、相手にボールウォッチャーの状態を作り出した。こうなると相手DFは本田が見えていないので、ワンタッチで技ありループ!! 前田が引っ張り、香川がドリブルで仕掛けるふりをして、本田の前にスペースができた時点で、もう決まっていたんだな。

 そしてすぐさまの3点目!! 遠藤から前田に縦パスが入り、このパスをバックステップしながら受けるうまさに注目! このバックステップで完全にDFを自分に食いつかせて、どフリーの香川へ。またもや、後ろ向きで香川とボールしか見えていない、ちょっと間抜けな相手DFラインの間に悠々と入り込んだ岡崎が2点目!

 屋良っティーニ的には、前田のバックステップで決まっていたのではないかと・・・いや決まっていたのだ!!

 さて、ワールドカップ最終予選のヨルダン戦。もうちょっと、得点パターンを増やしていきたいところですが、日本代表のDFラインと中盤はアジアの中では群を抜いている完成度。これを強豪国に通用するレベルに持って行って、コンフェデからの〜ワールドカップ本大会につなげていってもらいたい。


◆筆者プロフィル◆
屋良 充紀(やら みつとし)
現役時代はブラジル、エクアドル、コロンビアでプレー、コロンビアではコーチも兼任。
帰国後、横浜FC泉Jrユースの監督として7年間指導。その後『JFAアジア貢献プロジェクト』で中東のシリアで未来のシリア代表選手を育成するべく、SFA(シリアサッカー協会)フットボールアカデミーを開校しヘッドコーチを務めた。アラビア語で『サッカー指導指針』をつくり、シリアは勿論のこと海を越えてアフリカ・スーダンでも高い評価を得ている。現在は横浜市でブラジルのストリートサッカーをヒントに遊び心をくすぐるサッカースクール、『エスコリーニャFC』に力を注いでいる。
ロベルト・屋良っティーニ