社会貢献と地域密着を目指したプロジェクトとして、各Ｊクラブともに近隣の小学校を巡回し、体育の時間を利用してサッカー教室なんかをやってますよね。サッカー教室の後は、一緒に給食を食べちゃったりなんかしてね！　

　そんなんである日、僕のサッカースクールに「今日、Ｊリーグチームの○○選手が来たんだよ！」って、そのサッカー教室終了後、ボールに描いてもらったサインをみせてくれた。

　そこには、『田中』の文字！

　んっ？！　もしや、それって、某Ｊチームってことは・・・　今は、普及担当の田中さんではないか！？

　その子に、その田中さんの特徴を聞いてみると・・・　やっぱり、あの田中さん！！

　そう言えば・・・　以前お会いしたとき「今、普及で、小学校まわりしてるんだよ！」って、「みんなと一緒に給食も食べちゃってさー」って言ってたな〜。

　実は、この田中さん、僕のユース時代の監督だった恩師なんだよね〜。ですから、今は、結構なオッサンよ。。。

　でも、子どもたちは、勘違いしてＪリーガーだと思ってるみたい。そのボールには、漢字で、ほぼくずした感じもなく『田中』って、大マジメに。あの頃と照らし合わせて、その姿を想像してみると・・・　ほのぼのして、なんだか笑けてきちゃいました！！

　同じく、Ｊリーグのイベントに参加して来たって子が、僕に自慢げにサインをみせてくれた。「で、誰と誰のサイン？」って聞いてみたら、「んッ〜と？？？」って、おいおい！！ってなっちゃいました。

　そう言えば、ブラジルの子って最初からお目当ての選手狙いですよね！　好きな選手がいるから、その選手からサインをもらいたい！！　と、目が肥えてます。サインくれるなら“誰でもいい”って訳じゃない。

　よく考えると、芸能人からサインもらうときって誰でもよくないですもんね？　まずお目当ての人からもらうもんね。誰だかわからない芸能人からはもらわないもんね？

　そして、とうとうこんなことも起きた！

　先週、僕のサッカースクールで卒業生を送る会をやったときのこと。下級生たちが、卒業生からサインをねだり始めた。シャツ伸ばして「ここにサインして〜」ってね！！

　そしたら、卒業生は「そんなのないよ〜」って断るどころか、何だかそれっぽいくずしたアルファベットでスラスラ〜って！（田中さんのより完成度は高かった！！）

　ねだる方もねだる方だけど、書く方もちゃんと考えてんだ〜。マセてんな〜。俺らの頃は、こんなヤツいたの高校生くらいからでしょ！？

　ということで、“誰でもいい”“誰だかわからない”サインをもらうよりはいいかもしれないけど、ここでもブラジルの子を見習って、もうちょいこだわってもいいかもね！！


◆筆者プロフィル◆
屋良　充紀（やら　みつとし）
現役時代はブラジル、エクアドル、コロンビアでプレー、コロンビアではコーチも兼任。
帰国後、横浜ＦＣ泉Ｊｒユースの監督として７年間指導。その後『ＪＦＡアジア貢献プロジェクト』で中東のシリアで未来のシリア代表選手を育成するべく、ＳＦＡ（シリアサッカー協会）フットボールアカデミーを開校しヘッドコーチを務めた。アラビア語で『サッカー指導指針』をつくり、シリアは勿論のこと海を越えてアフリカ・スーダンでも高い評価を得ている。現在は横浜市でブラジルのストリートサッカーをヒントに遊び心をくすぐるサッカースクール、『エスコリーニャＦＣ』に力を注いでいる。